ある館での呟き。
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紫黒色の髪にアメジストの瞳に光を放ちながら「ここ最近、吸血事件が相次いでいるそうだ。人間が知らず知らずの内に消息を絶っている。また、『過激派』(欲望のままに、人間の血を吸う吸血鬼のこと)の仕業だろう。」と形の良い唇から告げられた。
「あぁ、それは俺も知ってる。何とか、人間に悟られてはいないみたいだが、俺等、
『温厚派』(人間の血は必要最低限に吸う、輸血パック、人間の食べ物で生活している)としては、処理しないとな?」赤褐色の髪をもて遊びながら、牙を見せて怪しく笑う。
「そうだね。最近の過激派での行いは、些か目に余るな。人間を沢山殺しすぎているね」落ち着いた声音ながらも、ブルーの瞳に整った金色の眉と眉の間に皺を寄せながら話す。
「まあまあ、それより噂では、一千年に一度生まれてくる乙女、『女神の血』を持つ女の子の話を聞いたんだけど、俺としては、そっちの方を優先したいね!その女の子を見つけたい!次いでに可愛い子だったら大歓迎だな♪」舌舐めずりをし、
色香を発した男はブロンドを掻き上げて、ウインクする。
「あっ!それ!晴も知ってる!『女神の血』の女の子の話。過激派に見つかる前に、早く僕達で見付けないといけないんじゃない?しかし、加賀は本当に女の子に目がないなぁ。女の子だったら誰でもいいわけ?」
ストロベリーブロンドのショートヘアーに癖毛、エメラルドの綺麗な瞳、愛らしい顔とは裏腹に言葉は棘を帯びていた。
赤褐色の髪を掻いて、
「まぁ、そっちの話も大事だけどな。どっちも並行して解決してくしかねぇな。俺様の手を煩わせるんだ、相当極上の血じゃねえと許さねぇ!」机に頬杖をつきながら言う。
「あっあっ!?彩世!抜け駆けは駄目だぜ!」加賀が詰め寄る。
「そうだ!加賀はいっぱい女が居るからいいんじゃないの?晴だって『女神の血』の乙女気になってるんだ!」
「う〜ん!まぁ、どっちみちその乙女には、
僕らのうちの誰かを選んでもらわなければ、ならないね。」と言い、金の睫毛を伏せてブルーの瞳に影が落ちる。
「そっか!晴がその乙女に気に入られればいいんだ!」
「フッ俺様に落ちるに決まってるだろ!極上の血は俺のもんだ!」彩世が言う。
「乙女ちゃんは俺のもんだ!彩世は血だけが望みだろう?」とまるで子供みたいな言い争いをするのだった。
その光景を見て「はぁ」やれやれと溜息をついた、紫黒色の髪の美丈夫と金色の髪の美青年。そして
「... ... ...スゥ______ッ」聞こえてくるのは寝息だった。
セミロングのシルバーブロンドを上質なソファーに垂らし、本を胸に乗せ眠っている。その寝顔は、起きていなくても一目瞭然の中性的な顔立ちの美貌だ。
「寝ているね!伊集院は疲れてるのかな?今日はこの辺で失礼するよ。」金髪碧眼の美青年はクスリと上品に笑いつつ、部屋を後にした。同じく紫黒色の髪の美丈夫も頷き、無言で退室する。
後に残されたのは、言い争いをしている3人組と寝ているシルバーブロンドの男のみだった。