表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/102

彩世視点③

何時もお読み下さり有難うございます。ブックマークも有難うございますm(≧◇≦)m感謝感激です。

本日は39話と40話の彩世視点になります。


さっきの俺はどうかしていた。無意識だった。






だがあれから、俺はこいつに近づく度に麗の血の味が忘れられなくて、吸血衝動が出てくる。










あれから、俺の作った料理を全員食べ終え、こいつ、上坂麗(こうさかれい)と2人で片付けを行なっている。効率を重視し、他のメンバーは舞踏室(ダンスホール)に先に行ってもらった。


上坂麗が皿に洗剤を付けて水で流す。俺が皿を拭く。流れ作業をひたすら続ける。


途中、上坂麗は何やら皿を慎重に持っている。


ツルッ指が滑り、皿は流しに落ちる。

その拍子に、欠けたお皿が、麗の掌を傷つけた。


その瞬間、





甘い馥郁とした香りが俺の鼻腔に抜ける。ドクンッドクンッと鼓動が速くなる。

ツーーーーッと赤い血が掌から手首腕に伝っていく。俺はその赤い血が堪らなく欲しくなる。



「つぅッ」上坂麗は掌が痛いのか、叫ぶ。水で流そうと、手を水道に近付けるが俺は無意識に上坂麗の手首を掴む。


麗の掌を彩世(あやせ)は自分の顔に近づけ、赤い舌を伸ばす。

いつの間にか、俺は惹きつけられる様に上坂麗の掌の傷口を本能的にペロリと舐めてしまっていた。

栗頭の血の味には劣るが、悪くない味だ。


「なっ何してるんですか!?」 上坂はギョッとした顔をするが気にせずに

「手当だ。」一言発し、上坂麗の瞳を見つめる。


意志の強そうな薄紅色の瞳が珍しく、困った様に揺らめいている。もっと困らせたい衝動に駆られる。


抵抗する力を感じたが、非力な事に上坂麗の力は俺には応えなかった。


彩世は舌を滑らせつつも、上坂がどんな顔をしているか、何気なく視線を上坂の方に向ける。


掌、手首そして腕に伝った血を一滴も残さず、俺は舌を這わしていく。

其れと同時に上坂との距離も近づき、

その意志の強そうな薄紅色の瞳が潤み、

みるみる羞恥で顔を赤く染め始めてるのが分かる。


堪らなく 





   


ゾクゾクする。






そして、惹きつけられる。


柔らかな肌の感触に甘美な血の味、栗頭の血の味を知って舌は肥えてる筈だが、抗えない欲求に俺は血を辿って舐め取る。



トパーズの瞳は恍惚として、彩世は妖艶めいていた。


瞳を麗の方に向ける。



「痛むか?」俺は上坂の薄紅色の瞳に合わせて問う。上坂は頬をほてらしている。


その艶やかな上坂に魅入ってしまう。

「...最初は痛かったですけど...大分痛みが和らぎました。有難うございます。だからもう...これ以上は...」きっとその先は大丈夫。そう言うつもりなんだろうが、そうは、言わさせない。


俺は、また腕から手首、掌の順番に舐めていく。

さっきの舐め残しが無いか確認しながら舌を這わし、その甘美な血の味を味わう。


手のひらをピチャリと赤い舌で舐める。俺は血が止まるまで何度も何度もその甘美な血に夢中になり、舐め続ける。


それから段々、傷が塞がりかけると、その柔らかい肌に噛み付いて、もっと血を味わいたい衝動が、沸々と込み上げる。

が段々理性を取り戻した俺は抑圧する。

何してたんだ?俺は!


俺は、本能的に男の血を舐めたと言う事に後ろめたい気持ちが沸き起こる。


上坂は無言で顔を真っ赤に染めていた。

こっちまでつられるだろうが!


暫くすると、

「アノ、...アリガトウゴザイマス。...モウ、ダイジョウブデス。ハイ。」とぎこちなく、片言で話す。


ぷっ何なんだその話し方は。


俺は後ろめたい気持ちが消え、上坂の反応と腑抜けた顔に笑う。


残りの皿洗いを続行し始めると、

「でも、どうして、俺の怪我を治してくれたんですか?」上坂は疑問に首を傾げてくる。


その瞬間フワッと上坂の血液のいい香りが俺の鼻腔を擽ぐる。俺は眉間に皺を寄せながら、吸血衝動を抑圧し、


「あれだ!昨日の飯の礼と、今日、話を聞いてくれた礼だ!それだけだ!他意は無い!」と告げる。そうだ。只の礼だ!それに、さっきの行為は事故の様なもんだ。大体、皿で急に手を切る、

鈍臭い上坂が悪い。

俺は決して、上坂の血を飲みたくて、舐めたんじゃない!


その後、先に舞踏室にダンスの練習の為に向かっていた、ヴァンパイア8人と人間1人と合流した。

合流すると、「どうしたの?彩世。少し顔が赤い様だけど?熱?大丈夫かな?」一条征史朗(いちじょうせいしろう)こと(せい)が心配して聞いてくる。


「ああ、大丈夫だ...。心配要らない。」俺は熱くなった顔を腕で隠す。


俺は何時も通りを装う。

「黒頭!覚悟しとけよ!」上坂に鋭く金色の瞳を向ける。



「朝、ダンス講師に教えられた通りだ!俺に掴まれ!」

言われた通り、麗は右手を高く上げ、彩世の左手を握る。

そして、左手を彩世の肩に、柔らかく乗せる。

至近距離に血液の匂いが香って、さっきの上坂の血の味を思い出す。吸血衝動を抑える為に自ずと眉間に皺が寄る。

今日の俺は、ずっと顰めっ面だった筈だ。


そして、俺はどうにか、無事に今日のパートをこいつに教える事ができた。

正直、上坂と踊る度に、甘い香りが香ってきて自分を抑えるのに、難儀した。


今日の護衛は危険だ。

信用出来る奴に任せるしかないな。

加賀は男である上坂は大丈夫だと思うが、万が一と言う事がある。もしかしたら、上坂は一生傷を背負うかもしれない。晴は吸血衝動を意外と抑えれない奴だし...選択肢に2人は消える。

と考え...俺は決めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ