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128話



 何の囮かの理由をユリエルさんが話してくれた。



「あの魔道具を外して、犯人を割り出すのは簡単だ。だが、もっと炙り出したい」



 恐らく、今現在部屋にある盗聴や盗撮やら魔法感知の魔道具を外しても、また違う誰かが新たに魔道具を付けるだろうと言われた。次はもっと分かりづらく、さらに悪質な物が部屋に設置される可能性もある。



「犯人が複数いるんですか?」



「魔道具の設置指示を出したのは1人だが、君を狙う奴は沢山いるし、このタイプだと設置された魔道具の音声や映像記録を盗み見る事も出来る魔道具もある。わざわざ新たに仕掛けてくる事は今の所無いだろう。バレた時のリスクがデカい」



 狙われる様な事したかな私?



「君は書類上は人族だが、狙ってる奴はそうは思っていない。私の親戚でエルフ族だと思われてる」



「はぁ…」



「今現在、カイザス国内に戸籍があるエルフ族は全部で2人。私、後は軍に1人いるが、アレは若いが魔力量がそこまで多くない。それに少々厄介な問題を抱えている。魔力量が多く、若いエルフ族でさらに今のところ問題なさそうなのは国内で君しかいない状態だ…ここまでは分かったか?」



「はい、何となく…」



 あれ?カールさんは何処行ったの?



「その面構えだと分かってないだろう。普通のエルフ族は100歳過ぎないと国を出て来ない。つまり、28歳のエルフ族だと思われいる君は王宮に数多くいる人族の結婚相手として狙われている」



 いや、前に王妃から王子の結婚相手とか、ユリエルさんお金目当てで狙われてるって話しは聞いたが、今回は違うのかな?



「異世界人は常識が通じなくて面倒臭いな……。君の魔力量が多いだけで就職には困らず、最悪空の魔石に魔力を込めるだけで金になる。年齢も若いので魔力差が開いていないと思われているから、結婚して妊娠すれば魔力量が高い子どもが産まれる可能性がある」



「はぁ…」



「後は罪を犯した時に君が肩代わりしてくれると思っているのだろう」



 あー…やっとピンと来た。



 カイザス国で法に触れる犯罪行為をすると罰金刑だが、他の人が肩代わりしてもいいと言う抜け道みたいなのがある…大体は家族や親族だ。


 この場合だと、私の結婚相手が仮に罪を2000万ぺリン分犯したら、1000万ぺリンは共用財産から現金で支払い、残りは結婚相手が500万ぺリン、私が500万ぺリン魔力の強制徴収とか。


 例えばだけどね…もっと言うと罪を犯した本人に支払い能力が無いと、家族や親族まで罰金を強制的に徴収される。一族で連帯責任って事だ。



「君はエルフ族だと思われているし、魔力量により結婚して一族安泰だ。高魔力保持者の子どもが産まれれば、更に先の子孫まで恩恵に預かれる可能性がある。言わば権力を手にするには持ってこいだな………結婚相手は慎重に決めろよ」



「気をつけます。ご忠告感謝します」



 子どもが出来ないかもって心配してたけど、そもそも結婚相手も普通より気をつけないといけないのか。


 この話しだとよりどりみどりだけど、盗聴やら仕掛けて来るなら碌なのじゃ無いな…論外だ。



「この国も一枚岩じゃ無い。王族と名乗らせた一族をこの敷地内に招き入れ、権力を手にして甘い汁を啜っていた者達が、王族と名乗る一族を生贄にし、本人達は証拠不十分と言う、訳の分からない言い訳で罪を軽くして罰金刑で罪を帳消しにし、罪すら被らなかった奴らもうじゃうじゃいる。そいつらを一斉に捕まえる計画を立てていたが…イレギュラーな君が異世界から来た。ついでに罪状を上乗せしてココから叩き出したい」



 私巻き込まれたのね………流れ弾を弾く術は今の私には無さそうだけど…嫌だなー…。



「流石に悪質な魔道具が設置されたり、実害が出る前にはこちらが対応する。コンスタンティンが急ピッチで家の手配をするから安心しろ。長くはかからん。家の代金位は囮役をすれば私がくれてやる。嫌なら断れ…コンスタンティンは『つばめに演技とか出来るか心配だな?』と言っていたぞ」



 あ、2000万ぺリン払ってくれるのは助かるかも。ちょっとやる気出て来た。

 そしてコンスタンティンさんの心配する所がなんか違う感。まぁ、何とかなるか。



「家の外装費のついでに、資格と免許の発行代とか受講料代も出していただけるとありがたいです」



「ちゃっかりしているな。囮役が強かで私の良心の痛みが少し軽くなる………正直断られると思っていた」



「そうなんですか?」



 決定事項の様に話していたので、そんな感じには見えなかったけどな。



「コンスタンティンは引き受けるだろうと言っていたがな。まさかと思って君に囮役の話しをしてみてよかった。引き受けてくれて感謝する」



 うん。いい笑顔だよ。やっぱり殴りたいな…いや、暴力はダメだ。でも油性ペンで顔に落書き位させて欲しいわ。


 胡散臭い笑顔のせいで「良心の痛みが…」とか言っていたが、本当に痛みがあったのか怪しいレベル………借金帳消しになった事を今は喜ぼうかな。




 てか、私がさっきの歴史の授業で異世界の話しとかしてたらどうしていたんだろう?



「私が生まれた国もカイザス国の奴らにしてみれば異世界みたいなモノだ。『国内部の事は内緒だから』とか何とか言って、誤魔化して早めに結界を展開させていたな」



 ユリエルさんの生まれた国ってどんなだろう……今は話を黙って聞きます。すいませんでした。



「君には直接手出し不要だと、コンスタンティンがお達しを出しているが…恐らく近日中に君に接触したい者が現れる。直接話しかけて来る者は頭の悪い奴なので無視してかまわないし、君に直接接触した罰でいつでも裁けるから、そんなに気にしなくていいが………」






 今後これから起こりうるパターンをいくつか上げてもらって、対応策を教えてもらった。






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