12話
「鈴木さんおはようございます!買い物して来たので、荷物だけ置いてきますね。すみません」
「つばめ様おはよう御座います。私めが早く来過ぎたので、お気になさらないで下さいませ。お約束のお時間までもう少々御座いますので、ゆっくりで大丈夫で御座いますよ。」
「ありがとうございます…もう少し待ってて下さいね!」
「畏まりました。お待ち申し上げております。」
とても紳士の鈴木さんは、王宮から私の自宅まで馬車…馬車と呼んでいいのかな?
私の知ってる馬より一回り大きくてなんだか身体付きががっしりしているが……まぁ、見た目は馬だから馬車と呼ぼう。
仕事の日は毎日馬車で送り迎えをしていただいている。
名前の通りアジア…日本人寄りの顔立ちだと思う。と、言うか私が会ったこの世界の人族は皆日本人っぽい顔立ちで、さっきのパン屋の店員さんも黒目黒髪の女の子だった。
王宮で働いているのはほぼ人族で、一部例外…エルフ族のユリエルさんと軍の方に何人か人族以外の人がいるらしい。
私は軍部に用事が無いので会った事は無いが…
ちなみにエルフ族のユリエルさんはヨーロッパ系(まんま外人さん)の顔立ちで、色素の薄い金髪ストレート、灰色の目をした美人さんです。
昨日街で見た感じだと、獣人族は人種ごちゃ混ぜ。
ドワーフ族は濃い茶髪〜黒髪でみんなパーマがかった髪だったよ。
顔だちはホリが深くて目鼻立ちがハッキリしていた。
身長は人族よりは高いけど、エルフ族よりは低い感じだったかな?
ちなみに、エルフ族はあまり知らないけどね。昨日街中でエルフ族は見なかったよ。
さて、ここで私の容姿を公開すると、実は父親が外国人で母親が日本人で私はハーフなのだ。
私の髪はダークブロンド…濃いめの金髪でストレート、身長はデカイ。
顔だちはハーフなのでホリが深い外人顔だ。
この世界だと…ドワーフ族にしてはやたらデカイ、パーマじゃ無いし、色素が薄い…獣人族特有の耳も尻尾も鱗も無い…エルフ族?ってなるらしい。
更に緑のローブでパッと見エルフ族男性の出来上がり。美人では無いが(血涙)
「エルフ族以外が緑色のローブを着用しては行けないと言う決まりはありません」とエルフ族の人に言われたので、事情により私は今日も大人しく深緑色のローブを着ている。
そもそも、他にコートとか上着を持って無いから、ローブを着るしか選択肢が無い。
家にパンを置いて、仕事に向かう事にする。
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鈴木さん75歳
人族男性。
初老の物腰柔らか紳士。
オールバックでかっちりしたスーツを着て丸眼鏡を愛用しているので、つばめは「執事さんだ!」と思っている。
職業分類的には『つばめ専用の御者』