124話
まず手洗いをする。
参考書にも1番始めに記載されていたので、手順通りに…手全体を水で濡らして液体石鹸を手に出す。掌全体、指の間、親指から指一本一本、手の裏、手首から肘近くまで液体石鹸で洗って…最後は肘で蛇口の水を出して指先から泡を流して行く。
清潔な布で指先から肘にかけて水気を拭き取れば準備完了だ。
キッチン横のテーブルの上に材料とは別のテーブルがあり、道具類が並べられている。
ホットケーキミックスは基準の物があるので、それを使ってくれと言われた。
ホットケーキミックスの中身は薄力粉、砂糖、ベーキングパウダー、塩が入っている物でカイザス国では一般的な物らしい。
他の材料は砂糖、粉砂糖、蜂蜜、片栗粉、果物類、油類、冷蔵庫に卵と牛乳とバターと冷えた水が入ってる。
道具はフライパン、鍋、菜箸、竹串、フォーク、スプーン、ナイフ、まな板、包丁、お玉、泡立て器、フライ返し、ボール、ザル、お皿、大きさや数も様々な種類がある。布巾、キッチンペーパー、ラップ………ラップあるんだ。計りとハサミも置いてあった。
とりあえず使う道具類と小皿3枚手に取りーー。
「カールさん質問しても大丈夫ですか?」
「はい、よろしいですよ」
「道具類って事前に洗ってありますか?このまま使っても大丈夫ですか?」
「そのまま使っていただいて問題ありません。全て食洗機で事前に洗ってあります」
「ありがとうございます」
作業台とかも全部綺麗にしてあるとの事で、そのまま使わせていただく。洗う手間が無いのは助かるね。
一旦作業台に道具類を置いて…冷蔵庫から卵1個と牛乳を出す。牛乳は瓶に入っていたのでボールに目分量で出してもう一度冷蔵庫へ仕舞う。卵もボールに割り入れて殻はゴミ箱にポイ。
泡立て器でシャカシャカか混ぜて………袋に入っていたホットケーキミックスを入れて更に混ぜる。
温めたフライパンに菜種油を垂らしてキッチンペーパーで拭き取り、スプーンですくったホットケーキミックスのたねを焼いてみる……両面焼いたら一口大のホットケーキが出来たので少し冷ましてからパクッと口に放り込んだ。
「え?」
カールさんが何だか驚いた顔をしているが、私は口をもぐもぐしながらそれどころでは無かったので考える…………私が思っていたより、あんまり甘く無いなこのホットケーキ。
事前に全体で200gのホットケーキミックスに入っている材料の分量を言われていたが、正直ピンと来なかったので焼いて味見してみた………よかった味見して。
とりあえず、今材料を混ぜてしまった物に蜂蜜を足して混ぜるか。
軽く油を染み込ませていたキッチンペーパーでフライパンを拭い、温めた後に厚手の濡らした布巾を軽く絞り、コンロ近くの作業台に広げて置く、フライパンの底を濡れた布巾の上に置くとジューーーッといい音。
少し冷めたフライパンを弱火にして、ホットケーキの種をお玉ですくって高い位置からフライパンの上に垂らす。綺麗な円形になりました。
キッチンタイマーをとりあえず4分にして焼いて行く。その間に果物の中にブルーベリーがあったのでボールに入れて………
「つばめ様、私も質問よろしいですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
ブルーベリーを軽く洗ってザルにあけ、水気を切り……小鍋にブルーベリーと砂糖を入れて混ぜ合わせ、加熱して行く。レモンを半分に切って加熱している鍋にレモンを絞って汁を鍋に入れる。レモン半分余ったな……もったいないから他にもソース作ろうかな。
「味見をしたのは蜂蜜を足したので何となくわかりましたが、フライパンに濡れた布巾を焼き付けたのは何故でしょうか?後ーーー」
ピピピピ、ピピピ…
タイマーが鳴ったので、パンケーキの焼き具合を見る…大丈夫そうなのでひっくり返して…次は3分でいいか。
「フライパンが熱いと綺麗な焼け目にならないので冷ましたんです」
「……そうでしたか」
後、ブルーベリーの鍋にレモン汁を入れると美味しくなるのかと聞かれたので、発色をよくする為だと鍋をかき混ぜながら答えた。
竹串で生地の中心部分に火が通っているか確認する…大丈夫そう。パンケーキが焼けたので、また食べる。
立ったままなので無作法で申し訳ない……もぐもぐ。甘さは丁度良くなったが思ったより膨らまないな…………筆記が簡単だったので実技もいけるかと思ったけれど、難しいかもしれない。
もう一つの果物系のソースは諦めよう。
手を洗ってレモンをラップに包んで冷蔵庫に仕舞わせてもらうとしよう。
鍋をかき混ぜて、一旦火を消して置いておくか。とりあえず、今混ぜてしまったタネは焼いて私が後で食べようかな。
大きめのフライパンを作業台から拝借して、同じ工程でパンケーキを2ついっぺんに焼く。
先程使っていたフライパンは小さめのものを2つ焼く。
生地で汚れた道具類を洗って洗いカゴに入れて置き、ブルーベリーの鍋を再加熱してヘラでかき混ぜ、たまに実を潰しながら次はどうしようかなと考える………牛乳と卵の泡立て時間を伸ばしてふっくら系にしてもいいが、私が個人的に違う味食べたいからバナナ入れてしっとり系にしちゃおうかな。よし、そうしよう。
小さいパンケーキが焼けた頃にベリーソースもトロミがついたので、味見してから一旦火を止めて放置。
小さいパンケーキはラップに包んで皿に乗せておく。
熟れたバナナを選んで皮を剥いてボールに入れ、潰しておく。
大きいパンケーキも焼けたのでこれもラップに包んでお皿に置いておく。
ボールに牛乳を先程より少なめにして入れ、卵も割り入れる。泡立て器で混ぜてホットケーキミックスと少し粉砂糖を足して混ぜ合わせて、最後に潰したバナナを入れて軽く混ぜ合わせる。
「もう一種類お作りになるのですか?」
「はい、さっきのは失敗してしまったので私が食べますね」
「レモンもそうですが、出来上がったホットケーキをラップに包んだ意味は何ですか?」
「食材の水分を保つ為です」
また、先に一枚焼いて味見したが…さっきのよりしっとりムチッとしてて美味しい。
今度は人に出す物なのでフライパン1つにつき、1枚のホットケーキを焼いて行く。
焼きたてを皿に1枚ずつ盛ってバターのカケラをパンケーキの中央に乗せて、ブルーベリーソースは小皿に入れてお好みでかけてもらおう。
「できました。バナナパンケーキです」
「つばめ様、失敗作の方も食べてみてもよいでしょうか?」
「ふわふわじゃないんですけど…大丈夫ですか?」
「構いませんよ」
もしかして作った物は全部採点されるのかな?実技ダメかもしれない。