105話
結婚関係の話が終わったら、皐月先生に起きている時間が長くなったら軽いストレッチをする様にと、指示と共にいくつか教わった。その後皐月先生はコンスタンティンさんと一緒に部屋を後にした。
私は5人前になった冷めた夕飯を食べて、気になってしょうがない魔物図鑑をチラッと見た。
おー!絵もついてて見やすい。目次とか前置きは飛ばして絵がある部分から見てみる。
1ページ目はスライムだった…異世界でもポピュラーな魔物らしい。
ドーム型の色がクリアな水まんじゅう。外側は無色透明で、中身は小豆色。生息域は何処にでもいるみたいだ。
別名は街の掃除屋かぁ…ゴミとか食べて綺麗にしてくれるらしい。へー。
昔の高魔力重犯罪者はスライム刑に処されるのが主流だった………スライム刑ってよくわからないな?明日ユリエルさんに聞いてみよう。
ドラゴンを探す………いた!あぁ、注意書きにこの『エデンにはいない』みたいな事が書いてあった。
お風呂場の体が細長い中国の龍っぽいのは見当たらないな…あれは何なんだろう?まぁ、いっか。
さて、スライムとドラゴンを確認出来たので法律関係の本に目を通す。
しばらくすると眠くなってきたので、寝る支度をしてベッドに入っておやすみなさい。
次の日、朝食ギリギリの時間に起きて冷めた朝食を食べていると、ユリエルさんが来た。
「おはようございます」
「……あぁ」
ちょっとだけ待ってもらって急いで朝食を食べた後洗顔と歯磨きをした。お待たせしました。
魔物と魔族の違いを聞く前にスライム刑って何ですか?と聞いてみた。
「……………………………………………………………………………………………エデンで昔エルフ族に使われていた刑罰らしい。私も詳しくは余り話せないが」
「…………」
すいません、知らなかったんです。エルフ族のユリエルさんに聞いてすいませんでした。私は平謝りした。
「……いや、大丈夫だ。だが、カール様辺りにはあまり聞かない方がいい」
「わかりました、聞かない様にします」
このカイザス国の刑罰は罰金刑と魔力の強制徴収刑が主らしい。
死刑が無い代わりに、魔力の強制徴収が実質上の死刑だと言われている。
日本で言う所の刑務所に入る代わりに、刑期分の魔力を強制的に無理矢理吸い出すみたいだ…だから寿命が縮むのか。
刑罰用の強制徴収はすっっっごい痛い思いするらしい…痛みで力んで歯が割れるから、大体専用のマウスピースと拘束具をつけて、気絶出来ない様に特殊な薬も使って行われるみたいだ。
「……普通は罰金刑で済むが、金が払えなければ魔力の強制徴収刑だ」
だが、魔力を一度に徴収するにも限度がある。
あまり一気に魔力を吸い出すと普通は死んでしまうので、1回で済まない場合は何回かに分けて行われる。
規定数を越える場合はスライム刑を検討するみたいだ。
スライムにされて、掃除(奉仕活動)させられながら強制的に魔力を徴収されるらしい。
すっっっごい痛いのから、ずーっと断続的に痛いに変わるらしいが、肉体がスライムなので楽だと…主に刑罰を与える側の手間がはぶけるから、昔はよく使われたと。
カイザス国はそもそも犯罪が極端に少ない国で、悪質な殺人とかもここ最近は起きて無いとか。
一応スライム刑はカイザス国の刑罰に入ってはいるが、建国以来使われた事は無い。
エデンだと、魔力量が多いエルフ族の国とドワーフ族の国は今はスライム刑では無くなったとか。
「………この世界には数匹刑罰中のスライムがいるらしいが…君が見る事はおそらく無いだろう」
「街中とかに紛れてるんじゃないんですか?見分けつくかな…」
街中にはいない様だ。ユリエルさんは1匹見たことがあるらしい。
色がついているので、普通のスライムと間違う事は無いだろうと言われた。
ユリエルさんが見たスライムはゴミ処理場にいて、赤黒い色をしていたらしい。今も刑期は終わっていないので、あそこから出て来ることは当分無いだろうと言われた。
この世界では「悪い子だとスライムされる」と言って子どもの躾に用いるんだとか。
ー
トースターとマシロを手渡し時
カール「マシロを連れて来ましたので今日からよろしくお願いします」
つばめ(カールさんがスライムを連れて来るパターンは想定して無かったよユリエルさん)涙目。
ユリエル「…………」(すまん)