101話
起きたら皐月先生がリビングにいた。
昨日の夕方見に来て夜になっても全然起きて来ないので申し訳ないが安否確認の為に寝室に入らせてもらったと言われた…寝てる時に話しかけられた様な気もするけど、あんまり覚えて無い。
「起きて来ないから心配したけど、気持ちよさそうに寝てるだけだったから安心したわ。いつもの様に血圧脈拍と体温と酸素飽和度と魔力循環位は調べたけど、魔力が多少安定して無い意外は問題なかったわ」
「お手数おかけしてすいません。元々3度のメシと同じ位寝ることも好きなもので……」
こんだけ寝れて、ごはんもモリモリ食べれてれば魔力の安定も思ったより早いかも知れないと言われた。やったね。
一応検査して、皐月先生と朝食を食べてお風呂に入った。
皐月先生は医務室の仕事に戻るので、夕方また来るけど寝てる様なら明日の朝に客間に顔を出すと言われた。
「後、侍女は食事を置きに来るくらいしか部屋に入れない事になったみたいなのよ。後はつばめさんの用事がある時なら入室させても大丈夫だから、呼ぶ時はこの魔道具を鳴らして頂戴ね」
そう言ってベルを手渡された。
衣類とタオルは何枚か脱衣所に置いてあっる。
洗濯物はカゴに入れて食事を持って来た時に直接か、食後に空の器共々ワゴンにカゴごと乗せておけば大丈夫みたい。
食事はワゴンで運ばれて来るので、食べ終わったらワゴンごと廊下に出しておけば後で侍女さんが片付けてくれるらしい。
後2〜3日は睡眠優先で、水分はマメに摂取して欲しいが、食事は眠かったら食べなくても大丈夫だと言われた。
食事の目安は7時朝食、12時昼食、19時夕食。何も言わなければその時間に部屋に運ばれて来る。時間過ぎて1時間は取り置きしてくれるみたいだ。
今更ながら時計の読み方を聞いたら日本と一緒だった。
今日はユリエルさんもコンスタンティンさんも来ないそうなので、ゆっくり過ごしてと言われた。
まだ眠くは無いので、昨日ユリエルさんに手渡された『新規移住者の方へ』と言う本を読む。
目次を飛ばすと、はじめにこの国の決まり事が大雑把に書かれている。
『犯罪行為をしてはならない』とか『20歳以上80歳以下は労働の義務あり』とか後、異世界ならではだと思ったのは『国家レベルで魔物の脅威に晒される場合は兵役の義務あり』と『他大陸の魔族や魔物を悪意を持ってエデン内に引き入れてはいけません』と言うものだ。
魔族と魔物の違いって何だろう?
本を読み進めながら部屋に置いてあったスタイリッシュなボールペンとメモ帳に共通語で疑問を書いて行った。
コンコン
「はい」
「昼食をお持ちしました」
時計を見たら12時ピッタリ。
ワゴンを押して入ってきた侍女さんは食堂室のテーブルに食事を並べると壁に待機していた………部屋から出て行かないのかな?
「えっと……後は自分で出来ますので、大丈夫です。食べたらワゴンを廊下に出しておきますね」
無言で出て行かれた。ちょっと怖い。
食事はいつも皐月先生が持ってきてくれる食事よりも何だか豪華な気がする。皿に装飾とかされてなんか高そう。
食べ進めて行くと………味は美味しいとは思うんだ多分。でもサラダはともかく何もかも冷たい。
そして私には量が少ない…サラダ3口だったよ…前菜って言うのかな?ご丁寧にレンゲみたいのに3個綺麗に盛り付けてあったけど、ただのサラダだったよ。どんぶりでください…ボールでも可。
スープは薄めたコーンスープみたいな味だった…実は冷製スープかな?いや、上に幕が張ってたから多分違う。贅沢言うならつぶつぶしたとうもろこし自体も欲しかったな。
メインはプレーンオムレツに多分ケチャップ(?)で美しい模様が描いてあった。模様がレースみたいで綺麗だったのでこれはちょっと感動した。
付け合わせにマッシュポテトとグラッセした人参とアスパラガスが少量添えられていた。パンは白いフワッとしたパンでバターがあったのでつけて食べる。デザートはメロン。
この食事量なら後3回食べれそう…ごめん嘘ついた。5回食べれそう。
カールさんの作ってくれた豆腐ハンバーガー6個が恋しくなった。
野菜たっぷりで豆腐ハンバーグはボリューミーで美味しかったな。
食べてから廊下に空の食器を乗せたワゴンを下げに行ったら先程の侍女さんが立っていた。
「ご馳走様でした」
「……………」
無言で台車を持って行った………かなり怖い。
夕方皐月先生が来てから「侍女さんが全然喋らなくてかなり怖いです」と話したら、余り私に必要以上に話しかけない様にと、コンスタンティンさんからお達しが出てるみたいだ。なるほど…そう言う事だったのか。