107話
相変わらず素敵なお顔を眺めていると、コンスタンティンさんはリビングのテーブルに置いてあった魔物図鑑を手に取り、私に手渡した。
「つばめが混乱する前に知らせようと思ってね。最後の方の分布図見てくれる?」
「?…はい」
言われた通り魔物図鑑の最後から順番にめくって行き、エデンの魔物の分布図を見てみた。
………うん、どう見ても『日本地図』だね。
どーゆうこと???
「日本に見えます…けど……いや、いくつか島が無いかな?」
「島は入国審査用の島だね。エルフ族の国以外各国1つはあるよ」
色々聞きたい事はあるが、とりあえず国の場所の説明を受けた。
カイザス国は東京、千葉、神奈川県辺り。入国用の島の位置は伊豆大島。
人族の国『神聖帝国』は東北地方と新潟県、関東の3県以外と静岡、山梨。入国用の島は佐渡島。
ドワーフ族の国『フォーゼライド国』は北海道地方。入国用の島は国後島。
エルフ族の国『ハイルング国』は四国地方。入国審査用の島は無い。
獣人族の国『ベスティア国』はその他。静岡、山梨県以外の中部地方と近畿地方と中国地方と九州地方。入国審査用の島は島国島と奄美大島。
位置関係はこんな感じだが、入国審査用と言う島はもはや円形だし、国境線に至ってはほぼ直線の所もあるのであくまで大まかな目安だ。
私は地図の南の方にある2つの島を指差してコンスタンティンさんに聞いてみた。
「鹿児島県の近くに島が2つありますけど、これは…?」
「片方が蟲人族の島だね。もう片方は獣人族との貿易用の島だよ」
「ここは地球なんでしょうか?」
「限りなく近いけど、残念ながら異世界らしいよ?」
平行世界とかそんな感じかな?
カイザス国は東京都か神奈川県なのかよくわからない位置にあった。
何だか………驚いたけど逆に馴染みのある日本っぽい所でよかったと思う。地理とか何となーく分かるしね。そうか…私はある意味日本にいたのか。
「ビックリしました……でも、何となく知ってる所でよかったです」
「そう?神聖帝国の霊山がつばめの世界だと『富士山』と呼ぶらしいけど、今度天気のいい日にでも見てみる?カイザス国からでも小さいけど見えるよ」
「それは見たいですね」
獣人族の国に人族の国の飛び地があると思ったら富士山周辺の土地だったらしい。
人族の国の国教で総本山の『聖女の家系』が霊山として管理地指定しているらしい。
「昔、『聖女』と呼ばれた異世界人がいてね」
なんでも、富士山好き過ぎて獣人族の土地なのに交渉して交渉して、粘って脅して辺り一体を人族の国に書き換えたらしい………友達になれそう。
伝記がコンスタンティンさんの書庫にあるらしく「見にくる?」と聞かれたのでお願いした。
「つばめの言語理解も確認したいし、ユリエルも連れて明日にでもおいで」
「言語理解ですか?」
「自分がどの言葉をどの程度話せたり、読めたりするのか興味ない?書庫には色んな言語の本があるからね。ついでに調べちゃおうよ」
そう言えば、前にユリエルさんに色んな国の言葉で話しかけられた事あったっけ…確かに気になる。
明日はいつでもいいからおいでと言われたので、ユリエルさんに確認してからコンスタンティンさんのお部屋に行く事になった。