117話
コンスタンティンさんが持って来てくれたドーナツをリビングでうまうま食べていると、テーブルに置きっぱなしだった小学校の保健体育と中学校の種族学の教科書をコンスタンティンが手に取り、まだ読んで無いか確認された。
「まだ読んで無いです…もぐもぐ」
「じゃあ、皐月に習うといいよ。主に性教育の為に用意したけど、女性に聞いた方がいいと思うよ?」
「ごふっ………」
何となく保健体育はそうかなって思っていたけど、あからさまにコンスタンティンさんから言われるとは思わなかった。
口からドーナツ出そうになったが意地で耐えた…カールさん特製美味しいドーナツは出せない。牛乳を飲んで流し込んだ。
「あ、不躾にごめんね?結婚とか考えるなら必要かと思ったんだ。先の事なんてわからないし、学んどいて損は無いと思うよ?」
「はい、ご配慮感謝シマス」
「自覚無い様だから先に言っておくけど、つばめの寿命長いから出産可能年齢期間も普通の人族より長いよ?妊娠可能かは別として」
「へ???」
私の寿命未知数らしい。
最低でも1000年は寿命で死ぬ事は無いと言われた………うそだろー。
「1000年以上生きてて未だに死んで無い異世界人いるからね。その子よりつばめの方が明らかに魔力が多いから多分長生きだよ?」
「私の他に異世界人がいるんですか!?」
「落ち着いて。つばめの他に1人だけいるんだけど、残念ながら犯罪者だから合わせられないんだ。ごめんね?」
「………………そうですか……ちなみに犯罪って何をしたんですか?」
「あまりいい話じゃ無いけど、聞きたい?もう少し生活落ち着いてからでも大丈夫だよ?」
「気になって…しまうので教えて下さい…」
「あー…………やっぱりやめた。この話しは聞かなかった事にして?あの子が異世界人だって知ってる奴の方が少ないから調べても無駄だよ」
「えーっ!!?そこまで言ったなら教えて下さいよ!」
「つばめは今体調が本調子じゃ無いでしょ?他の人の事まで考えてたらこの先生活出来ないよ。言えば助けに行くとか言って無策に飛び出して行っちゃいそうだしね」
うっ……バレてる。そしてコンスタンティンさんの話し方だと助ける事可能だなこれは…今は無理そうだけど。
「どうしたら話してくれますか?」
「もっとこの世界の事をよく学んで、独り立ちしてお金貯めてからだね。話はそれからだよ?」
「わかりました。約束ですよ…話さなかったら針千本飲ませますからね」
「ふふっ…わかったよ。異世界風に指切りでもしようか?指切りげんま〜ーーー」
マジで指切りげんまんしてくれた………ほぼ冗談で言ったんだけどな。
この世界だと指切りげんまんの変わりは何になるんだろう?
「普通の人は『神に誓って』とか使うらしいよ?神に誓ってもしょうがないから、私なら誓約書を書くかな」
コンスタンティンさん無宗教者らしい。
神父さんみたいな格好してるのに「神に誓ってもしょうがない」とか言うと違和感半端ない。
そして誓約書…指切りげんまんとか子どものお遊びみたいなのが一気に現実的になってしまった。
他の異世界人の方や私の寿命の事は一旦置いといて、王都クリスタの地図を広げながら住む場所の相談をした。
「小さいより大きいに越した事は無いと思うけど、本当にいいの?」
「家が大きいと自立した時の土地代が怖いです。維持も大変そうですし」
「何処か目星は付けてるかな?」
「いえ、相談してから決めようと思いまして…」
コンコン…
皐月先生が来てくれたので、私達は一旦話しを中断した。