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120話



「正直に申しますと…飲食可能な室内を増設するか、1階も賃貸物件にする事をオススメする所で御座いましたが、心配無用で御座いましたね。野外調理ですと人目も引きますので、良いかと思われます」



「よかったです」



「1階の調理場や食材の保管場所など十分なスペースが御座いますよので、細かな内装はまた後日にして、2階部分のご質問をしてもよう御座いますか?」



「はい、お願いします」



 2階は店舗用のトイレ2つと私の住む場所だ。


 リビングと別に寝室1部屋とトイレ、広めのキッチン、お風呂がついている。

 寝室部分にベランダがついていて、外階段で屋上まで上がる事が出来る。

 玄関とは別に店舗に直接行けるドアもリビングにつけた。鈴木さんに幾つか質問を受ける。



「2階は特に問題無いかと…問題は3階で御座いますね。2部屋分賃貸物件と、この空白部分は何のご予定ですか?」



「2階リビングの吹き抜け部分ですね。灯り窓を3階あたりにつけて外の光を取り入れようかと思いまして」



「………なるほど。吹き抜けで御座いましたか。」








 ここで、カールさんが温かい紅茶とお茶請けにクッキーを持って来てくれた。お礼を言っていただく。


 何やら視線を感じた…鈴木さん?用意されたお茶には目も向けずジーっと私を見ている。

 どうかしたのかと、首を傾げると質問をされた。



「販売される物は野外調理以外にお決まりですか?」



「最初は1人ではじめると思うので、サンドイッチや持ち帰り出来るお惣菜、作り置き出来る焼き菓子を考えています。野外調理は少なくとも売り子さんが決まってからですかね…煙が出る物だと焼き鳥や焼肉も出来ますし、後はユリエルさんのアドバイス通りに需要を見てから決めてもいいかなと考えています」



「畏まりました。私めもアドバイスを申し上げますと、売る物が明確にお決まりで無く、4時間以上店を開けるならば、休憩の関係などで販売業務も出来る調理補助の者を1名以上雇った方が先の事を考えますとつばめ様のご負担が減るかとお見受け致します。」



「はい、わかりました。人を雇う際にはそうさせていただきます」



 そうか…休憩時間とかもあるなら私の他に調理出来る人がいると助かるかも。

 後は野菜の皮むきとか皿洗いだけでもやってもらえるなら大分楽……売れるかわからないけどね。ダメだったらもはや店も貸し店舗だな。


 そうなったら軒先借りて個人的に流しそうめんだけでもさせてもらおう。竹とかこの世界あるかな?



「王都クリスタの一般的な賃貸…アパートの作りや設備って何がついていますか?」



「単身者用、2人用の部屋の広さにもよりますがーー」






 単身者向けの格安物件だと大体1階に大家さんが住んでいて、共同設備の風呂やキッチン、食材の保管庫、洗濯場、場合によってはトイレも共同。

 2階以上が賃貸物件で部屋の広さは共同設備の充実具合によって違う。


 2人で住む場合は部屋に設備が充実している方が人気だとか。



 個人的にトイレは部屋に欲しいな…後収納スペース。ちょっと図面を一旦返していただいて、トイレとウォークインクローゼットを書き足す……3階部分は吹き抜けの関係でL字型になっているが、どうしても階段の位置で小さい部屋が余る……ここ洗濯場にしようかな?

 そしたら部屋にお風呂をつけて…………図面だと上の部屋、階段と廊下、Lの角部分に洗濯場、洗濯場の廊下前が下の部屋となるが、2階のベランダとベランダから続く外階段の関係でどうしても上の部屋が狭くなる。ちょっと窓の位置ずらして…待てよ……





「お風呂ってユニットバスが一般的ですか?洗い場はあった方がいいですかね?」




「お好きに書いて見て下さいませ。何なら2部屋違う設備でも良いとかと存じます。……上の部屋ですとシャワーだけでもよう御座いますよ。」




「つばめ、洗濯機は乾燥機付きにしてあげるから下の部屋にベランダ無しでいいよ?店の正面にベランダ置くと見栄えが悪い。それ布団敷く間取りみたいだから、部屋に小さいの置くより大きい洗濯機共同の方が布団丸洗いできるよ」



 鈴木さんとコンスタンティンさんから助け舟が出た………よし、出来た。


 上の部屋に3階用ベランダ、トイレ、シャワー室、洗面脱衣所、階段下がウォークインクローゼット、窓1つ。

 下の部屋にトイレ、ユニットバス、洗面脱衣所、ウォークインクローゼット、窓3つ。

L字の角に洗濯場………。うん。




「部屋に設備詰め込んだら半端な部屋になっちゃいましたね……えっと…もし通いで働きたい方がいたらロッカールームか休憩室にしてもいいですかね?そしたら制服とか共同の洗濯機で洗えますし」



「そうで御座いますね。良いと思われます。」



 ロッカーを書いて…



「真ん中にロッカーでございますか?窓部分で御座いますが…」



「背の高いロッカーにしたら壁代わりに区切れるかなと思いまして…窓は大きめにして灯り取りにしましょう。そしたらちょっと荷物取りに来た位なら昼間電気つけなくても大丈夫だと思います…多分…やっぱり窓は小さいの2つにします……ドアの代わりに天井からカーテンとか吊るせば最悪違う間取りに出来ますしね」




 楽しいな間取り考えるの。

 えっと……大きい窓から小さい窓2つにして。



 迷いながら、ルンルンで色々書き足したり消したりしている私は気づかなかった。鈴木さんがコンスタンティンさんに向けて苦笑いを向けていた事を。



 私がこの時の鈴木さんの心中を知るのは、大分後になってからだった。





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