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129話



 余り長い時間結界の魔道具を展開していると怪しまれるので、解除すると言われた。


 そして解除した後は話しを合わせろとも。







 ユリエルさんはまた懐中時計をいじり、私達を覆っていた膜が無くなった。



「……つばめにこの国の中級魔道具は難しかったな。初級魔道具の本は読んでおいてくれ」



「ワカリマシタ」



 ちょっとユリエルさんの眉間に皺よってるけど…どうしたの?



「………つばめそんなに落ち込むな。明日また教えてやる。コンスタンティン様が自宅の話しをしたいと言っていたから、明日の午前中に居住区に一緒に行こう。いつもの時間に迎えに来る」



「はい。よろしくお願いしマス」



「………そろそろ昼なので私は失礼するが、侍女に明日の昼食は不要だと伝えておいてくれ。昼食は共にしよう」



「はい!」



 やったね。きっとコンスタンティンさんの居住区だからカールさんの手作りかな?いやー。あったかいご飯嬉しいな。



「………現金な奴め。そんなに私と食事するのが嬉しいか?私も楽しみにしているよ。でなまた明日」



「はい。楽しみにしてマス…また明日」




 正直言って先程より更にあんた誰だよ感が否めないが、昼食は素直に嬉しいので頷いておく。

 そして、ユリエルさんは部屋を出て行った。




 ……深呼吸して、侍女さんを呼ぶ用の呼び鈴みたいな物を鳴らす。




「昼食をお望みでしょうか?」



「はい、よろしくお願いします」



 しばらくしてから客室に台車を押しながら入室して来た侍女さんが、いつもの様に食堂室に食事を並べ始めた。早速話しかけてみる。



「スイマセン、明日の昼食はユリエルさんとご一緒するのでいらないです」



「畏まりました。その様に手配させて頂きます」



「よろしくお願いします」



 その後、侍女さんは部屋を後にしたので私は昼食を食べ始めた………なんか緊張するなぁ…薄味の食事が更によくわかんないや…いや、全部食べるけどね。



 食べ終わったら、台車に空のお皿を乗せて廊下に出しておく。




 さて、リビングで腹休めがてら初級魔道具の教科書を読み進める……………ダメだ。全然頭に入って来ないわ。寝室で読もう。



 一応目覚ましを2時間後にセットして、広いベッドの上でゴロンしながら教科書を読み進めて行く。



 魔石は魔物から取れるとか、魔石に特殊な魔法陣、刻印を刻み込む人を魔道具技師と言い、資格が無い人は魔道具を作ってはいけないし、販売も許可が無い店では売ってはいけない。



 後は、灯りやコンロ等とかの生活魔道具の殆どは初級魔道具に分類されて、一般の人でも使えるなど。



 最後に魔道具の発展の簡単な歴史で、年表が載っていた。

 法律関係の本と内容が被る部分もあったけど、カラーイラストとかがあるから分かりやすい。


 この『教科書も印刷の魔道具で作られました』なんて記載されていて、コピー機みたいな魔道具の紹介もあった。


 読み終わって暇になってしまったので、リビングのテーブルに置いてあった中学校の世界史の教科書を手に取る。



 中級魔道具使用免許(一部フィールド限定)の本は秘匿内容が書いてあるので、ユリエルさんが持って帰ってしまった。





 再び寝室に戻って教科書を見開く………縦長の教科書なので横に向きを変えるとどうやら世界地図みたいだけど…うん。どう言う事?





 大きな大陸は全部で3つ。『ヴァニア大陸』、『ネスト大陸』、『荒野の地(魔大陸)』と書かれているが…私の知っている世界地図とは何だか違う。




 エデンが地図の中心部分に載っているのは、日本の世界地図と変わらない。



 エデンから見て西北寄りにヴァニア大陸があるが全然形が違うし、遠いかな?


 ネスト大陸はエデンから見て西南の方。


 東の荒野の地(魔大陸)に至っては大まかな円は書いてあるが、もはや『?』マークで書いてあった。





 エデンが日本っぽいから他もそうなのかなーと、何となく思っていた私は寝耳に水状態。


 見開きの次は、折り畳まれた紙が教科書についていたので開けてみると、今度はエデンが東側に描かれた地図だった。



 中心は……もはや私のいた世界と大分形が違うので、位置がズレてるかもしれないがヨーロッパの方。 








 うーん………わからん。




 とりあえず世界地図の紙をまた折り畳んで世界史の教科書を読んでみる。


 折り畳まれた地図の中心部分は『世界樹の国』と呼ばれ、古いエルフ族の国だそうだ。



 恐らくこの世界で最も昔から存在する国で…いつからあるかは不明。

 首都には大きな『世界樹』と呼ばれる木がある事は知られているが、城壁結界と呼ばれる結界で都市は覆われ、国境線近くまで広範囲の結界で更に国全体が覆われているので、国内部の詳細はよく分かっていないみたいだね。



 ヴァニア大陸は戦争が勃発しているところで、国境線がコロコロ変わるので、大きな主要都市は載っているのに国境線の記載は無い。


 あれだ、折り畳まれた地図に主要都市を書き込んでみようとか教科書に書いてあるが、私は借り物なのでとりあえずそのまま読み進める。


 ネスト大陸は蟲人族と獣人族が主に暮らしている国だが、こちらも主要都市しか描かれていなかった……。



 最後に荒野の地(魔大陸)だが、どうやら魔族が暮らすと言うか…封印された土地らしい。



「あ、魔王」



 魔王もここにいるみたいで、魔族は結界内でまとめられた土地にいるみたいだ。


 たまに封印を抜け出して他の大陸に遊びに来ちゃう魔族もいるみたいだが、このエデンで見つけたら、まず近くの大人に知らせる様にと教科書には書いてあった。


 カイザス国の法律には密入国者は見つけ次第最寄りの政府機関や憲兵などに知らせるか、殺しても罪に問われないと書かれていたな。

 明日は聞く事がいっぱいありそうだ………。









 しばらく教科書を読んでいたが目覚まし時計が鳴ったのでリビングに移動する。



 お風呂でも入るか。

 盗撮と盗聴はリビングだけだと言っていたので、その言葉を信じて入浴する………んー…全くリラックス出来ないなー。

 いつもの様に考え事も浮かばないので、早めに上がってストレッチと軽い運動をリビングで行う…あんまり寝室に閉じ籠っても不自然かと思って頑張った。



 その後はリビングで再び教科書類を読み直し、夕方皐月先生が来てくれた。



「うん、魔力の安定もばっちりね。次は1週間後に来るから、疲れたら無理せずに休んで体調の不調があったら私の所に来るのよ?」



「…はい、わかりました」



「どうしたの?何だか元気が無いわね?」



「ちょっと皐月先生と毎日会えなくなるのが寂しくて……」



「あら、嬉しい。用事がなくても訪ねて来てくれれば会えるわ。いつでも来てちょうだい」



「ありがとうございます」



 皐月先生にはこの部屋に魔道具が設置された話しはしたが、外したと言う事にしてあるらしい。


 ただ、異世界の話やら、人に聞かれて不味い話はコンスタンティンさんの居住区以外では禁止だと伝えてあるみたいだ。



 ユリエルさん曰く「皐月に腹芸は出来ない。アイツは直ぐ顔に出るから詳細は伏せてある」らしいよ。






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