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140話



「つばめに明日以降スパイをつける」



「え………」



 いつぞやの様に懐中時計をいじくり、結界と防音を発動させたと思ったらコレですよ。

 今日の仕事のダメ出しでもされると思っていたら、全然違う話しだった。



「名前は『かなで』。何処の所属か私は知らないが、つばめの護衛にとつけられたので護衛の仕事自体はしてくれるだろう。表向きは数日前から第7長官室の下っ端だ…使い物にならんがな。むしろヤツの所業で現在仕事が増えてあの書類の山だ」



 第7文官から第7長官室に仕事がどっさり流れて来ているのは奏君が原因みたいだ。

 ここで、ざっと第7長官室の仕事がどの様に回ってくるかなど仕組みを聞いた。

どうやら、奏君はお小遣い稼ぎをしているらしい…。



「賄賂をもらって仕事をこちらに回している様だ。多方私に口利きしとく、とでも言ってるんだろう…正直迷惑だが今は泳がせて太らせて、後で食べごろになったらまとめて叩き潰すので我慢しろ」



「ユリエルさん、そんな爽やかな笑顔で言うと寒気がするんでやめて下さい」



「どう潰そうかと思ったら愉快な気持ちが顔に現れた様だ。奏は君のおもりを任された気でいるが、私が見たところ正直そこまで強い訳じゃ無さそうだ。ローブとベルトとブーツは仕事中着用しておけ。この先もつばめの近くに誰か守ってくれるやつが常にいるとは限らない、自衛は大事だ。これから私がこの部屋に来れる頻度も少なくなるが、何かあれば職場で質問してくれて構わない」



「わかりました」



「明日は9時30〜16時で出勤しろ。昼は食堂で出るから侍女にいらないと伝えておけ」



 そう言ってユリエルさんは結界を解いて、部屋を後にした。




 私は夕食時に侍女さんに明日のお昼は職場で済ませる旨を伝えて、今日の夜の分の手紙を受け取る。



 一応目は通すよ…手紙の書き方とか言い回しが独特だったり、書いてある内容自体が勉強になったりする。

 まぁ、一番は面白い内容が紛れ込んでたりするからだけどね。




『娘を嫁にいかがですかな?』とか、エルフ族男性のローブを着たのは昨日だから最新版だなコレ誰だろう?


 佐原さんの息子さんからだ…ここ家族で手紙くれるんだよね。


 いや、息子さんこの間『3歳になるウチの娘マジ可愛い』的な事書いてあったじゃーん。

 佐原さんも『息子の孫可愛い』って写真みたいなの送ってくれたけど、猫耳の人形持ったほっぺぷくぷくの女の子でしたよ。


 そして、佐原さんの奥さんは『お茶会にいらしてください』や、息子さんの奥さんは『娘が最近イヤイヤ期で辛い。夫と義理父は娘を甘やかすので我儘になりつつあるが、義理母が怖い』的な事が書いてあった。


 返事出した事無いけど、レパートリーが豊富であの手この手で私の興味を引いて来るのをヒシヒシと感じる…罠だと知りながら毎回読ませてもらってますよ。



 そして、息子さんの弟がポエムを送ってくるのだが、これが一番ツッコミどころ満載だ。

『ひと目お会いしたその瞬間、私の心は…』とか、私とあなた会ったことないじゃん。

『お声はカナリヤの様で可愛らしく…』だから話したことないじゃーん。カナリアがどんな鳴き声か知らない私。



 因みに、私の声はそんな高くないよ…決して可愛らしい声してないからな。

 人違いですって返事を送りたいけど、後が怖いから今のところ王妃様以外に返事を書く予定はない。


 と、思っていた時期が私にもありましたーー。









「第3王子?」



 エデンの王族の数え方は中々独特。


 カイザス国だと、例えば第1王妃に子どもが8人、第4王妃に3人居たとする。

 産まれた子どもは第1王妃の第1王子、第2王女…第8王女と呼び方は男女で分けるが、基本産まれた順番だ。

 第4王妃も第1王女、第2王女、第3王子。と、産まれた順番。


 呼び方は第1王妃の第2王女、第4王妃の第2王女と名称だけで呼ぶとこんな感じ。

 鬼籍に入っても産まれた時の順番は変わらないらしい。



 現在、王政のエルフ族の国『ハイルング国』とドワーフ族の国『フォーゼライド国』はまた王族の表し方とか言い方は違うから、かなりややこしい。

 獣人族の国『ベスティア国』は王様はいるが、世襲制では無い。



 王妃は上のお子さんが亡くなったり、養子に出したと聞いたが、王子は変わらず第3王子のままだ。

ちなみに、王妃は序列が変わったりする事はあるらしいよ。



 元第4王妃の3番目に産まれた男の子…現在は王妃の第3王子から手紙が来ちゃった。



『母上には内緒だ。この手紙は内密にしろ。会って話がしたいから明日以降都合のいい日を教えてくれ』



 早速お断りの手紙を書いた。



『お困りのところ大変申し訳ございませんが、自身の生活基盤を整える為に当面は仕事とこの国の勉強に専念させて頂きます。お母様や王子様が大変な時期にお力になれず、誠に申し訳ございません。』



 正直、王妃は可愛そうだとは思うが…自分の事でいっぱいいっぱい。

 手紙を読んだ感じからして…いつか余裕が出来たらお茶くらいはしたいが、今は無理そう。


 さて、お風呂に入ってストレッチして寝よう!明日も仕事だからね。


 まさか、見学行ってそのまま就職するとは思わなかったな。おやすみなさい。





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