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135話



 時間が経つにつれて手紙が増えてきた。


 一応、王妃には『お助け出来なくて申し訳ありません』と手紙を出したが、今度は『お茶でもいかがですか?』と手紙が来たのでお断りの返事を出している。

 相変わらず盗撮されながらの勉強生活で結構神経使うなー…。自宅外装費の為に頑張れ私。



 職場見学に行く日にちが決定して、服装はどうしようかなと悩んでいたら、ユリエルさんはそのままで構わないと言われたが…私はこの白いゆるい感じのワンピースはどうかと思う…スーツとか無いかな?


 皐月先生にわざわざ相談しに行くのもな?と思い、最近話す様になった侍女さんに「ちゃんとした所に出かけるのにこの服は大丈夫ですか?」と聞いたら「おやめください」と言われてしまった。




 侍女さんが出かける時の服を手配してくれると言うので任せてしまって、その服を確認しないのが悪かった。










 ー職場見学当日ー




「コレは何ですか?」



「お出かけ用のドレスでございます。どちらになさいますか?」



「チェンジ!」



 相談した侍女さんと違う侍女さんが部屋に入って来た時点でちょっと嫌な予感がしていたが、まさかこんなピンクの可愛らしいフリフリやら、キラキラふわっふわなフラミンゴドレスを持って来るとは思わなかった。




 侍女さんと着る着ないの攻防戦を繰り広げていると、ユリエルさんと初見の男性が客間に来てしまった。



「………つばめ、何をしている」



「服装の認識の違いについて、侍女さんと交戦中です」



 ユリエルさんは侍女さんが用意したドレスに目をやりひと言。



「……….違う物にしてやれ」



「出来ればシンプルなシャツとズボンにしていただけると助かります」



「かしこまりました」





 侍女さんが部屋から出て行ったので、ユリエルさんが初見の男性を紹介してくれた。

 ロジャーさんと言う名前で第7長官室所属の副長さんだと言われた。



「……つばめの出身の事情も知っている」



「わかりました。こんな格好ですいません、つばめといいます」



「ロジャーと言います。つばめ様、よろしくお願いします」



 出身とは異世界の事だろう。

 自己紹介が終わった所で侍女さんが戻って来た…目に鮮やかなショッキングピンクのドレスを手に持って…………ズボンとシャツは何処ですか?








 侍女さんと一悶着あって、結局コンスタンティンさんの居住区に一時避難した。

 私の自宅建設で忙しい時期に本当申し訳ない。



 現在ロジャーさんがユリエルさん宅(カールさん所有)に服と靴を取りに行っている真っ最中。

 王宮からそんなに離れた場所じゃ無いので、30分もしないで帰って来るだろうと言われた。



 その間、服装の経緯について細かに話したが恐らく相談した侍女さんに邪魔が入ったんだろうと………。



「盗撮してる何処かの誰かが横槍入れたのかな?災難だったねつばめ」



「疲れました…こんな事になるとは思わなくて。すいませんでした」



「全くだ」



「ユリエルの事は気にしないで?出張で1人抜けてピリピリしてるだけだから」



「すいません………そう言えば、相談した侍女さんは大丈夫ですかね?唯一手紙を持って来ない人だったんですけど…」



「調べておくよ。悪い様にはしないから心配しないで?つばめに優しくしてくれたんだったら次の職場の手配くらいはしとくよ」



「ありがとうございます」



「ユリエル、君のところのが入り口でウロウロしてるから迎えに行ってあげて」



「ああ」









 しばらくしたら、荷物を抱えたロジャーさんとユリエルさんが部屋に入って来た。



「遅くなってすみません。荷物はどちらに置いたらいいでしょうか?」



 着替えはテーブルを運び込んだ脱衣所で行ってくれと言われたので移動。…コンスタンティンさんの居住区だから、客間の脱衣所よりも広々してて着替えるのには問題無さそうだ。と、言うか広すぎないかなこの脱衣所?


 第7長官室の職場見学は明日の午後に延期になったので、ゆっくり決めてと言われた…予定変更させてすいませんでした。





 とりあえずサイズが合う物を選んで着てみろと言われたので着てみるね…うん、これだよ私が求めていた物は!


 ワンピースの下に着ていた肌着とユリエルさんの白いシャツとガバチョパンツの様なズボンをベルトで固定して、靴下も着用し私はご満悦だ。


 編み上げのブーツは履くのに少し手間取ったが、サイズは大丈夫そう。

 深緑色のフードが付いた長い上着は手に持ってこんな感じで大丈夫ですか?と、リビングで待っていた方々にお披露目しに行く。



「……サイズは大丈夫だな」



「よくお似合いですよ」



「うわー。その色のローブ懐かしいからつばめ羽織ってみてよ」



 感想は三者三様だたが、コンスタンティンさんの謎発言で丈の長い上着…ローブって言うのか。懐かしいって何だろう?ちなみにカールさんは無言。



「ユリエルの若い頃を思い出すね。あの頃はふてぶてしくて…今もふてぶてしいかな?」



「…………部下の前ではおやめ下さい」



 懐かしいってそう言う事か。

 いや、待てよ…ローブって言ってたね。もしかしてコレがエルフ族の男性が着る緑色のローブか!

 種族学の教科書に載っていたローブはもう少し薄い…今ユリエルさんが着ている様な色味だったので気がつかなかった。



「随分濃い色のローブですね」



「成人したてはそんな色なんだよ。そのまま着たら?男よけに丁度いいよ」



「それもいいかも知れません。『此方から話しかけるまで男性は話しかけないで』とか『男扱いしてください』と言う意味合いで、稀に女性のエルフ族が着る事もありますよ」



「……100歳以下が着用すると『成人扱い』と言う意味もある。他種族が知っているかは良く分からないが」



 エルフ族じゃ無いけど着てもいいのかな?と、思ったけど「エルフ族以外が緑色のローブを着用してはいけないと言う決まりはありません」と、エルフ族のカールさんに言われたので、ローブも着用する事になった。







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