22 目覚め前クマ5
「人族の国の異世界人の話しなら知っていますが、人族とあまり変わらない容姿をしていたと聞きましたが?」
「500年前の異世界人なら日本人だから、こちらの人族と似通った見た目かな?向こうの世界には色々な容姿の人がいるけど『人』に分類される種族は人族しか居ないんだよ」
人族しか居ない世界ってどんなだろう…不思議な世界だなー。
500年ぶりに現れたのが僕の上に落っこちて来た女神かぁー。
次元の裂け目がーとか、魔石が無い世界だーとか皐月先生とコンスタンティン様は色々お話ししてるけど、僕にはよくわからないよ。
「ここの検査と私の方で調べたけど、体内魔力が不安定な以外は問題ないよ。私の居住区に連れ帰りたいけど、残念ながらむさ苦しい男しか居ないからね。意識のない女神の面倒を見るのは無理かな?何処かで部屋を手配して、女性に面倒みてもらって。くれぐれも失礼の無い様にね」
「目が覚めるのに1〜2日かかると思うから、起きたらユリエルに伝えてね?」と言ってコンスタンティン様は部屋を後にした。
「とりあえず、目が覚めるまでこのまま医務室の個室で様子を見ましょう。幸いここはあまり人が来ないし…夜は私が泊まり込むわ」
その後しばらくするとユリエル長官がまた来た…なんだかお顔がゲッソリしてるよ?
「あぁ…ここで面倒を見てくれるのは正直助かる…」
とりあえずユリエル長官の親戚って事にして、エルフ族用の客間と身の回りの世話をする侍女を手配するみたい。
異世界人だと言うのは口外しない様にと言われたよ。
その後、僕は軍の訓練場に戻って隊長に回し蹴りされたけど、皐月先生に一筆書いてもらったお手紙を見せたら「大変だったな。すまない蹴って」と謝られた。
僕は急患を医務室に連れてって付き添いしてた事になったらしい。嘘は言ってないよね。
異世界人かぁー…結局女神の目は何色だったんだろう?気になるなー。
もう会うことも無いんだろうなぁ……
女神こと、つばめの目の色をウェルエルが知るのは約3ヶ月先の話しーーー