171話
用意された部屋のお風呂をお借りして頭や体を洗い、湯船に浸かる。
ユリエルさんは大丈夫って言ってたけど、マシロさん本当に大丈夫かなぁ………心配。
前にクマさんが夜の抜き打ち結界テストの時に「侵入者が来てお姉ちゃんがそのままお家に居ると、最悪人質にされてスライムが戦い辛くなるから早く逃げてあげて」ってアドバイス貰ってたんだけど、心配はしちゃうよね。マシロさんに会いたい。
帰ったらマシロさんには沢山お礼を言おう！絵本も買って一緒に読んで、何ならマシロさんの好きな甘いお菓子も作って食べて貰おう。
お風呂から上がって、スキンケアをして髪を乾かす。ついでに歯磨き。
寝巻きは上下に分かれたパジャマでした…私が普段着てるワンピースみたいなのよりお腹の防御力高いね。こんな感じの寝巻き私も欲しいです。
リビングに戻ると家政婦の春日井さんが待機していたので、洗っていただいた洗濯物を受け取り就寝の挨拶をする。
「何かありましたら、こちらのベルでお呼び下さい。軽食とお飲み物はリビングに置いて起きますので、よければお召し上がり下さい」
「わかりました、ごはんは後でいただきます」
「明日の朝食の前にお声掛け致します。本日はごゆっくりお過ごし下さい。それでは失礼いたします」
「ありがとうございます。おやすみなさい」
まさか軽食を用意して貰えるとは思わなかったので、歯磨きしちゃった。食べ終わったらもう一度磨こう。
明日の洋服だけ残して、残りの洗濯物は鞄に仕舞う。
鈴木さんには明日の仕事の送り迎えは無しで、お昼にこのエルフ族大使館に馬車で迎えに来てくれる旨をユリエルさんが手紙で伝えてくれたそうで、既に了承の返事も来たらしい。先程の家政婦の春日井さんが教えてくれた。
つばめ夜食
ステーキサンド
野菜スープ
カットフルーツ
紅茶
牛肉がギッチリ詰まったステーキサンドは、マスタードが効いていて美味しい。
そう言えば、マヨネーズは買ったけどマスタード買うの忘れた。今度西地下街に行ったら買おう。
私もお弁当用のサンドイッチに使いたい。何ならケチャップも買ってホットドッグにしてもいいね！
野菜スープは小さめの鍋で置いてあったので、オタマでお皿によそって食べた。結局お皿に3杯分全部…食べすぎかな？よく考えたら、今日はこれで2食目だからまぁいっか。
色とりどりのカットフルーツはメロン、葡萄、苺、オレンジ、とどれも甘くて美味しいです。結局全部食べた。今日2食目だから…（略）
紅茶を飲み干して、ごちそうさま。
洗面所に戻り、再び歯磨きして暫くリビングでボケーっとして寝室のベッドに横になる。
肌触りのいいリネンに顔を埋めながら少し考え事。
第7長官室の仕事は落ち着いたみたいなので、そろそろ何か食品関係売りたい。
店舗販売は食品販売資格の受講が終わって無いので出来ないが、西地下街、東大通りの朝市、後は店舗を持っているお店に委託販売を依頼すれば出来ると思うんだ。
法律関係の本や料理免許の参考書に書いてあったが、食品の賞味期限などを調べる魔道具で検査してもらえれば出来ると思う。
明日は丁度鈴木商会会長の鈴木さんに会うので、ちょっと相談してみよう。
その前にユリエルさんかな？いつ出勤減らせるか分からない。
瑞希さんはスパイ活動してたけど、第7長官室の仕事はどうなるんだろう…謎。
調べるだけ調べて、直ぐに行動に移せる様にしようかな。
まぁ、残党っぽい人達が捕まってからになるだろうけどユリエルさんの話ぶりだと今日か明日には捕まりそうだしね。
とりあえず、今日はもう寝よう…おやすみなさい。
寝てる間に外で大捕物が行われてるとは知らず、呑気にスャしてた。
私がその事実を知ったのは、次の日ユリエルさんと朝食を食べている時だった。
「………残党がこの敷地内に侵入した。昨日の夜に捕らえたが、スパイの話しだと残りは3人だそうだ」
「うわー。全然気が付きませんでした……」
「………建物の中までは入れて無いからな。私もこれから残党狩りだが、つばめの首輪を外さなければならならい。少し早いが、朝食後暫くしたら鈴木殿が迎えに来る。支度してくれ」
「本当に出かけて大丈夫ですか？」
「………あぁ。むしろ出かけてくれ。隠れてるヤツが出て来るかもしれん」
「…………」
アレか、私はまた囮にされる感じか。調理器具をオーダーしに行くのは楽しみだったけど、一気に出かけたく無くなって来たよ。
ユリエルさんはパンにマーマレードジャムを乗せながらモグモグしている。
所作は凄い綺麗なんだけど、カゴいっぱいに積まれたパンにジャムを塗りながら黙々と食べる姿は若干シュールだ。と言うか、それしか朝食を食べて無い。
ジャムを気に入ってくれたみたいで大変嬉しいが…栄養バランスとか大丈夫かな？
私はちゃんとした朝食いただいてますよ。
昨日のステーキサンドの時も思ったが、ユリエルさんがあんまり食べない肉とか出て来たから、わざわざ私用に用意してくれたみたいだ。ありがとうございます。大変美味しいです。
