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死亡回避せよ!

いつもお読み下さり、有難うございます!(>人<;)

今回、少し残酷な感じの言葉を使ってます!苦手な方はお控え下さい!

気を取り直して、ブレザーの内側ポケットの中に仕込ませておいた小型ナイフを探す。こんな事もあろうかと、ナイフを持ち運んでて良かった!ちょっとSFみたい!と呑気に考えながら、拘束された両手をなんとか動かしてナイフを掴み上手くカバーから取り出し、持ち手を口で咥えてノコギリの様に同じ部分を何回もナイフで切っていく。

血が出ると相手に気付かれてしまうかもしれないので、自身の肌を傷付けない様に細心の注意を払って慎重に切っていく。


そうしている内に結束バンドは切れて、今度は自由になった手で足の結束バンドを切る。


やはり手だと口で動かすより早く切れた。


手首や足には結束バンドで締められていたせいか赤くなり、血は出ていないが、皮膚が擦りむけて赤くなっていた。取り敢えず血が出てない事に安心する。


さて、自由になったはいいけど、ここからどう出よう。取り敢えず出れそうな場所を探す。

歩き回って探った結果、扉と反対側の高い所に小窓があり下には換気口が付いていて少しの脱出の望みがありそうだった。扉の外は、もしかしたら見張りがいるかも知れないので、引き戸式の扉は最終手段に置いておこう。


こんな時に前世のゲーム知識が役に立ったらいいんだけど。



そう言えばもし、敵のアジトだったら全部屋にカラクリが仕込まれていた筈。


もしかしたら、ここは倉庫だけど、ここにも抜け出せるカラクリが有るかもしれない!希望を見出した麗は急いでカラクリを探すのだった。

やっぱり壁?壁と言う壁を触る。手当たり次第壁のコンクリートブロックを触って確認していくとガタリと言う音がする。だけど開かない。

何か後もう一押しいるのかな?

こう言う時、別のコンクリートブロックと同時に押すと開くとか漫画とかでよくあるけど、試しに試してみよう。そうして隣は止めて一個飛ばしでブロックを同時に押さえるとガタガタという音と共にレンガブロックの塊が人が通れるくらいの扉になる。あ、開いた!?古典的だと思いつつ開いた事に驚いた。

流石、乙女ゲーム。その辺の作りは浅くできていた。扉を開くと普通にこの倉庫らしき裏に出た。


草木が生い茂っており森みたいだ。

方向が分からないけど取り敢えず下に降りる事にする。

暫くできる限り走ると突然の衝撃と共に鋭い刃物で斬られた様な痛みが背中に走った。思わず膝を突き前に倒れる。

「!?」


「逃げても無駄と言っただろう?」

先程の聞き覚えのある、美声が聞こえる。


「うっ」遅れて更に深い痛みが増す。背中の傷は見えずとも肉がえぐられて深そうだ。かなり痛い。いたくて、つま先から力が抜けていき頭がクラクラしてしまう。


「何故逃げるのか分からない。お前如き人間が逃げたところで無駄な足掻きだ。だが、拘束を破り、あの倉から出た事は褒めてやろう。無駄だったがな。」また、笑う気配が感じられる。


「しかし、とても食欲が唆る匂いだ。」と言うと仮の攻略対象の爪に付いた麗の血を舐める。


「思った通りお前の血は中々なものだ。お前を嬲り殺しにしたとなれば、匿っていた吸血鬼共は怒るだろうな?」

神々しいまでに整った青白い顔の仮の攻略対象は赤い瞳は細めて、愉しそうに笑う。

笑って無かったら、まるで人形のようだ。


きっとこのヴァンパイヤは誰かの怒りや苦痛が気晴らしなんだろう。今までシェアハウスの皆んなは優しくて、人間にとってどれほど誠実に対応してきてくれたのか改めて思い知らされた。

残酷なほど温厚派と過激派では全く違う。


この残酷なヴァンパイヤにとっての命の価値は取るに足らないものなんだろう。一応仮の攻略対象みたいなのに。こんなに冷たい顔して笑うヴァンパイヤがどうやって主人公に

攻略されるんだろう?

私は恐怖で震えた。

どうにかして生き延びる方法はないの?


「先程はすみません。だけど、沢山の人間の中で、何で俺の血なんですか?」冷静に見えるかの様に話そうとするけど、背中の傷が痛すぎて、声が掠れてしまう。


「ああ、お前には、借りを返してもらわないとな。何故、お前の血なのかと聞いたな。

お前が犬どもに貰った物が発端だ。」


「い、犬...?」


「ああ、あの者らは我の同志ではない。人間と同等と生きようとし、それに加え人間を守ろうとする。最早、人間に遣える忠実な犬だろ?」


はぁ!?意味わからない!何様?と言いたかったところだけど、痛すぎて声が上手く出せなかった。



「初めは同志がお前を狙っていたが途中で逃げ出してしまった。その理由が気になって近づいてみると強力な犬どもの匂いを察知した。我の同志が逃げて行く筈だ。強力な犬が2匹もお前の様な者を擁護しているとは、興味深いだろう?我に興味を持たせるには十分な理由だ。まさか、お前を守る筈のものが死に貶めるとは、あの犬共も思わなかっただろうな。」又もや愉快そうに笑う。


ヴァ、ヴァンピールアクセが原因か!思いも寄らない事に愕然とした。

しかも、ヴァンピールアクセが無かったら下級ヴァンパイヤから狙われるだけだったみたいだ。今の私だったら下級ヴァンパイヤぐらいだったら仕留めれていたかもしれないのにと思う。今更、過去に戻れる訳もなくやるせ無い気持ちになってしまった。



「...まさかヴァンピールアクセが裏目に出るとは思いませんでした。しかし、俺、男ですけど?」



「貴様を匿ってるのは温厚派であろう?その貴様を攫って目の前で八つ裂きにした時の反応が気になってな。」恐ろしい台詞をサラリと目を細めて言わないでほしい。



「それだけですか?だけど、女性に比べたら血の味は劣ると思うんですけど!」頭が朦朧としてきた。


「今舐めた分には問題はない。それに貴様を匿ってる犬どもが証明してるではないか?無駄口はこれくらいだ。」


会話で時間稼ぎしようと、思ったのに失敗だった。何かヴァンパイヤの気を引く会話を。痛みと戦いながら私の懐にある銀の杭とナイフで何とかならないかと考える。


だけど、このヴァンパイヤに銀のナイフで刺しても、対した影響力は無さそう。先程も胸にナイフを刺した筈なのに、元気そうだ。


このまま死が待っているだけなら、私が持てる力の全部を出し切って傷を与えてしまおうかと考える。


血が溢れた背中の傷にもがきながら、近づく音と共に銀のナイフを構えるがそれも虚しく取り押さえられてしまう。


「お前の魂胆は丸分かりだ。」と言い両手を一纏めにされ片手で掴まれてしまった。


それから、首筋に鋭利なヴァンパイヤの牙が突き立てられ首筋に痺れが走り後ろに剃る。

「ッ」その拍子に背中の傷が更に開き痛みが広がる。目から涙が出て止まらない。


恐怖と痛みで意識を失いそう。

本当はこのまま死にたく無いと言うのが本音。だけど、今の状況から抜け出す術を思いつけない。本当にこのまま私はまた、死んでいくのだろうか?死にたくなかった。

誰か助けて...。助けて...と心の中で必死に叫ぶ。誰も来てくれないのは知っていながら私は必死に助けを求めた。


走馬灯の様にシェアハウスの皆んなの顔、両親の顔が過ぎる。何故か別れの時に限って皆んなの優しい笑顔が浮かんでくる。

転生してからの両親との思い出、シェアハウスの皆んなと過ごした期間は短かったけど、日々濃く新鮮な毎日だった。楽しくてあっという間に過ぎていった。楽しくて、つい忘れていた。私の死亡フラグを。また、私は大好きになった両親や友達と離れなければならないのか。そして、また私は両親よりも早くこの世を去ってしまうんだろうか?何て親不孝な娘なんだろう。シェアハウスの皆んなを悲しませてしまうのだろうか?

ううん。皆んなと過ごした期間はそれほどないから、やっぱり悲しまれ無い気がする。少しは仲良くなれてたと思うけど。前世では病。今世ではもっと酷い最後だなと思う。


何故か、最後にあの人の顔が浮かぶ。「...さん。」と薄れ行く意識の中、掠れた声で呟いた。


本日も最後までお読み下さり有難うございました!

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