169話
昨日は瑞希さんの変装や魔王の変身を見た日だったな…どっちも衝撃だったね。特に白いうさぎのもふもふ具合、衝撃だったね。
懐中時計を確認すると、現在時刻は5時すぎ。夜中に寝たのであんまり睡眠時間は取れて無いが、朝食の支度をしてしまおう。何作ろうかなぁー。
カーディガンを羽織って緑ローブを着用し、ドアを開けると何故かユリエルさんが居たよ。ビックリした。
「おはようございます…早起きですね?」
「つばめ、もう夕方だ。早く無い」
全然おはようの時間じゃ無かった。
道理で眠く無いはずだよ。朝の5時じゃ無くて、夕方17時だったらしい。コンスタンティンさんに朝食作るの忘れた…後で謝ろう。
『囮役』で釣れた方々を捕まえるのに時間がかかるのと、私自身が家に帰れるのが遅くなるかもと言われていたので一応着替えと洗面用具位は持って来た。
目覚まし時計も持って来ればよかったな…それか、懐中時計にアラーム機能とか着けられないかな?スマホが無いって結構不便だね。
「残党を数人取り逃した。今日は私の所に泊まれ。コンスタンティンの所は世話する者が居ないから泊まるのは不便だろう。明日の司書の仕事は今からしろ」
「今から仕事は了解しました。明日仕事終わりに鈴木さんと出掛ける予定だったんですけど、キャンセルしますね」
カールさんが作り置きしてくれたサンドイッチを食べながら、ユリエルさんとお話しをしている。
この中に入っている具の豆腐ハンバーグ相変わらず美味しい。豆腐は何処に売ってますか?
ユリエルさん以外は皆んな出掛けているみたいだ。
「いや、今日中に片付くだろう。出かけて構わない…もし明日までに何ともならないなら私も残党狩りに参加する」
「わかりました」
「ところで、昨日つばめがくれた苺のジャムは何処に行けば買えるんだ?」
「あれは私が煮たんですよ。バタバタしてたので、ユリエルさんとロジャーさんに説明するの忘れてました」
「………そうか」
賞味期限とかは説明したけど、瑞希さんの衝撃が強すぎて手作りだって伝え忘れてたな…すいません。
そう言えば何人かは好きな果物の話ししかしていなかったかも。
ユリエルさんには苺とオレンジのマーマレードのジャムを贈ったが、苺ジャムが気に入ったみたいだ。よかったよかった。
あ、ロジャーさんにもユリエルさんとお揃いで同じ物をプレゼントしたが、鈴木さんに贈ったオレンジのマーマレードがロジャーさんと被った。今頃気がついたよ。どうせなら違う味を贈れば良かった。
作ると決めた時は家族だって知らなかったからなぁ…まぁ、鈴木さんには料理にも使えるって伝えてあるから大丈夫かな?日持ちもするし。
さつまいものケーキサクレを食べ終わり、着替えてから禁書庫に用意してあると言われた委託解析の翻訳仕事を片付けていると、コンスタンティンさんとカールさんが見覚えのある保冷袋を持って現れた。
「ジャムってこれかな?」
「はい!その保冷袋に入れてました」
「つばめ様、中を確認してもらってもいいですか?1つ食べられてしまって…」
誰がジャム食べたのかな?もふもふ魔王ですか?
言われた通りに確認してみると、保冷袋の中はまだ冷たい。
1回保冷剤に触れれば、3日は冷蔵庫機能が持続するらしいので……カールさんに送る予定だったバナナのジャムが無い。
因みにコンスタンティンさんは小さい瓶で全種類。カールさんは中瓶でバナナとオレンジのマーマレードを送る予定だったのだ。
マーマレードだと料理だけで無く、菓子作りにも使いやすいだろうと思ったんだけどな。是非パウンドケーキとかに使って焼いて欲しい。
「カールさん用のバナナジャムが無いですね」
「そ…そんな…」
いつもニコニコしてるカールさんが珍しく表情を崩して、絶望感漂う顔で立ち尽くしている。
よりにもよってバナナのジャムはストックも作って無いので、また作らないと用意出来ない。
「主…」
「私のはあげないよ?」
暗い表情でピシリと固まったカールさんは、ため息をついた後ショボーンとしてる。そんなにバナナ好きだったかな?
ー
つばめ夕ごはん
サンドイッチ
豆腐ハンバーグ
きゅうりとトマト
卵
野菜スティック
さつまいものケーキサクレ
フルーツヨーグルト