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148.5 椿6



『禁書庫の番人様は俗物本が好みですか?』



『最近こう言う本読んで無かったからよく分からない』



『いつものカミュ様本とシリーズ物の長い冒険小説とデートスポットのオススメ本もよければどうぞ』



『獣人族の冒険小説が続きが気になる』



『冒険小説の続きと獣人語で書かれた元の本も一緒にどうぞ。後、子ども向けですがエルフ族の絵本も追加しました』





 何度も禁書庫の番人様と本とメモや張り紙をやりとりして、暫く立った頃に異変があった。


 どうやら、地下の階層がいつの間にかひとつ増えて『前に読んだ本ここに並べて置いて』と新しい階層に張り紙がしてある。


 前司書長に相談したら、言われた通りにしようと言う事になってえっちらほっちら2人で本を運び入れた。






 しかし、1週間に何十冊も本を購入していると別の問題が浮上する。



「予算が組めない?」



「本の購入は1週間で10冊までにしてくれと言われてしまった」



「はい…」



 まだまだオススメの本はあるが、仕方ない。

 これからは禁書庫の番人様が特にお気に入りで、ストックしてあるカミュ様本優先か……と、思っていたら予期せぬ事態に発展。





 いつもの様に禁書庫の空っぽになった本棚に本を並べて、既読済みの本を新しい階層の部屋に移した。







 ー1週間後ー





「このカミュの本って原本は無いのかな?」




「だだだ…誰だっ!?」




「君のところの神様らしいよ?よろしくね」



 禁書庫のドアを開けたら自称神(笑)が扉の前で待ち構えていた。流石にそれは無いだろう。



「もしかして、禁書庫の番人様か?」



「そうとも呼ばれてるかな。ところで、何で今回はカミュの本しか無いの?君のオススメは?」



「えっと…それは…」



 予算が組めなくなって、冊数が制限された事を説明すると「ふーん?ちょっと待ってて」と言って禁書庫の部屋の奥に消えて行った。

 とりあえず空の棚に本を並べていると、再び禁書庫の番人様が戻ってきた。



「当面はコレで買って来てくれる?足りなかったらまた追加で渡すから」



「は…はあ」



 手渡されたのは指輪。



 多分お金がチャージされているんだろう…今日のところはそれで一旦帰って、また一週間後にと言う事になった。

 チャージされている金額によって、今後購入出来る本の冊数を決めようと思って残高を確認してみた。




 



「………いち、に、さん、よん、ご、ろく、なな、はち、きゅう、じゅ……」




 ゼロの数をゆっっっくり数えたが10から先は怖くて数えられなかった。

 壊れてるのかなこの指輪?こんな物をポンと渡す禁書庫の番人様はちょっと?かなり?金銭感覚麻痺してるのかもしれないな。



 前司書長に禁書庫の番人様と遭遇した事と、天文学的なお金が入った指輪を手渡されて本の購入に当てる様にと言われた事を説明したら、頭を掻きむしってから結局、言う通りにしようと言う事になった。




 指輪が使えるか心配だったがちゃんと使えたので、壊れてるのは禁書庫の番人様の方かも知れないと思ったのは本人には言えない。





 本も無事に購入出来て、何度か本と張り紙、たまに禁書庫の番人様改め『番人様』本人が直接リクエストや冗談を言われたり。カミュ様のご友人?またまたご冗談を。

 

 博識である『番人様』に本の翻訳解析アドバイスをもらったり、そんなやりとりを幾らか続けていると今度は王宮内で変事が起こった。



 王宮内部の粛清と後宮解体や王政廃止、更に暫く経つと文官長の顔触れがチラホラ変わった…かな?





 王宮司書は独立した機関だが、一応予算や人事の関係で3ヶ月に1回の文官長会議や半年に1回の文官と軍部の総長会議に参加している。



 3ヶ月に1回ある文官長会議終了後、新しい第1長官に声をかけられた。

 先程全体で挨拶されていたけど、個人的な挨拶か?それにしても、第2長官や年長者の第7長官を差し置いてわたしに声をかけるのは…………。


 あ、番人様の本購入予算組んで下さると?指輪返却しても、もう大丈夫?ありがとうございますありがとうございます(涙目)。


 あの指輪を持ち歩く精神的苦痛が減った。新しいプレート型の魔道具を手渡されてホッと一安心。



「……いち、に、さん、よん、ご、ろく、なな、はち。」



 今回はゼロの数が8で終わったが、毎週末に自動チャージされるらしい。

 あの指輪よりはマシだと思ったわたしも少し壊れかけてるのかもしれないな。



 ちなみに番人様に指輪を返却しようとしたら、「好きに使っていいよ?あげる」と、言われたので丁寧に辞退申し上げた。ご冗談がお好きな方だな。









 こうしてわたしの平穏な司書長業務が戻って来た。よかったよかった…。



 番人様がわたしの祖国、神聖帝国大地神教の『神様』だったと知るまでの暫くの間。



 わたしの名前はすめらぎ椿つばき

 神聖帝国の第1皇女として、幼児期を過ごす。

 カイザス国に史上最年少で留学生として学園都市の高等学校に入学し、後のベスティア国王『獅子王レオン』に学生としは唯一、ひと蹴り入れた幼女として知られる。


 カイザス国の高等部を次席で卒業し、最年少卒業生記録(8歳)を破った者はその後現れなかった。

 数々の最年少記録を叩き出し、後に『歩く知識の塊』や『自立型検索本』と呼ばれた。


 1番有名な逸話は、神聖帝国国教総選挙で選ばれる最高司祭になるより難しいとされる、カイザス国 (当時の)王宮司書長に皇家としては異例の初就任。

『神様に1番近い大地神教者』として、一時期大地神教上層部の者から嫉妬と羨望の眼差しを受ける事となった。




補足


 椿はカイザス国の高等部を次席で卒業していますが、主席はレオン。


 椿はテストの点数で、レオンは実技で諸々のハンデを押しのけゴリ推しして主席と次席の座を射止めました。


 『文の椿』、『武のレオン』として、後に学園都市で伝説となったとかならなかったとか。


 


 









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