2度目の吸血 晴一視点
おはようございます!何時もお読み下さり有難うございますm(__)m
上坂麗は晴の部屋に何の疑いも持たず、入ってくる。本当に危機感のない奴。
そんな君だから少し脅かしてやろうと思った。ほんの冗談のつもりだった。
僕はヴァンパイアの能力で軽快に麗の居るソファの方まで移動する。
「お礼なら君の血も十分、礼になるよ。」僕は麗の薄紅色の瞳を至近距離で見つめる。
だけど...君は僕の冗談を真に受ける。
「... ...血の採取はお手柔らかにお願いします!貧血にならないところまでで!」麗は掌を僕の前に出し防御する。
「...今はちゃんと俺の目を見てくれてますね。」麗は微笑む。
「?」僕は首を傾げてしまう。
「...ずっと俺と目を合わせてくれなかったから。俺何か気に触る様な事したかと思って心配だったんです。」
「なっそんな事、君の勘違いじゃ無いの?」僕は嘘を吐く。麗の顔を直視出来ないのは、本当だ。バレていたなんて。僕の事を気にしてくれてたのは、ちょっと喜んでしまう。僕は顔が熱くなった。
誤魔化す様に距離を詰める。君は逃げる様に後ろに後ろにと体を反っていく。間抜けな麗はぽすっソファの上に倒れる。
何を思ったか、麗は首筋を僕に向けて「どうぞ!血の採取どうぞ!」と目を瞑る。
冗談のつもりが、本気になる。
「僕を誘ってるの?無防備すぎ!」と顔が熱くなりながら呟く。僕は麗の白い首筋に噛みつこうとした瞬間、麗は身じろぐ。
麗に目を合わせると
「晴さんの髪が擽ったくて」とはにかむ麗。
ドクンッ僕ははにかむ麗に釘付けになる。
本当にもう、君は!僕をどうさせる気だ!牙も僕の身体も疼く。
このどうしようも無い感情に責任を取ってもらうからな!
僕は麗の白く柔らかい首筋を舌で濡らす。僕の舌の感触にビクッと反応する麗。
その反応に満足する。僕で反応する麗が堪らない...。
僕は麗の首筋を何回か舐めた後ぷつりと牙を柔らかい首筋に刺し込む。相変わらず、甘く芳醇な血。血を啜る音は、わざと麗に聞こえる様に鳴らす。僕のこのどうしようも無い感情の腹いせに、君にも恥辱を受けてもらう。
僕は昨日の失敗から、吸血行為を早々に切り上げる。麗の首筋に跡が残らない様にヴァンパイアの能力の1つ、僕の唾液で消毒しておく。そして、僕は思い出す。昨日の明け方、麗が加賀に吸血されていた事を。気に入らない。
「反対側、向いて。」と言いつつ僕が吸血してない加賀が吸った左側の首を向けさす。言われるがままにする麗。
左側の首筋もベットリと僕は舐めとる。しっかり僕の唾液を塗り込んでおく。
突然の事にまた麗はビクッと反応する。これで、あいつの吸血跡も綺麗に無くなるし、僕の唾液で消毒できた。
晴一は顔を放し麗の薄紅色の瞳に合わす。
「消毒しといたから、傷にはなん無いよ。」僕は満足気に麗に笑い掛ける。
牙に付いた血を舌で舐めとり、さて、この後、無防備で非力な君をどうしようか?吸血行為で麗の白い肌は桃色に色付き
薄紅色の瞳は潤んで、吸血衝動以外も、深く交わりたい気持ちに駆られる。男なのに!
そんな事は露知らずに君は「えっと...有難うございます?あの、俺動きたいんですけど...」と言う。瞬間
「ぐぅぅ〜ッ」とお腹の音を麗は鳴らす。色気もへったくれもない。
「... ...ぐぅぅあォ〜何ちゃって恐竜の真似?ですアハハッアハハッ」お腹の音を恐竜の声真似で誤魔化してるつもりだ。バレバレだけど。
直ぐに「冗談です。お腹の音です。失礼しました!」と潔く認め謝る。恥ずかしいのか顔を赤くし、晴一の下で身をすくめる麗。
肩透かしだ。可愛い... ...いや麗は男だし可愛い訳ないのに...だけど...可愛いって思わず、思ってしまった。
「はぁ」溜め息が出る。
僕は溜め息が出る程、重病だ。男の麗に抱いてしまったこの気持ちに蓋をすると決めたばかりなのに。僕はどうしたらいいんだ!心で叫ぶ晴一。
「お腹空いたんだね。」僕は仕方ないから、麗の上から退く。
僕が作ったマフィンを麗に渡す。
「有難うございます!」と言って一口齧る麗。美味しそうに食べる奴だ。
「...もしかして、これって.. ...晴さんの手作りですか?」麗は瞳をキラキラ輝かせて僕に問う。
「ああ。僕が作ったやつ。大したものじゃ無いけどね」と答えると
「いやいや!これは相当な代物ですよ!美味しすぎて、ほっぺが落ちそうです!」とべた褒めしてくる麗。僕は満更でも無い。自分が作った物を評価してくれるのは、正直嬉しい。
そして顔を綻ばせる麗。本当に女みたいに笑う。女だったらいいのに...。
それから、キリッとした顔をし、麗は百面相になる。見ていて飽きない。
「晴さんのめっちゃ旨スーパーマフィンを食べて、腹ごなしも出来たし、料理してきますね!」
「凄い名前...いつの間にか勝手につけてるし」僕はツッコミを入れる。まぁ名前なんて、どうでもいいけど。
「では!」麗はさっきのムードが嘘みたいにあっさりと僕の部屋を後にした。僕は、もっと麗と居たい気持ちと、これ以上一緒に居たら自分がこの感情から抜け出せなくなりそうで、一緒にいたくない気持ちと交錯していた。
本日も最後までお読み下さり有難うございました!




