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205話



 部屋に戻ってマシロさんとお絵描きしている…うん、マシロ画伯素晴らしい出来です。

 文字を書いたり、絵を描くのが前より上達している。色塗りもはみ出さずに塗れて来た様で、成果を見せてくれた。



 マシロさんを褒め称えているとハルさんが訪ねて来たので、マシロさんも連れて厨房に向かう事に。




「ちょっと見ない間に設備が揃って来ましたね」




「つばめ様が居ない間や夜に作業をしているので……まだ無いものもありますが、冷蔵庫、コンロや食洗機は使えます。大型のオーブンはコンスタンティン様の微調整と最終点検の後に使えて、後は………」




「大型のオーブン…どうしよう夢が広がる……」




「も…もしもーしつばめ様?」




 何作ろうかなワクワク。

 私が頭の中で色々考えていると、マシロさんが頬をムニムニとしてしている。はいはい、話しの続きね。素敵なムニムニありがとう。



 調理台3つに冷蔵庫、食洗機、コンロは普通サイズ4つ中サイズ3つ。どちらも鉄板が取り付け可能で、付属の物がある。便利。


 業務用の寸胴鍋が使える大コンロは必要なら設置する方向で、現在はスペースが空いている。あれだ、ラーメンのスープとか煮れる位の大きさか。




「後は…『製氷機付き』冷凍庫は設置はしてますが調節中、『フライヤー』、『炊飯器』、『トースター』、『レジスター』は準備中で、『トースター』はつばめ様がお使いになっている物であれば直ぐに準備出来るそうです。電卓と『ミキサー』、『フードプロセッサー』、『卓上コンロ』、『キッチンタイマー』は調理台下の収納スペースに仕舞ってあるので、使ってみて下さいと言われました。えっと…カール様が使っている物と一緒らしいですそれから…」




 メモ書きを見ながら必死に説明してくれているハルさんの話しを聞きながら、ニコニコが止まらない私。


 空調設備の使い方や、厨房と行き来が出来る食材保管庫。後は独立した大きめ物品保管庫。うん、素敵。その他使い方や細かな説明を聞いて、お次は鈴木さんの伝言。




「調理器具の手配をしたいので、必要ならお声がけ下さいと…1番近い日付ですと、今週金曜日の昼間…明後日ですね。それと、屋台などで使う物品があったら、そちらも店の紹介や物品の手配を引き受けて下さるそうです。一応私も店の場所は把握してるので、何か必要な物があれば聞いて下さると助かります」



 至れり尽くせりだね。明日の夕飯厨房で作ってみよう。

 ハルさんも明日の夕食にお誘いしたら、3階の共有スペースのキッチンの使い勝手の確認の為に夕飯を作るので、料理自体は味見程度をご所望。

ただ、調理風景を見学したいと言われたので了承した。







 ハルさんにお礼を言ってから市場調査がてら朝市で一緒に朝食を食べる約束し、私は2階の自宅に戻る。

 幾つか作業をしてからスコーンを片手に紅茶を飲み、考え事をする。



 厨房に固定されているコンロ等の魔道具は朝市で使えないが、調理自体には使える。


 卓上コンロやミキサーなどの魔道具は今のところ王都クリスタと学園都市内なら店舗外にも持ち出せるらしい…と、言う事は朝市でも使えるね。




 朝市で物を売る際は管理会社で登録が必要で、野菜などの収穫物は農業都市の南門から毎日検査されてから王都クリスタ内に出荷されている。



 屋台で食べ物を売る際は料理免許が必要。食材自体の検査は予め通っているので、調理済みの料理自体は賞味期限の魔道具などで検査は無い。売る方もそうだが、食べる方も自己責任。

 もし、南門から直接調理済みの食べ物を持ち込む際は野菜など同様検査を通っているそうだ。


 私は王都クリスタに住んでいるので、南門から出荷、検査された朝市の食材。もしくはクリスタ内の店舗で直接検査された食材を購入し、食べ物の販売をする事になる。


 管理会社に月もしくは年会費を払って朝市専用のレジスターをレンタルされ、食べ物を販売。売り上げの一部は管理会社に徴収されるが、会費も徴収金額もそんなに大した額じゃ無いのであまり問題はない。


 必要物品手配のメドと朝市で売る食べ物のメニューが粗方決まったら、管理会社に説明を受けに行くのと、屋台のレンタル品申し込みや登録を済ませようとハルさんに先程言われた。



 具体的なプランの話を聞いて、いよいよ食べ物を売るんだなと実感が湧いて来た。



 売る食べ物は厨房設備を使いながら決めるとして……物品もそれからかな?


 私は朝市の管理会社発行の手引き書やレンタル品一覧の紙を見ながら、鈴木さんの説得に頭を悩ませる羽目になった。



 蓋付きの大きい鍋とかレンタル品に載ってるんだよなぁ…これ借りたら悲しまれるかな?んー…………。







 お風呂に入りながらもまだ頭を悩ませ、お風呂から上がって、寝る支度をしながら考えがまとまったところでおやすみなさい。














 朝市でパンに肉を挟んだ物をハルさんと半分ずつ食べながら朝市出店の話しをする。




「色んな物を短期間で交代で売るんですか?」




「うん。将来的なお店の事も考えて、味付けとか提供量の大まかな目安も見たいんだ。後は季節や時間帯によっても売れる物って変わって来るから、あくまで本当に目安だけど……」




「そうですね。今の時期は温かい物が売れる時期ですしね」




 始めは温かいスープから、反応を見ながら徐々に違う物も売ろうかなと考えている。


 朝市の屋台は提供時間が短くて、手軽な食べ物が売れている様だ。

 1屋台で1品しか出店出来ない決まりで、トッピングなどで味を変えたりしている所もチラホラある。


 器は持ち込みだが、価格はスープやお粥だとお玉何杯分とかで計算しているみたい。


 いつも行くお粥屋さんはテーブルや椅子があるけど、椅子やお盆の貸し出しで提供してる所もある。

 串焼きや、今食べているパンに肉を挟んだ物は基本立ち食いだね。



 スープの屋台でポトフみたいな物をよそってもらい、隣りの屋台で買った鶏手羽を焼いた物を食べる。


 朝から肉って思うかも知れないが、割と獣人族の人が買うみたい。

 野菜売ってる農家の人が獣人族や人族が多いんだよね。

 屋台や洋服を売ってるのは人族、食器や調理器具はドワーフ族。


 たまに露店などで『食事中』って立札見るから、売り手側も朝市で食事を取る人も結構居るみたい。


 客層は時間帯によって違う。早朝は獣人族多め、後半はドワーフ族。人族は均等にって感じ。


 前半は獣人族半分、人族半分。

 後半はドワーフ族4分の1、獣人族4分の1、人族半分。


 大まかに分けるとこんな感じだが、朝市を利用する全体時間の半分が人族になる事に。次に多いのが獣人族でドワーフ族が少なめ。


 食材を買う客や食事の屋台を利用する人族も多いけど、獣人族の方が肉の摂取量が多いので、肉類の屋台も割とある。


 ただ、ハルさんの肉の摂取量を見ると食事と言うよりちょっとつまむ位の感覚の獣人族が多いのかな?


 見た感じだと、全体的に食事で屋台を利用するのも作るのも人族がメインだね。



 私は鶏手羽に齧り付きながら最初に売るスープの具を何にするか頭の中で巡らせていた。




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