123話
魔力は安定したので、もう出歩いても大丈夫だと皐月先生からお墨付きを得た。
ただ、一人で出歩くと迷子になるといけないので誰かしら一緒の方がいいと言われたわ。時計塔で外から建物見た時思ったけど、確かに広そうだもんね。
「コンスタンティン様の部屋に行くなら尚更ね。私もたまに道に迷って変な場所に行く事があるのよ」
「私もまだ道順は覚えて無いですね…」
道順に、何の変哲もない壁とか通るトコ何箇所もあるし…私一人だと永遠に辿り着けそうに無い。
とりあえずは誰かと一緒に行動しよう。今しばらくは部屋で勉強がメインだな。
皐月先生の往診は明日は様子見で来てくれるが、問題なければ確認のため1週間後に診察して、その先は具合の悪い時に医務室に来てくれれば大丈夫だと言われた。ご迷惑おかけしました。
「お部屋にいるならストレッチと軽い運動は毎日する事と、魔力が安定したのでお昼寝はもうしなくても大丈夫だけれど、疲れたら休む事。後は好きに過ごして大丈夫よ」
魔力は一回安定してしまえば、普通に生活する分にはよっぽどの事が無い限り揺らぐ事は無いと言われた。
「じゃぁ、また明日来るわね。お勉強頑張ってね」
「はい、ありがとうございました」
皐月先生も帰ったので、料理免許の勉強と平行して中学校の勉強をする。勉強前にどれくらい問題が解けるか確認のために、料理免許の過去問を解いて行く………99点。間違えたのはケアレスミスだった。意外と解けるな?
一応ざっと参考書を全部読んで、問題無さそうだったので中学校の勉強に移る前にカールさんが部屋を訪れた。
「つばめ様、出歩きの許可が出たと伺いましたがお間違えなかったでしょうか?」
「はい、皐月先生からもう大丈夫だと許可が出ました」
今日の昼食を自分で作ってみないかと言われた。私の昼食はまだ用意されていなかったので、侍女さんに声掛ければ大丈夫だな。
「ついでに、料理免許の実技試験にしたいと思います。パンケーキはお作りになれますか?」
「はい、多分大丈夫です」
侍女さんに「お昼ご飯いりません」と、伝えてから、コンスタンティンさんの居住区に向かう……あれ?
「いつもより道順が覚えやすいような気がするんですけど、何ででしょう?」
「魔力が安定したと聞きしましたので、おそらくその影響ですかね…認識障害の魔法なども組み込まれているので、許可者のつばめ様の魔力がキチンと読み取れている様です」
いつもの部屋の前に来て、カールさんが扉を開けてくれたのでお礼を行って入室する。
「いらっしゃい、つばめ」
「こんにちはコンスタンティンさん」
「キッチンに案内いたしますので、こちらです」
「カール、先に筆記の確認だよ?あんまり急かさないで」
「………申し訳ございません」
リビングに案内されて、試験勉強の進み具合を確認された。
先程解いた過去問の点数と参考書を読んだ事を伝えたら、今から筆記試験になった……早く無い?
「1時間30分以内に解いてね?はじめ」
100問あるが、問題文自体が短い物が多いので、そんなに大変では無い。マークシートだしね。
名前を書いて、問題を全部解いてから、見直しをして……大丈夫そうなので回答用紙をコンスタンティンさんに渡す。
紙の大きさよりやや面積が広い光る魔道具を使って、正解が記載されている紙を乗せてその上に私の解答用紙をのせる。
「うん、100点。合格おめでとう」
「ありがとうございます」
「では、キッチンの方にご案内いたします」
「私はここの片付けをするからそのままで大丈夫だよ?カールが待てない様だから先に行ってて?」
「はい、よろしくお願いします」
キッチンは奥の部屋にあった………アイランドキッチンだ。うわー!作業台広くてテンション上がる。
「素敵なキッチンですね!」
「お褒めに預かり光栄です」
カールさんが普段使っているキッチンらしい。先にコンロの使い方と物品、材料の確認作業をする。
制限時間は2時間で3枚以上のパンケーキを作って欲しいと言われた。
「そのままつばめ様の昼食になるので、好きな数を作って下さい。試食用にコンスタンティン様に1枚、私に1枚分あれば大丈夫です。アレンジは自由ですので、用意された物はお好きにお使い下さい。何かご質問は?」
「大丈夫そうです」
コンスタンティンさんも筆記試験の片付けが終わった様なので、キッチンの方に合流。
2人は何やらバインダーと筆記用具を持っていて、試験官って感じだ…ちょっと緊張する。
「それでは始めて下さい」
制限時間2時間………何枚焼こうかな?
10枚は食べすぎだな…私は8枚位にしとこう。って事は全部で10枚以上焼けばいいね。
余ったら持ち帰りさせてもらって、おやつにでも食べよう。時間足りるかな?