14話
机の上の手紙を読んで返事が必要な物と不要な物に分けて行く。
ほぼ不要だけどね…一応はザッと読む。
今回は3通お返しを書く必要がある。
2通はどうしても無視出来ない人達から『お茶や食事をご一緒にいかがですか?』と言う内容だったのでお断りの返事を書く。
最後の1通は私の後見人から『また会えるかな?』と言う内容だった…実は一昨日のお休み前に帰りが遅くなったのは後見人の方から呼び出しがあって行ったのだが…どうしたんだろう?話し忘れた事でもあったのかな?
急ぎの用事だといけないので、ユリエルさんに確認してから返事は書こうと思う。
ガチャ
私は席を立ちお辞儀をして挨拶をした。
「おはようございますユリエル長官、ロジャー副官」
「………ああ」
「おはようございます、つばめさん。昨日お休みだったので凄い手紙の量ですね」
「ははは…タダでさえ多いのに2日分だと目を通すのも大変でした……あ!ユリエル長官、コンスタンティンさんから近々会いたいとお手紙いただいたのですが、何かお話し伺ってませんか?」
「………いや、私は聞いていない」
「休み前もお会いしてましたよね?立て続けにコンスタンティン様から会いたいなんて……もしかしてつばめさんが頼んでた魔道具が出来たんですかね?」
「なるほど、あり得そうですね。えっと…お手紙の返事は何て書けば正解ですかね?」
「返事は『そちらの都合に合わせます』で大丈夫ですよ。コンスタンティン様の呼び出しなら、仕事よりそちらを優先しましょう」
「わかりました、ありがとうございますロジャー副官。助かります」
ガチャッ
「おはようございますっ!!!」
「おはよう奏。また寝坊しましたね!寝癖が凄いですよ」
「おはようございます奏君」
元気良く入って来たのは奏君だ。
この『第7長官室』で働くのは全部で6人。
ユリエル長官とロジャー副官、臨時補佐官の私と雑務をこなす奏君だ。
後2人補佐官が居るが、現在他の街や他国に出張中で不在。
さて、私は手紙を書いて………
「ごめんね奏君、手紙を届けて来て欲しいんだけどお願い出来るかな?」
「はい、大丈夫ですよ!今日は…第三王子様と…王妃様と……うわぁ!コンスタンティン様!!?………相変わらず凄いメンツですね………急いで行ってきます!」
「いってらっしゃい、よろしくね」
ふぅ〜、終わった終わった。
いらない手紙はザザーッとゴミ袋に入れてとりあえず机の横に置いて置く。
さて、やっと仕事に取り掛かれる。私の第7長官室での主な仕事は翻訳作業だ。
ここカイザス国は様々な種族が集まるため共通語が主に使われているが、他国ではそうではない。
今、各国て使用してる言語をこの共通語に統一して行こうという働きかけがあるらしい。
教育にも共通語の授業が組み込まれるなどしているが、習得にバラつきがあり「話せても書けない」、「勉強途中」と言った具合に習得に差がある。
獣人族の国では部族ごとに言語が異なったり言葉の微妙なニュアンスが違ったりと、共通語を教える方も大変だと聞いた。
ただ、今のところ獣人族よりエルフ族の国が1番苦戦しているらしい。新しい共通語の言葉が覚え辛い環境だとか…
そこで私の出番。
やってきました異世界チート『自動翻訳』だ。