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155話



 私のお店の採用に関しての話は終わりと思ったら、ハルさんがとんでもない事を言い出した。








「あの!採用されたので、尻尾は切ったほうがいいですか?」




「ぜっっったいダメ!何で切るんですか!?」




 折角のもふもふが!と、思ったら…カイザス国の普通の飲食店の料理場では、毛の長い尻尾のある獣人族はあんまり働かないんだって。料理に毛が入る可能性があるから。








 orz






 いや、でも切るのはダメだ。

 皐月先生が前に話していたけど…手入れが大変とか乾かすの大変とか……何か何か解決策は無いかな?




「ちなみに部屋ではどうしてますか?床に落ちた毛の掃除とか…」




「こまめに掃除してます」








 orz






「あ、でも夜寝てる時は尻尾カバーをして、脚の間に挟んで寝てます。シーツに着くと取るのが大変なんで」




「厨房でもそうしましょう!」




「そしたら私が作ろうかな?ユリエルのローブみたいな性能付きで」




「コンスタンティンさんありがとうございますありがとうございますありがとうございます」




 尻尾チョッキンは回避した。よかった。これでハルさんのもふもふは守られたよ…私の心の平穏と共に。


 後日、尻尾を切らない選択をしてくれた事をハルさんに感謝された。私も同じ位、なんならそれ以上に感謝した。




 こうして本日の面接は無事に終了。





 その後、コンスタンティンさんは「ちょっと出かけてくる」と言って何処かに行ってしまった。









 カールさんと一緒に夕飯を作っ後に食べていると、皐月先生が部屋にやって来てプレゼントだと言って紙袋やらラッピングされた箱をいくつも渡される。何だろう?





「引越しおめでとう!救急箱とか後はシャンプーとトリートメントと化粧水と………」




 引越し祝いだと言って色々持たせてくれたのか。ありがとうございます。


 皐月先生は夕飯ももう済んだと言う事で、お茶だけ飲んで帰って行った。






 私はカールさんに案内されてお風呂場に向かう事に。

 前に着替えをした事はあったが、洗い場までは見たことなかったね。





「プールとシャワー室の隣がお風呂になります」




「プール?」




 脱衣所正面のドアを開けると9レーンの50メートルプールが現れたよ。わーお。


 ちょっと度肝を抜かれたが、家?の大きさ考えたらプールあっても変じゃ無いか………いや、そもそもコンスタンティンさんだしね。何でもアリだよねきっと。



 プールサイドを歩いて近くでプールを見せてもらう。「今は水深は5メートルあるので、もし泳ぐ際は気をつけて下さい」とカールさんに言われた…今はって何だろう?そして泳ぐ予定は無いので大丈夫です。大丈夫です。






 戻って脱衣所左のドアを開けると銭湯が現れた。

 ちゃんと富士山の絵もしっかりあるよ…コレは風呂じゃ無くて紛れもなく銭湯だと思う。あ、富士山じゃ無くて『霊山』か。




「洗濯の魔道具は後程使い方をお教えしますので、ドライヤーはそちらの洗面台の物をお使い下さい。それではごゆっくりどうぞ」




「ありがとうございます」




 壁際にある洗い場で身体を洗って、湯船に浸かる………ごくらくごくらくって言葉が似合うよね。あー…生き返る〜。


 今日1日あっと言う間の出来事でまだ実感あまり湧かないけど、明日から一人暮らしだと思ったら結構気が楽になったかも。


 街でお買い物とか楽しみだなー。好きな物作って食べて、そんで持って異世界満喫しよう。






 お風呂から出て髪を乾かし終わり、脱衣所を出るとカールさんが洗濯機の使い方を教えてくれた。

 コレと一緒の物が私の家にも設置されるみたい。水無し洗剤無しとかエコだね。30分位で終わるみたいだ。






「つばめ、ちょっと家の窓開けに一緒に行ってくれる?」




「はい」




 いつの間にか帰って来ていたコンスタンティンさんに手を握られると自宅玄関前に来た。




「窓って何処の窓ですか?」




「寝室のベランダの窓だよ。2階だとあそこしか窓開かないからね。窓もつばめしか開けられない様になってるんだ」



 玄関から入って、脱いだブーツを手に持って寝室に向かう。

 今日の夜はコンスタンティンさんが出入りするので、窓を開けっ放しにしとくそうだ。



 靴を履いて、ベランダに出てから右の壁際付近に立つ様に言われた。




「足元見てみて?バツ印の所に転移装置が埋め込んであるから覚えといて。一回私の居住区に帰るね」




 コンスタンティンさんの転移と違って足元床に円が浮かび上がって徐々に光出したと思ったら、全身光に包まれた…ま、眩しい!




「つばめ、目を開けて?着いたよ」




「何処ですかここ?」




「説明するより、見た方が早いから部屋から出ようか」




 薄暗い狭い部屋には扉が1つ。外に出ると、廊下にズラッとドア。あ、サンルームに行く時の廊下だ。


 廊下を歩くとコンスタンティンさんの部屋のリビングに戻ってきた。




「つばめが使う時は私を思い出しながら『転移発動』でも『運べ』でも言えばさっきの小部屋に着くから大丈夫。発動の呪文とかよりイメージが大事と言えばわかるかな?」




「なんとなく。コンスタンティンさん、ひとつ聞きたいんですけど…部屋の窓私が開けましたけど、コンスタンティンさんが直接私の部屋に転移とか出来ないんですか?」




「出来ないよ。あそこは防御結界があるから無理なんだ。もの凄い力技で無理矢理やれば出来なくも無いけど、家の方が壊れるかな?転移装置も、私が毎回転移すると結構コスパが悪いから設置させてもらったんだ。今日は魔道具運びが終わったらあの窓の作りも少し変えるから……詳しくはお茶飲みながらにしよっか。ちょっと疲れちゃった」




 そう言ってコンスタンティンさんは、リビングのソファにドカリと腰掛けた。




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