212話
男子会メニュー
・昆布出汁の和風鍋
【具】
白菜、水菜、もやし、春菊、椎茸、えのき、人参、長ネギ、海老、鶏肉団子、豆腐
【タレ】
胡麻だれ、ポン酢
・コンソメベースのトマト鍋
【具】
キャベツ、もやし、パプリカ、マッシュルーム、しめじ、人参、玉ねぎ、海老、鶏肉団子、ウィンナー
鶏もも肉の唐揚げ
枝豆
千切りピクルス
きゅうりのナムル
フルーツタルト
ベイクドチーズケーキ
焼き菓子
アイスティー
紅茶
緑茶
烏龍茶
味が調整出来る様にカボス、レモン、塩、胡椒、醤油、味噌、タルタルソース、粉チーズ、ケチャップ、マスタード、コチュジャン、唐辛子オイル、スライスニンニク、大根おろし、おろし生姜。
鈴木商会からお湯を入れる用の保温機能のついた魔道具、防火クロス、製氷機、保冷箱をお借りしたよ。
私は保温瓶持参であったかい紅茶持参。
鍋は先に食べたので、話は聞く程度に参加するが、料理に徹します。マシロさんも今回はフードの中で待機中。ハルさんは健介さんの護衛に向かった。
開始1時間前に『トマスの食事処』でユリエルさんとえっちらほっちら必要物品を運んでいると、早めに来たカンジさんが手伝いをかって出てくれたのでお言葉に甘えた。
テーブルセッティングと必要物品を作業台代わりに利用させてもらうテーブルに防火クロスを敷いて準備。
予定時刻より少し早い時間に参加者全員がお店に到着。
鈴木さんはご主人にお酒を手渡して、お店貸し切り協力に感謝を述べていた。
「臨時会議前の密談か?」
「……いや、相談ごとだ」
「そうか。国取りでもするのか」
「………違う」
「…………」
席に着いて、参加メンバーを見た健介さんとユリエルさんの会話である。
不穏な言葉が聞こえたけど、只の恋愛絡みの相談だとユリエルさんが健介さんに話すとため息をついた。
「世界樹の国のエルフ族で『英雄』主催、『魔女』の倅の『鬼の商人』、『白虎姫ウルスラ』の伴侶、『無色の家系』の恐らく血縁者、『佐藤家』の長男坊、しかも『ドワーフ族の異端児』の店だ……何処の国が攻め滅ぼされるのかと思った………はぁー…。挨拶が遅れたが私は只の『健介』だ。今日はよろしく頼む」
私は半分以上何言っているかわからなかったけど、健介さんの挨拶を皮切りに各々自己紹介が始まった。
「……恋愛相談に乗って貰いたい只のユリエルだ」
「某は唐揚げ食いに来た、ただの次郎だ。今日はよろしくな」
「私めは可愛い御願い事に食材提供などを手配した、只の鈴木で御座います」
「私は堅物上司の相談なんて滅多に無い話しに食いついた、ただの累よ☆」
「私は美味しい料理と無料で酒が飲めると聞いて駆けつけた、只のカンジです」
「料理を担当するつばめです。何か有りましたらお声がけ下さい」
「エルフ族のローブに名前がつばめ?『神様』の養女様か。世界征服だったか」
「………だから違う」
自己紹介も終わったところで『トマスの食事処』のご主人にお酒を注文。
ビールで乾杯して男子会が開始した。ビール以降は飲み物は各自ご主人に注文方式。
卓上コンロで鍋に火をかける。
鍋が煮えるまではお通し代わりの塩茹でした枝豆、千切りピクルス、きゅうりのナムルを摘んでもらう。私は現在、卓上コンロで唐揚げを量産中だ。
「この瓶カラフルで可愛いけど、食べてもいいのかしら?」
「はい、どうぞどうぞ。唐揚げも揚がりましたよ」
「冷めたのも美味かったが、揚げたても最高だな!」
千切りピクスルはハルさんがスライスサーで千切りにしてくれた野菜をひとつひとつ層にして瓶に入れ、ピクルス液で漬けた物だ。
ユリエルさんにピクルス食べたいって言われので漬け込み時間を考慮して千切りにさせてもらった。
唐揚げは醤油唐揚げと塩唐揚げの2種類用意。
私は鍋の蓋を開けて、野菜が粗方煮えた所に、鶏肉団子と火の通りの早い野菜を投入。
「鍋の中身ってそうなってたんですね。先程火を付ける時は見えなかったので、驚きました」
「蓋半分しか開けませんでしたもんね。すいません。今日は和風鍋とトマト鍋がメインになります」
付けダレや鍋の具材、味の調整用に用意した調味料などを説明。お好きに食べてみて下さい。
「妹が言っていた辛い油はどれだ?」
「唐辛子オイルだと思われます…コレですね」
唐辛子オイルはオリーブオイルで唐辛子とニンニクを揚げてから瓶に移したヤツだね。
この間の女子会で椿さんが抱えて使っていたので、たぶん辛い油は唐辛子オイルだと思う。
鍋の蓋を取って中を確認すると、肉団子の色が変わっていたので頭と殻、背腸を取り除いて尻尾だけ残した海老を投入。
具材にキチンと火が通っているのを目視で確認してから、ユリエルさんに声をかける。
「ユリエルさん、もう1回確認してもらってもいいですか?」
「………あぁ」
男子会用に改良した毒物反応などを調べる指輪の魔道具で、ユリエルさんに鍋の中身を確認してもらう。唐揚げの時もお願いしました。
健介さんも自前の指輪で手をかざしてから料理などは口に運んでいるが、こちらも確認してますよ〜のスタンス。
調理前の材料や鍋の中身、ソース類、ピクルスとかは事前に厨房に置いてある賞味期限の魔道具でチェックしたが、念のためにユリエルさんにも確認してもらう。
下処理した海老は生でも食べれるレベルだったから多分問題無いと思う。
「………大丈夫だ。ではいただこう」
「どっちから食べようかしら…迷うわー」
「うまっ!」
「いいもやしですね。トマトのスープと良く合います」
「つばめ様、美味しゅう御座います」
「旨いな。主人、酒の追加だ。端から1本ずつくれ」
「………私も端からくれ」
「はいよー、ケース入れて持って行くなー」
料理とお酒を楽しんでいると、ユリエルさんが本題を繰り出した。
「………意中の相手がいるのだが、100年程体の関係止まりだ……男から見てどう思う?」
その言葉聞いて全員フリーズした。最初に復活したのは健介さん。
「詳しく話せ」
雑談しながらの食事会から一転、男子会が本格的に始まる合図の言葉だった。




