拐われた悪役女子
何時もお読み下さり有難うございます!ブックマークも有難うございます!今回、個人的に少し、残酷な感じの文句があります。苦手な方はお控え下さい(>人<;)
背中の痛みに目が覚めたら布団の中にいた。
ここは天国?だけどこの痛みまだ生きてる?助かったの?どうなった?
と確認の為、キョロキョロ目だけを忙しなく動かす。だが見慣れない内装に愕然と悲しみが湧く。
障子や畳のある日本家屋の内装であった。こんな内装シェアハウスで見たことない。
ああ、あれは夢では無かった。私はどうやら捕まった様なのだと麗は悟った。
だけど、待って!私何で生きてるの?疑問が残る。しかも傷の手当てまで施されて、包帯がぐるぐる巻かれている。
嬲り殺そうと思う者に何故手当て?と頭がグルグルと混乱するのだった。
「入ります」と女性の声が聞こえてくる。
どこかで聞いた様な既視感。ゲームでかな?
と思ってる間に女性らしき人は入ってくる。
見た目は狐を模した様な仮面を付けており、ダボっとさせた服を着て性別が分からない。その風貌も何処かで見た事があった。
暫く考えているとゲームで敵ヴァンパイヤのお付きの者として出てきていたと思いだした。
「お着替えを持って参りました。」
「あの、俺何でここに?」
「お答えできません。主人様が連れてこられましたので。」
「着替えをさせて頂きます。」
「ちょっちょっと...」待って!と言い切る前に、付き人によって問答無用で着替えさせられる。
化粧も施され、
次いでに、男装用のウィッグも外され、こめかみ部分の少量の髪をフェイスラインに沿って流し、地毛のサイドを左右編み込まれていく。
編み込みは無造作にバランス良く崩され耳の後ろでヘアピンで止められ、ハーフアップにされる。
最後に赤と白の花のつまみ細工のかんざしを両サイドの編み込み部分に差し込まれて支度は完成した。
明らかに、女物の着物。と言うかウィッグも何気に外されてしまった。
麗が着せられたのは、赤色の布に蝶やら夏椿やらが描かれていて華やかで絹の上等そうな着物だった。
赤い着物は麗の黒髪や色白の肌を強調させていて、本人が気付かないくらい魅力的に映えてしまっていた。
ああ、私が女と言う事は傷の手当てでバレてしまったのか。いや、ちょっと待って!と私は思う。
「俺の傷の手当てはいったい誰が?」
「主人様でございます。」
あ、主人様?と言う事は私の女体をあの男に胸とかを見られたって事!?△◇×◯※▽!?#ー。パニックで声にならない叫び声を上げた。嫌〜。
「どうだ?」入る。の言葉も何も言わず無礼にもいきなり襖を開けてくる敵のヴァンパイヤ。先程の怪しいマント姿とは打って変わってあちらも着物姿に着替えた様だ。淡いグレーの縞模様の着物だった。日本人離れした彫りの深い顔立ちに着物は不思議な感じで幻想的な感じだった。相変わらずの美貌。
入ってくると全身を映す姿鏡の前に立っている私の所まで近づいてくる。
至近距離になると仮の攻略対象が血より明るい赤い瞳でじっと見てくるので、私は身構える。
「俺の裸を見たんですね?」キッと睨む。
顎をクイッと筋張った男の人の手で持ち上げられるとまた、じっと私を見て、
「ほお。我が用意してやった着物が似合っておるな。
しかし、お前は女だったんだな。何故、男装なんかしていた?」私の答えは無視し、尋ねてきた。
じゃなくて、私の裸見たのかって聞いたんだけど!裸を見られた怒りと返事が噛み合って無い事や、意識が無くなる前の温厚派の愚弄を含む数々の無礼を怒った私は頭に血が上り、
バチンと仮攻略対象の頬を打とうとした。
だが虚しくも、手を掴まれ打つ事が出来なかった。凄い反射神経。悔しい!
「フッ気の強い。我を打とうと考えるとは、学習力が足りないんではないか?」
一々腹の立つ。笑いながら全く相手にされないのが余計腹立たしい。
私の男装を答えてあげる義理も無いし、答え無ければならない言われもない。
「それより、仮の攻略対象じゃなくて
あなた?主人様?は俺...いや私を生かしているのはどう言うつもりですか?」名前が分からなくて色々ややこしい。
名前を教えてほしい。
そして、掴まれてる顎が痛い。麗の顎の窪みに鋭い爪が食い込んで血が滲み出てくる。
「...ッ」痛くて思わず声がでる。
赤い瞳はその血を見逃す事無く、顔を近づけ麗の繊細な顎の窪みを舌で舐める。
「答える気は無いのだな。クックッ人間の女のくせに気の強いことだ。気に入った。」
別に気に入ってもらわなくても結構だ。
だけど、舐められながら顔近くで美しいヴァンパイヤに言われ動悸が激しくなる。こんな時にドキドキする不謹慎な自分に呆れてしまう。だけど警戒もしている。
今直ぐにでも私の命なんてこのヴァンパイヤからしたら、吹けば飛ぶ様なぐらい他愛無い。
「お前を生かしてるのは犬どもの反応を目の前で見ようと思ってな。」楽しそうに目を細め冷たく笑う。そこには、一切の温かみも感じられない。
失礼な物言いにキッと麗は睨み「私が囚われたとしても、来ないですよ!」
が、仮の攻略対象は面白そうに笑い
「試してみる価値はある。」と言うのだ。
それでも試さなくても分かります。と小さな声で呟いたが、誰にも聞こえなかった。私みたいなモブの悪役女子を助けになんて来る筈がない。試さなくても分かる。そう考えると凄く寂しくなってくる。
「また、逃げ様などとは、思わぬことだな。逃げようものならその足を永久に歩けなくさせてやろう。」笑ったかと思うと直ぐに無表情になり、私の腕を撫でて握る。
「それから、我の胸にナイフを刺したこの両手も奪って2度と使えなくさせてやる。」とクックッと笑うと握られた腕にヴァンパイヤの爪が食い込む。同時に痛みが走り、ゾッとする。
「いっ痛」
見ると血が出ていた。その血を見て舌舐めずりをした仮の攻略対象は麗の腕の血も舐める。赤い瞳が更に血の色に染まり恍惚と輝いていた。
「本当にお前等人間共は脆いな。どこからでも食す事ができる。」と笑い血が止まるまで舐めるのだった。
「つ、爪を切って下さい!きっと、あなた...主人様の爪が長いからです!」
「ふん。お前などに指図される覚えはない。それに、お前の主人ではない。」
「じゃあ名前はなんなんですか?名前が分からないので言い様が無いです!」抗議する。
フッと笑ってから「一々突っかかる。財前だ。お前には特別に名前を呼ばしてやろう。お前の名は?」
本当の名を名乗らない方がいいよね?
「れ、れ、れなです。」咄嗟に私は偽名を使う。
麗の慌てっぷりに怪訝な表情をした財前だが、直ぐにその表情も変わり無表情になる。
財前の逞しい手が麗の腰を引き寄せより密着する。
背中と足に手を素早く滑り込ませて、麗を抱える。回された手が背中に当たり、傷が痛む。
「ッ な、何するんですか!財前」
財前の赤い瞳と麗の薄紅色の瞳がぶつかる。
睨まれたかの様に見えた瞳だったが、何も答えず移動する。
"財前"と呼び捨てにした事を怒ったのかな?
先程の寝ていた部屋から長い廊下に出ると
財前は一言も喋らず、私を抱えたまま、別の部屋に移動するのだった。
一体何処に連れて行かれるんだろうとヒヤヒヤする麗だった。まさか拷問?
本日も最後までお読み下さり有難うございました!




