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213話


 ユリエルさんの身体の作りが両性である事を知っているのはコンスタンティンさん、カールさん、主治医の皐月先生、そして何故か私。


 世界樹の国のエルフ族の半分は身体の作りが両性である事は、安全の面から秘匿されているらしい。




 ユリエルさんは身体は男だが、心は両方の性を持っている事にして、酒を煽りながらカールさんとの関係性を洗いざらい全て話した。




「こんな話し、こんな所でしていいのかユリエル隊長?」




「………見えんだろうが、建物全体に結界を張ってある。問題無い」




「ユリエル長官って男もイケる口だったのね。お仲間さんが近くにいて私は嬉しいわ。カールの野郎はやめて、他に相手探しましょうよ☆」




「酒に釣られて、とんでもない所にお邪魔してしまった……つばめさん、もやし追加して下さい。トマスの大将ー!お勧めの火酒出してくれー」




「あいよー」




「つばめ様、ポン酢が大変美味しゅう御座います。私めは豆腐を追加で御願い出来ますか?」




「はい。煮えるまで待って下さいね」




「ハイルング国を滅亡させる相談だったか」




「………それは否定出来ん。…私も酒を追加したい」




「はいよ。ちょっと待ってな」




 私は和風鍋に豆腐を追加して、トマト鍋にもやしを投入。キャベツも入れようかな?




「皆さん、まだお腹には入りますか?」




 全員食べるとの事で、煮えている物は取り出して貰って、保冷箱に入れていた出汁とスープを追加。


 もう一回鍋の支度をする。お通しは千切りピクルス以外無くなったので、焼き菓子のマドレーヌ、クッキーとナッツ類をそっと置く。


 因みに焼き菓子と後で出すデザートのフルーツタルトは鈴木商会からの販売品だ。




「塩っぱい物と甘い物で無限に食べれる予感がするわ。このマドレーヌ美味しいわね」




「デザートにフルーツタルトと手作りベイクドチーズケーキご用意しました」




「ありがとうつばめさん!愛してるわ☆」




「『ベイクドチーズケーキ』とは何だ?」




「えっと…食事後のお楽しみなので、先ずはユリエルさんのお話しの続きをどうぞ」





 ユリエルさんの話しを聞いた結果、女子会と違って意見は割れた。




「某は体目当てだと思うがな?」




「私も正直、そう思います。もしかしたら本命が他に居るのではないでしょうか?」




「カールなんて国と一緒に滅びればいいと思うわ。仮にユリエル長官を愛しているとしても酷い男よ」




「遊ぶにしてはユリエル様は些か高嶺の花の様に存じます。しかも弟君のお孫様で御身内ですので、遊びで手を出されるにしては少々…火遊びが過ぎるかと」




「何かユリエルと結婚出来ない理由があるんだろう。もう少し待ってやれ」




 ユリエルさんは全員の意見を聞いて、考え込んでしまった。私は肉団子を投入して、鍋作り中。

 マシロさんはフードの中でソワソワしているみたい…ちょっとくすぐったいよ。




「……身体目的だと決めるのは容易い。仮の話しになるが、もし私にカールが好意を持っているとして、何故結婚してくれない?何か理由があるなら何故話してくれないんだろうか」




「結婚するの面倒臭いんだろ。しなくて済むならその方がいいだろうよ。話したく無いのは知らん。ユリエル隊長に言いたく無いだけだろ」




「カール様の正確な年齢な幾つなんですかね?もしかしたら先に亡くなるのを気にしてるのかも知れません」




「んー…何でかしらね?ちょっとでも話してくれればいいだけなのに良く分からないわ」




「恐らく、ユリエル様は保護対象でも在るので御座いましょう。守る相手に御相談される様な方には見えませんでしたので。あくまでも私めの勘で御座いますが」




「ユリエル、カール様の正確な年齢は?」




「………正直知らないんだ。魔力量が私より高いと『自分より多い』位しか分からない。養子に入る際もハイエルフ種とだけしか教えてくれなかったな。親しげにしてる皐月と近いんじゃ無いかと思う」




「何だと?」




「申し訳御座いませんが、私めも母の年齢は存じ上げません。カイザス国が出来て直ぐの移住だと口を滑らせたのは聞いた事が御座いますので、500歳は越えているだろうとは思いますが。神聖帝国でその前に結婚して、相手が5回死別しているのを考えますと……大分上かと存じます」




「え゛っ!『魔女』怖っ!?あんないい女なのに凄い年齢だな…あ、すまん息子の目の前で」




「いえ、私めの方が親に見えると良く周りから言われて御りますので、今更で御座います」




 鈴木さんの言葉に次郎さんは「親が『魔女』とか大変だな」と、苦笑いを浮かべるのであった。




「皐月様の年齢について話したい。結界を展開しもいいか?」




「………あぁ、内側なら問題無い」




「では、酒の注文を済ませてくれ。横の机は入るが、カウンター迄は無理だ」




「私ちょっとお手洗い行ってくるわ。白と赤ワイン2本ずつ欲しいわ」



「トマスの大将ー!火酒樽の釈付きで!」



「生ビールとウォッカ。某も便所行きたい」



「……3ケース分追加を頼む」



「2ケースくれ。少し準備する」



「私めは日本酒を頂きたく存じます」



「鍋煮えましたよー」




 結界に引き篭もる準備を各々しながら、健介さんが結界の準備をするのを待つ事にした。



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