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178.5 名無し4



 事の発端は建国約200年後に表の当主が暗殺されたのが始まりだった。


「犯人は見つからなかったけど、神聖帝国の息がかかってるのは明らかだったんだけどな?その時は一旦裏の影が当主代理を勤めて若い表次代に引き継ぐ予定だったんだけど…表次代も亡くなってね。結局そのまま次代の影が次の当主の座に着いた」



 恐らく次代も神聖帝国の息がかかった者に殺されたが、そうは思わなかった者もいた。



「表の血族が中途半端に生きてたのも相まって疑心暗鬼になったのかな?血筋の濃さで言えば次代の影が当主になっても別に変じゃ無かったんだけどね」



 国が独立してからはおいそれと外部からの暗殺の心配が格段に少なくなったが、たまたま成功した立て続けの2度の暗殺で逆に内部抗争が耐えなくなった。




「お互いのいがみ合いも終わったと思ったら、今度はスタンピードのどさくさに紛れて変なヤツが出て来ちゃってね。私の家の敷地内に住み始めちゃったんだよ…アレは困るよ、どうにかしてくれないかな?また殺し合いも再発してるしみたいだし」




「……いや、そう言われましても」




「大体は神聖帝国の所為だけど…そっちは国家間の内政干渉だって言ってしょっ引くから、君の家の方は君が何とかしてくれないかな?なまじ頭と能力がいいから尻尾も出さないしもうお手上げだよ…殺し合いに使う位なら別の事に使ってくれない?」




「なんか…すいませんでした」




「全くだよ?せめて、人様の家で殺ルんじゃ無くてどっか他所で殺ッテ。それなら私も文句言わなかったのに」




「申し訳ありません…」




 他所でヤルのは有りなのね。神様の基準はわからないわ。


 カイザス国は種族混合国家の為、他に比べて法律関係に結構穴があるの。細かく決め過ぎると種族の生活様式や習慣などで些細な事で逮捕者続出だものね。


 まぁ、私も穴を使って法律に引っかからない程度で任務を遂行してたのでなんとも言えないわね。お陰で偽名も使い放題で色んな所に侵入し放題だったわ。




「君の家系の『能力』は確かに色々便利だし、使い方によってはいいと思うよ?でも、流石に君の父親はやり過ぎだからせめて何かしらの犯罪証拠を揃えて、それが駄目なら映像記録回覧許可が出るレベルの現行犯逮捕して、余罪を調べてこの国から出してやりたいね。個人的には」




「はぁ…あの人そんなにコンスタンティン様に何かしたんですか?」




「そこから?そもそものキッカケの息子だよ」




 私の父親はコトの発端の元当主代理の息子らしい…次代の影?え?何歳よあの人。




「長年色んな所から狙われて、更に殺し合いまで始めたのに証拠も残さず生き残ってるんだよ。凄いよね?私が言うのも何だけど、やっぱり化け物だよ」




「………」





 神様ですら『化け物』と言わしめる人物を現行犯で逮捕しなきゃいけない私泣いてもいいかしら?






 こうして私はコンスタンティン様の忠実な『犬』になる代わりに、父親以外の家族の身の安全を保障された。




「因みに刑を受けて生き残ってる人は何処に?」




「荒野の地…魔大陸だよ。大丈夫、まだ生きてはいるよ?」




 前言撤回。忠実は辞めてたまに噛み付く位の『犬』になる事にするわね。

 魔大陸なんて未知の土地に放り込まれた冬美様の長女の安否が心配で仕方がないわ。









 始めに王子様を通して冬美様家族と妹の夏美に状況説明。

 もうなりふり構ってられないのでコンスタンティン様に話された内容をそっくりそのまま話した。私の正体も『無色の家系』のいざこざも。最悪全員私の父親に殺される可能性がある事も。


 直接行動を共にする王子様には私の能力も話した。




「アニキ…そんな事出来るんですか?俄には信じられない」




「見た方が早いわ。手を出してアナタの部屋は何処?」




「こっちです」




 私は王子様の手を握った後に案内された部屋の横にある銀のプレートに魔道具の指輪を翳した。




 ガチャッ




「え?本当に開いた!!!」




 私は触れた相手の魔力を借りられる『人物コピー』の能力保持者だ。

 原理は知らずに使っていたのだけれどコンスタンティン様の話しを聞いて、魔力の色をコピーしてるんだとやっと理解したわ。



 勿論父親も同じ能力を持っているの…本当厄介だわ。

 でも、私は神様が味方よ!違法スレスレの任務じゃ無くて、合法的に範囲無制限の通行許可を手に入れた私はこれから遠慮なく侵入…じゃ無かった、どんな部屋にも入室可能で調べ物がはかどるわね。ふはははは。




 と、思っていた時期が私にもありました。


 出て来るのは父親とは違うヤツの不正や違法取り引きの証拠ばかり。

 とりあえず、コンスタンティン様に紹介されたユリエル長官に渡すと悪い顔して喜んでいたので良しとするわ。



 そりゃ、300年尻尾を出さなかったんですもの…そう簡単には行かないわよね。




補足


 累パパは王様が表の当主になった時に改名して、王様と累パパは同姓同名です。

 現在表の当主が王様、王様の影武者(影)が累パパ。


 戸籍と違って家系図は正式書類じゃ無いので、影の血が入っても記載はなし。

 第3王妃と累パパが結婚して累と夏美が産まれ、既に離婚。夏美は離婚時に養子に出された事になっています。




 カイザス国は監視社会ですが、よっぽどの事じゃ無いと本人の同意無しに国の監視カメラ的な何かを見る事はできません。


 しかし、被害者と思われる人が国に音声記録の開示を求める場合があり、音声の内容を吟味され、監視カメラ的な何かの回覧制限が解除される場合があります。


 ユリエルが侍女に迫られた時は音声記録の開示を求め、監視員が確認後、映像記録の閲覧制限が解除された為に監視カメラ的な何かの内容を確認。ユリエルが冤罪をかけられる事はありませんでした。



 因みに盗撮は駄目ですが、個人で監視の魔道具を防犯等の為に設置するのは自由です。店舗とか自宅とか馬車に。

 今回は使いませんでしたが、ユリエルは保身の為に個人でカメラ持ち歩いてます。




ー?????室ー



『ユリエル様!抱いて下さい!!』


『………断る』


監視員(ま〜たユリエル長官襲われそうになったのか…毎度お疲れ様。映像記録閲覧許可出しときます。)



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