血と涙の盟約後 麗と彩世
何時もお読み下さり有難うございます!
加賀さんが去って行った後、
彩世さんは、まだ私を後ろから、腕の中に囲い込んでいた。
右手は麗の黒髪の頭部の上に置かれて、左手は麗の右肩をグッと掴んでいた。
内心、きゃ〜〜〜緊張するよ!私は顔が熱くなるのが分かる。
「あ、あの!もう大丈夫ですから!」私は
彩世さんの方を向こうと首を捻る。
彩世さんの綺麗なお顔が目の前に。彩世さんのトパーズ色の目が合うと、彩世さんの顔が赤くなっていく気がする。気温が暑いのかな?
「あ、ああ、悪い。苦しかったよな。」と腕が解かれる。私は正座の体勢で彩世さんの方に向き直る。
彩世さんは私の顔が赤いのを、''腕で囲っていた苦しさのせい''と思ったみたい。本当はドキドキして赤くなったんだけど、勘違いされてて良かった。征史朗さんに護衛してもらった時みたく、変な誤解を招きたくない。
「い、いえ大丈夫です。気にしないでください。」麗は慌てて否定する。
「ああ。...その、具合は平気か?」と尋ね、トパーズ色の瞳を揺らめかす。
「はい!問題無いです!」と彩世に薄紅色の瞳を細めて笑ってみせる。
「あっ!それから、昨日、俺気失ってから、運んでくださったの彩世さんだったんですね!有難うございました!傷もあるのに!」
「何で知って...?...ああ。加賀か!」
「はい。帰り際に俺に耳打ちしてきました。」
''名残惜しいけど行くね!あっそうそう、昨日君を運んだのは俺じゃなくて彩世だよ。それだけ。じゃー''と耳打ちして帰って行った。
「俺、重かったですよね!?改めて、ここまで彩世さんも負傷してたのに、運んで下さり有難うございました!」彩世の金色の瞳を真っ直ぐ見て言う麗。
「いや、元々は俺がお前の血を吸いすぎたのが発端だ。悪かった。負傷した箇所も塞がったから大丈夫だ。お前の血のお陰だ。」と言いつつ、さっきから目を合わせてくれない?
どうしたんだろう?私、何かやらかした?
「血と涙の盟約の件も悪かったな。」
彩世さんは凄い気にしてる感じだ。最初に私の血は飲まないって断言した手前気まずいんだろう。
「大丈夫です。あれは背に腹はかえられない。
彩世さんの命が大事です。それに、俺こそ、俺の血で不服だったかもしれません。悪かったです。」ニッと笑う麗。
彩世は一瞬固まる。
「お前の、血は、悪くなんか無い。寧ろ助かった。当初、お前の血なんて貰わねぇって言ったが、世話になっちまったな。情け無い事をした。悪かった。お前の血がどうのこうのじゃなく、男の血に抵抗があっただけだ。失礼な事を言って悪かったな。」と赤褐色の髪をふんわりとさせ、頭を下げる。
わわっ、最初に男の血だからと馬鹿にされた、あの彩世さんに、俺様彩世さんに頭を下げられてしまった。珍しい。私は思わずビックリする。慌てて返事をする。
「大丈夫です!気にしないでください!何となく、吸血行為は異性で行うイメージがありましたから!」麗は薄紅色の瞳を緩めて話す。
そんな麗をじっと見つめて、
「上坂は男だが、お前の血の味は悪くない。美味かった。」
彩世さんに褒められてしまった。珍しい。雨が降るかもしれない。
「それは、光栄です?」と私は思わず、疑問系で返してしまう。
それに、僅かにフッと笑われた気がしたけど気のせいかな?
「厚かましいとは思ってるが、また、これからも血をくれるか?」と彩世はトパーズ色の瞳を真剣に麗の薄紅色の瞳に向ける。
凄い気にしてる感じだ。別に私は気にしてないのに。そう言えば、彩世さんはこう見えて繊細な心の持ち主だった。私は直ぐに問題無いと言う事を伝える事にする。
「はい!もちろんです!俺の血貰って下さい!晃生さんにも説明を受けましたが、血と涙の盟約ではどの道、巴紋が消えるまで2日に1回は血の提供をしないといけないんですよね!?」私も薄紅色の瞳を真剣に彩世さんのトパーズ(金)色の瞳に向ける。
「ああ。そうだ。悪いな。巻き込んじまったな。」力無く言う。
何だか今日の彩世さんは何時もの彩世さんらしくないな。まだ、このシェアハウスに来て今日で5日目だけど、何処か遠慮がちな彩世さんに調子が狂う。
「気にしないでください!乗りかかった船です!俺の血で良ければ、飲んで下さい!何なら今、どうですか?」と笑顔を心掛けて、彩世さんに気にさせない様に言う。
「助かる。だけど、今は大丈夫だ。...お前は今、貧血だろ?盟約相手が貧血気味の時は血の摂取はしなくても、いいんだ。貧血の時は、その巴紋の温度が他の部分の皮膚の温度に比べて、低くなる筈だ。」彩世はそう言って麗の腕を持ち上げ、巴紋に触れる。
「ん。」と私にも触る様に促す。
私も触ってみる。確かに!他の皮膚に比べて巴紋のところだけ温度が低い。
「わ、体温が違う。本当に低いですね!」私は未知なる盟約の力に驚きと感動と面白さでつい、笑ってしまう。
「俺が言うのもなんだが、お前危機感なさすぎだろ!?この紋の温度が低ければ低い程、命の危機なんだかんな!」と彩世が怒鳴る。
彩世さんが何時もの彩世さんに戻った。良かった。私は呑気にそう思った。
「はい!肝に銘じます。」と真剣に言いつつも何時もの調子が戻った彩世に対して、口の端が上がる。
「何が面白いんだ?あのな、こっちは真剣に喋ってるんだぞ?」と彩世は眉間に皺を寄せる。
「はい!彩世さんが何時もの元気な調子に戻ってくれて嬉しいんです。」とニコニコと薄紅色の瞳を細めて笑う。
「はぁ?何なんだ!その理由!」赤褐色の片眉を上げて呆れた表情をする。
ふふふと笑うと心無しか、彩世さんの顔が赤くなってる気がする。今日は少し気温が暖かいからかな?
「いいか!兎に角危機感を持て。お前の貧血が戻ったらたっぷり血を貰うからな!覚悟しとけよ!」と顔が赤い彩世さんが言う。
「はい!覚悟します!」と手をおでこにピシリと添えて敬礼する。
「それまでしっかり身体を休めとけよ!」とぶっきらぼうに言う。
「あっ!飯だったな!腹減って無いか?」と気付いた彩世さんが聞いてくる。優しいな〜彩世さん。
「有難うございます。実は、お腹空いてました。」お恥ずかしながら、朝はしっかり食べる派の私は既にお腹が空いていた。
「晴!飯!」と呼ぶ彩世。
そんなんで来るのかな?と思いつつも、晴さんは恐ろしく、耳がいいんだったと思い出す。
「お待たせ。」と直ぐに
私の背後に現れた。私が振り返るとストロベリーブロンドの癖毛をふんわりさせた晴さんが、お盆に鍋を乗せて立っていた。
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