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130.5 王妃4


 案の定アイツが通う様になって直ぐに妊娠した。

 翌年には子どもが増えて………うん、凄い大変。



 下の子が1歳になる夏に妹が訪ねて来たが、4年ぶりの妹は見た目美男子になっていた………おかしいな。わたくしには弟なんていなかったが?



「姉上お久しぶりです。出産したのは知っていましたが、2人共女の子だったんですね」



「えーと…夏美なつみはまた一段とたくましくなったわね?」



 どうやら陛下対策らしい。

 あ、性転換した訳では無いのね………ちなみに夏美とは妹の名前で、わたくしは冬美ふゆみ



 陛下対策で髪のサイドを刈り上げるのはどうかと…似合っているからいいのだけれど。

 身長も随分と越されてしまった。



「姉上、お子様に家庭教師などいかがですか?」



「正直言って欲しいわ」



 上の娘は3歳、下の娘は1歳でわたくしと侍女2人と交代で見ているが、そろそろしっかり勉強の時間も欲しいところ。


 夏美が上の娘を見てくれている間に、わたくしは下の娘に絵本などを読み聞かせしたり過ごした。


 昼間に妹と陛下が鉢合わせしたがーー。



「冬哉の若い頃にそっくりだな」



 と、ひと言。昼間に陛下に会うのは初めてだったので、ちょっと新鮮だったが…冬哉って誰だっけ?あ、父か。

 父の顔を思い出せないので、私には似ているかわからないが…アイツ何しに来たの?


 ちなみに、アイツの言葉で夏美はとても嫌そうな顔をしていた。そっか、こんな顔だったのか10代の父は。



「姉上は諦めている様ですが、私は今でもここから連れ出したいと思っていますよ。幸い陛下の好みでは無い私は、学園卒業と同時に結婚させられる事は無いでしょう。国を出る準備を一緒にしませんか?」



「夏美………えぇ、そうね。わたくしもやれるだけの事はやるわ」



 昔の約束を覚えていてくれたのか………わたくしは叶わない願いだと思って忘れていたわ。


 後宮に入る前に空の魔石に魔力を込めるのは辞めてしまった。

 正直、空の魔石を手に入れたり、売る伝手も無かったから無理だったが。


 これからは夏美が持って来てくれた空の魔石に魔力を込めて、夏美に学園都市で売ってもらった。


 下の娘が学園を卒業したら逃亡しようと計画を練った…まずは子ども達の教育からだ。


 何処に行っても困らない様にしなければ。







 あれからアイツはわたくしの部屋に寄り付かないので、もう飽きたのかと油断していた。ある時フラリと部屋を訪れた。酒?臭い………。



「陛下、この部屋ではおやめください」



「よいではないか………ん?そなた子供と一緒に寝て居るのか?」



 ベッドにはスヤスヤ眠る娘2人。

 陛下はジーッと娘達を見ている……まさか若い娘が好みと言っていたが、年端も行かない自分の娘にまで手を出すなよ?



 そう言えば、上の子の時は陛下が先触れを出してたので、侍女に任せて他の部屋で寝ていたのだ。こんな夜急に来る事なんて今まで殆ど無かったし。



 その日は何故か帰って行ったが、次の日もわたくしの部屋に来て、ベッドを覗き込んでは帰って行くを繰り返していた………実害は無さそうなので少し様子見だ。








「明日はそなたを私の寝所に連れて行く。夜はそなたの部屋に誰か置け」




 仕方がないので、夜に娘達を寝かし付けた後は前回同様侍女にお願いした。


 いつもの時間に陛下は部屋を訪れて、娘達の寝顔をジーッと見た後陛下の寝所と言う所に来た………何だここは。豪華過ぎて目が潰れる。


 至る所に装飾の施された柱扉、置物や絵も飾ってある。ベッドなんて何人寝るんだよと言う位広い。







「もう行くのか?」



「はい、娘達が起きてしまうと侍女が困ります」



「せめて湯浴み位はして行け」



「…………はい」



 湯浴みの手伝いをする者を呼ぶと言われたが断って、場所だけ聞いて浴室に向かい、わたくしはささっと身体を洗って出て来る旨を伝えたら陛下に止められた…何?



「湯船に入れ、風邪を引くと子どもにうつるぞ」



 確かにそれは困るので、渋々だが身体をちゃんと洗って湯船に浸かった。広いわ。広すぎるわこのお風呂。

 お湯が出ている所が気になったが………龍の口からお湯が出ている…………なんて怖い者知らずな作りだろう。


 湯浴みを終えて、タオルで水気を拭き取り終わった時に気が付いた……いつまでぼーっと突っ立っているのよ。アンタは入らないの?



「ひとりで風呂になど入った事はない」



 普段は従僕が全てやってくれるみたいだ……何歳児だアンタ。



「陛下、せめて身体だけでもご自分で流して来ては?」



「うむ」



 陛下は「まだ帰るなよ」と言って広い風呂へ行った。

 わたくしが服を着ていると直ぐに戻って来た………床、ビッチャビチャなんですけど。


 仕方無いので、タオルを手渡して体の拭き方をレクチャーする…わたくしが拭いてあげる義理は無いわ。



「陛下、脇までキチンと拭いて下さい」



「うむ」



 ぎこちない手付きで拭き終わったが………あ、はい服も着れないのね。ボタン掛け違えてるよ…もう!貸しなさい。結局手伝った。



「服も着れないなんて。4歳児の妹でももう少しマシでした」



「………うむ」




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