彩世の気付きたくなかった感情
何時もお読み下さり有難うございます!
感情表現が過激気味です。ごめんなさい(>人<;)
明日も更新予定です!
上坂といると心が軽くなる。何か特段な事を言ったりしてる訳ではないのだが、それが逆に良いのか楽に接する事ができて気に入っている。
そんな気に入った人間が隣で手を切って血を流していたら、舐めずにはおられなかった。歯止めが効かなかった。
「なっ何してるんですか!?彩世さん」と上坂は顔を赤らめて言うが俺は傷を口実に焦り気味の上坂の血を問答無用で舐める。
気がつくと無我夢中で舐めていた。
思った通り、体から香る馥郁とした香りと同じくらい上坂から流れる体内の血は美味かった。
俺が一度傷口を舐めればそれ以降はそのまま放置していても自然と傷が治り、舐める必要はなかったが、そんな事は人間である上坂は知る由もない。教えてやる気など更々ないけどな。
そしてもっと血を味わっていたくて姑息だと思いつつ俺は上坂の傷が完全に塞がるまで自身の欲を満たす為に舌で滲み出る血を辿って舐めとっていた。
その折に見せる上坂の顔は真っ赤に染められて、恥ずかしいのが伺える。
初めは普段強気な上坂の恥辱に見える顔が見もので面白がっていたが、段々と意志の強そうな上坂の瞳が涙目になってくる姿が妙に艶っぽく酷く俺の心を掻き乱し始め、情欲の感情が込み上げてきた。
これが、女性だったら完全に犯されていたことだろう。
本来ヴァンパイアは欲に忠実な生き物だ。快楽を求めそれと同時に血を貪る。更に気に入った者の血を飲む習性のある生き物。そんな生き物である彩世の気に入った者が隣で血を流していたらどうなるだろう。
普段自制が効いていた彩世だが、上坂の血を間近で知覚してしまい、彩世の欲望が顔を出してしまった。
"上坂の血が飲みたい"と。そして、"恥辱に見える上坂の顔を覗きたい''と。そんな汚い感情がいっきに湧き起こってきた。
それでも長年培ってきた自制心で、辛い思いをしながら、何とか踏み止まる事ができた。
血と涙の盟約をした時は更に酷い欲望に駆られ、栗頭の血ではなく頭の中は本能的に上坂の血を求めていた。
血が欠乏状態と言う事もあって血を欲していたに変わりはないが、誰の血でもいいと言う訳では無かった。上坂の血を求めてしまっていた。
あの時、危険だからと言葉で吸血を拒否していても心の何処かでは上坂の血を期待していた。
上坂が盟約を承諾してくれた事は嬉しかった。これからは、この盟約で結ばれた証である巴紋がある限り、男の血だと戸惑う事なく、俺の自尊心を気にする事もなく思いっきり吸う事ができると。
盟約後、上坂の血を飲むと安心感を感じ
上坂と俺は見えない糸の様な物で結ばれている様な錯覚に囚われた。
上坂を一時も俺から離したくない様なそんな感覚を覚える。
こんな事あり得ないと思っていた俺だが、
俺の為に命がけで血を提供してくれた上坂が目を覚ました時、
上坂を見ると今まで感じた事がない様な感情が出てきてしまっていた。
上坂を大切にしたい。守りたい。上坂を見ると温かい気持ちになる。それと同時に上坂に加賀や他の奴が近づくのが堪らなくイラついて、酷く独占したい気持ちとの感情が、ない混ぜになってしまっていた。この感情はなんだ?
そして、疑問に思っていると矢庭にその感情の意味を理解する時は訪れた。
加賀が風呂掃除をサボっている事に気付き、加賀に説教をするつもりでいた。
すると向かった加賀の部屋から、上坂の香りがしてくる。
不思議に思い、加賀の部屋のドアを開けてみると、そこには、長い黒髪に薄紅色の瞳をし、ドレスを着た女性が立っていた。
ドレスを着た女性は酷く戸惑っている表情をして此方を見てくる。
一瞬、また女垂らしの加賀が連れてきたのか?と頭を過ったが、違う。
「お前は...。」上坂に似ている。いや、上坂本人。
「... ... こ、上坂なのか?」と彩世はトパーズ色の瞳で一瞬驚いた表情をした。
色白の上坂は淡いドレスに身を包んでおり、普段のボーイッシュな髪ではなく、女性らしい長い黒髪で上坂の薄紅色の瞳と白い肌がより一層際立ち綺麗に強調されていた。
ドレスの露出部分から白い首筋と細っそりした腕が覗いており、その姿はあまりにも悩まし気で酷く魅力的だった。
上坂が男である事も忘れて、彩世は見惚れてしまっていた。
上坂は女の様だと思っていたが、これは...。何と言うか、本物の女の様だ。そこいらの女よりも悪くない。薄紅色の瞳は潤んで戸惑った表情を俺に向けてくる。
そんな姿を目の当たりにすると、一気に俺の体温は、じわりと上昇していった。
こんな感情こんな感覚知らない。知ってはいけなかった。
男である上坂にこんな感情を抱くとはどうかしている。こんな異性に抱く様な感情。
上坂を愛おしく思ってしまうとは。
気付いてしまった気付きたくなかった感情に上坂にもっと近づいて触れたいと言う感情。
そして、そんな格好で無防備に俺に近づいてくる
上坂にまた、吸血衝動が出てくる。
これは、不可抗力で、近づいてくる上坂が悪い。
そう思って俺は綺麗に飾った上坂を喰らい、煩悩にまみれた。
俺は迫り上がった体温で情欲的な欲求と血への欲求が合わさり、上坂のしっとりとした柔らかな首筋を執拗に吸ったり舐めたりし、吸血する。
着飾った上坂の血は今までで1番美味に感じた。
欲望は弱まる事がなく、むしろ強まり
まだ足りない。
もっと上坂を近くに感じたい、吸血だけでは無く触れたいと彩世は感じるのだった。
そんな彩世の前で麗は他の男の話をする。
「しかし、見た目で血が美味しくなるもんなんですね?加賀さんなら、分かる気もするんですが、彩世さんが意外ですね。」麗は顔に手を添え考え込んでいる。
俺がいる前で他の男の話をすんな
加賀の瞳を模したこのドレスも気に入らず、今すぐ脱がせたいとイライラし、嫉妬した彩世はその唇を塞いでしまおうか?と考えた。
無意識の内に彩世は麗に顔を寄せて近づく。
釣舟草のピンク色の花の様な麗の唇は俺を誘う様に柔らかそうで、そこに引き寄せられるかのよに彩世は唇を合わせようとしていた。
本日もお読み下さり有難うございました!
豆知識↓↓
釣船草・・・語源が"我慢できない''らしいです。




