163話
まだ色々見たい所もあるが、今日はこれにて終了。あんまり私の買い物に皆さんを付き合わせても申し訳ない。
洋服もいっぱい買ったからこれ以上荷物増やしたら持てないしね。
場所は把握出来たので、もう1人でも買いに来れるよ!
ウルスラさんとカンジさんはこれから近くのお店にお酒を飲みに行くとの事で、地上のロッカー前で分かれて、私とクマさんは帰宅する事になった。
「クマさん。私の家で夕飯食べない?」
「お姉ちゃん家で?ん〜………折角だからお外に食べに行こうよ。お姉ちゃんも買い物して疲れたでしょ?僕お腹空いちゃった」
「外食賛成。でも、私お店とかわからない…」
「多分大通り沿い歩いてれば何かあるよ」
クマさんは自分のロッカーを開けて、ガサゴソ漁り始める。
ジャケットと靴を引っ張り出して、熊型から人型に変身してから着用していた。何回見ても不思議。その後、履いていた長靴をロッカーに入れて鍵を掛けて準備OKですか。
私も買ったもの仕舞おう。
結局、道路挟んで反対側の西大通りの獣人族向けメニューが置いてある、看板横に星ひとつ付いた大衆食堂みたいな所にドキワクしながら入ったよ。
大通り沿いの近辺だと、獣人族向けがここと小洒落たレストランっぽい所しか無かったので此方を選んだ。初見のレストランに入る勇気まだ無いな。
「大皿料理なんだ…中華系かな?」
「取り分けて一緒に食べよう。お姉ちゃん何にする?僕コレとコレとコレとコレと後コレと果物盛り合わせ」
「クマさんっていっぱい食べる?」
「うん。お姉ちゃんが残しても僕が食べるから好きなの頼んで」
頼もしいね!では、遠慮無く。
メニューを見ながらクマさんに相談して、店員さんに料理を注文。
つばめ夕ごはん
キャベツのごま油和え
棒棒鶏風サラダ
トマトと卵のスープ
海老とピーマンの春雨炒め
砂肝のニンニク炒め
豚バラ串焼き
鮭の蒸し物
さつまいもの蒸しパン
フルーツ盛り合わせ
白湯
味とかの前に言わせて。クマさん滅茶苦茶良く食べる。成長期だからかな…私と分けたとは言え、この品数をペロリだった。私の家でご飯だと多分量が足りなかったね。
こんなにクマさんが食べると思わなかったよお姉ちゃん。
外食勧めてくれてありがとうクマさん。お陰で色んな物を食べれて私は大満足。
質より量って感じの料理で、味付けも塩がメインだった。
ただ、香り付けにお酒とかごま油を使っているみたいで、料理によって風味が変わって飽きは無い。
砂肝の炒め物はニンニクが効いていて、パンチのある味だ。ちょっと硬めでコリコリしてて美味しいね。
私はトマトと卵のスープが気に入ったよ。多分だけど、鶏ガラみたいなの使ってるのかな?卵のふんわりした食感と、トマトの酸味がほんのりして美味しかった。満足。
クマさんは鮭が好きみたいで、夢中になって齧り付いてたね。
甘い物は蜂蜜が好きだが、食事だと鮭が好物らしい。異世界の熊も鮭好きなのかな?
食後のフルーツを食べながら…そう言えばメニューにお茶とか無いな?クマさんに聞いてみよう。
「クマさん、この店はお茶とか置いて無いのかな?」
「お茶は高いから、このお店には無いみたい…もぐもぐ」
一般の獣人族だと、あんまりお茶を飲む習慣とか無いらしい。前にウルスラさんとお昼した時は温かい烏龍茶を飲んだ記憶があるんだけどな?
「隊長は高級取りだからだと思うよ。それか、お姉ちゃんに合わせて用意してくれたのかも……もぐもぐ」
人族やエルフ族は食事量とか少ない代わりにお茶などの嗜好品を嗜む習慣はあるみたいだ。
しかし、食事を多く取る必要のある獣人族は、高いお茶を飲む位ならお腹の膨れる物を食べると言われた。因みにドワーフ族は酒代に消える。なるほど。
カンジさんのお母さんが人族なので、もしかしたらその影響もあるかも知れないと言われたよ。へー…お父さんがドワーフ族なんだ。
ウルスラさんは生粋の獣人族みたい。ベスティア国から結婚の為に移住して来たのか。
ちょっと私が開く予定のお店のメニューの参考にしたいから、もう少し詳しく聞いてみよう。
ー
クマと鮭
クマ「はぐはぐ…はぐはぐ…」
つばめ(シャケの大きな切り身が捕食されてる。人型だけどあの齧り方は捕食だと思う)
クマ「ペロリ。どうしたのお姉ちゃん?」
つばめ「私のも食べる?」
クマ「え!いいの?やったぁ♪…はぐはぐ」
つばめ(いっぱいお食べクマさん)