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108話



『異世界より降臨されし聖女様は慈悲深くーー』




 コンスタンティンさんの話しと違う…全然友達になれそうな感じの人じゃ無かった。

 アクティブな人かと思ったら、聖母の様な慈悲深いありがたい感じの人だった………いや、待てよ?これはこれで友達になれそうな人かもしれない。500年前に亡くなった人だけど会って見たかったな。






 現在コンスタンティンさんの居住区にあるとんでもなく広い書庫に来ている。


 ゴテゴテした装飾がされた文庫サイズの本のページをコンスタンティンさんがめくり、そのまま手渡された。



「この文字読めるかな?出来ればその書いてある言語で読んで行って」



[創世記。はじまりの地は人。二ノ国はドワーフ。最後にエルフが…………]



「うん、ありがと。他の本を探して来るからしばらくこれでも読んで待ってて?」



 と、言って手渡されたのが聖女の伝記とカイザス国の資格・免許一覧表だった。

 とりあえず、慈悲深い聖女の伝記を読みつつ、カールさんが入れてくれた紅茶と、蜂蜜がたっぷりかかった小さなパンケーキを食べながら読み進めて行く。





 何故かユリエルさんはこの部屋に入って直ぐに後ろを向いた……私は現在皮張りのソファに座っているが、ユリエルさんはソファの背にもたれて入り口のドアを眺めている。


 座らないのか聞いたが、ソフトに断られた。手にはバインダーの様な物を持っていた気がするが、今はお互い背を向けているので確認は出来ない。



 聖女の伝記はそんなに厚みのある本じゃなかったので、直ぐに読み終わった。

 資格・免許一覧表を見ていると、殆どに『世界水準を満たす』とか書いてある。



「ユリエルさん、この世界水準を満たすって何ですか?」



「………国際免許だ」



「なるほど。ありがとうございます」



 カイザス国内だけでなく、外国でも使えるのね………結構な資格の数だ。

 世界水準を満たすと書いて無い物は基本カイザス国独自のものらしい。


 資格・免許一覧表と資格の詳細内容が書かれた紙を見ていると、コンスタンティンさんが戻って来た。



「さっきみたいに読んでもらっていいかな?」



《神聖帝国歴〇〇年コンスタンティンは今日もつまんなそうに「ちょっと待て」




 ユリエルさんに本を取り上げられた…どしたの?あ、ユリエルさんのお祖父さんの日記なのね…それは知らなかったとは言えすいませんでした。


 でも、ユリエルさんのお祖父さんの日記を何でコンスタンティンさんが持ってるんだ?



「友達だったんだ。ちなみにカールの弟だよ?」



 コンスタンティンさんと友達でカールさんの弟さんでその孫がユリエルさんか。

 残念ながらお亡くなりになったので、日本で言う形見分けみたいなものでコンスタンティンさんの手元に日記があるらしい。お悔やみ申し上げます。


 ちなみに何で日記を持って来たかと言うと……



「凄い悪筆だったから、それが読めるなら他も大丈夫かなって」



 エルフ族の古語らしいが、他の古語の本を読んだら確かに……ユリエルさんのお爺さんには悪いが、もはや別の文字に見える。キチンと読めはするけどね。



「そこで注意点なんだけど、資格一覧表の1枚目の1番上を見てくれるかな?」



「『上級魔道具技師免許』」



 王宮魔道具技師と今は言っているが、正式名称の『上級魔道具技師』で覚えてと言われた。

 そして、もしこの職業に就きたいならいくつか問題点があるらしい。



 基本、学園都市の研究所勤めで、この免許を取るとカイザス国外に護衛無しでは一生出られない。

 後は退職しても監視と護衛がつくらしい。有事の際は真っ先に徴兵されるとか。


 資格の詳細内容を見てみたら『軍属。攻撃魔道具の作成及び研究時に必要な免許』とある…なるほど、軍事兵器を作る人か。

 で、上級魔道具技師になりたく無い場合の注意点も説明してくれた。



「軍事機密だからあまり詳しくは説明出来ないけれど、つばめは魔道具技師の素質がある」



 生活魔道具などの魔道具に使われている魔法陣が組み込まれた魔石は一般人が見れない様に細工がしてあるが、万が一魔法陣が書かれた魔石を目にしたら今の私は逮捕されるらしい。



「見ただけで捕まるんですか?」



「魔法陣を見たら、つばめは魔法陣の仕組みを理解しちゃうからね」



 一般人が攻撃魔法陣の仕組みや構造自体を勉強する事自体が罪らしい。


 私は攻撃用の魔法陣以外を見ても構造を理解して、魔法陣を組み替えて、おそらく攻撃魔道具を作れると言われた。

 コンスタンティンさんは詳しくは言わないが、言語が関係しているんだろうなー。


 多分無いとは思うが、ふとした拍子に魔法陣を見ちゃった時用に『中級魔道具使用免許(一部フィールド限定)』を取得しておいた方がいいかもしれないと言われた。


 武器を作るんじゃなくて使う為に、ある程度構造などを理解しているとみなされるみたいだ。

 勿論、魔道具自体は作れない資格なので魔道具技師の様に国に囲われる事は無い。



「ユリエルもそんな感じだよ?攻撃魔道具を作る気は無いって感じで貫き通してるから、ある意味抜け道みたいな手法だね」



「………ああ」



 ユリエルさんは今の仕事に着く前に軍に居たそうで、『中級魔道具技師免許』、『上級魔道具使用免許』を取得している様だ。

 上級まで取ってしまうとまた細かな制約があるそうなので、中級ぐらいが丁度いいと思うと言われた。




「それじゃ、つばめがどれ位この世界の言語を理解してるか調べてみようか?」






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