西園寺彩世視点②
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そして今朝
「きゃーーー」耳障りな、黒頭の叫び声で目を覚ます。
赤褐色の髪に長いまつ毛が微かに唇音で震える。
俺は目覚めの悪さに怒鳴る。隣に誰か寝てるだけでも落ち着かない、ましてや、男だと尚更、不快だ。昨日は魔がさしただけだ!
「キャーって女じゃ有るまいし、五月蝿い!人の耳元でキーキーゆっくり寝れねぇじゃねぇか!」
「わわっ!ごめんなさい。と言うか何で、ここに居るんですか?そして、私のベッドに何故、居るんですか?」黒頭は捲し立てる。
''私"なんて言ってまだ寝ぼけてやがる。
「あぁ?昨日から同居になったじゃねぇか。何寝ぼけてんだよ。」と赤褐色の寝癖を押さえつけながら言う。
「うっ!昨夜は有難うございました。晴さんを止めてくれて、こちらまで運んで下さって、俺、重かったですよね?」
居住まいを正して、
麗はお礼を言おうとするが
ぽすんっ
とその拍子にお布団に倒れる。
黒頭はまだまだ動けなさそうだな。
俺はため息を吐く。
「はぁ、やっと思い出したか?お前は今、貧血状態だ。安静にしておけ!お粥ぐらいは食べれるか?」俺は明け方、晴から言われたお粥とおにぎりを持っていく。
ベッド脇のサイドテーブルに土鍋を置いて、蓋を開け、麗の口に卵がゆを運んでやる。
不本意ではあるが、俺がここのリーダーだ。面倒を見てやる事にする。
黒頭は花がほころぶ様な幸せそうな笑みを浮かべる。俺は思わずその笑みに魅入ってしまった。
「あの、有難うございます。美味しいです!助けてもらって、お粥までご馳走になって
彩世さんのお陰で俺生きてました。本当に、有難うござい...
途中、俺は、たまご粥入りの
レンゲを黒頭の口に突っ込だ。
「うだうだ、うるさい!礼はいらねぇから、さっさと食え!」と言いながら彩世はガシガシと赤褐色の髪を掻く。こいつと居ると調子が狂う。
食後、「彩世さん!見ず知らずの俺に有難うございます」「だから礼はいいって言ってるだろ」金色の瞳で睨む。くどい!
「お願いがあります。俺、彩世さんに、感謝してます。」そうだろ。俺様が直々の護衛、感謝しろよ。と彩世は思う。
「でも、だっ、だからって、人の布団に勝手に入らないでください!」黒頭は顔を赤くしながら、お布団を自分の方に引き寄せようと俺から、引き剥がそうとする。
が、手に力が入らない。昨日の貧血で。
それを、俺はニヤニヤ笑って見てやる。
「あ〜貧血だからな!じっとしてるのが1番だな!さ、寝ろ、そして、俺も寝る。」
「いやいや、俺の布団で寝ないで下さいよ!俺の血を飲む気ですか?」黒頭は顔を顰める。
天地がひっくり返ってもお前の血なんか飲むか!俺は思う。
「あー、五月蝿い!寝させろ!ヴァンパイアは夜行性なんだよ!」と彩世は麗のおでこを細く、綺麗な手でパチンッと弾いた。
「っ!?痛」「何するんだよ!」とおでこを撫でながら敬語もなくなる。
「男同士で別に問題ねぇだろ!細かいことは気にすんな。」黒頭の鼻を摘むと段々、黒頭が滑稽に見えてきた。小気味良い。
「うっうっ、はっ放せ!放してください!」と鼻声で言う。彩世はぱっと麗の鼻を放し、
「ぷっ!滑稽な顔だな!安心しろ!お前の血なんか興味ねーから。頼まれたって飲まないから。護衛だ。男を護衛するなんて癪だが、有り難く思え!」
そして、
俺は気になっていた事を黒頭に告げる。
「それにしても、そこに掛かってる制服、物騒だな?ナイフが入ってんのか?」金色の瞳をコートハンガーに掛かってる制服に向ける。2日前、初めて黒頭に会った時から、気になっていた事だ。俺のヴァンパイア能力では、半径3メートル以内に入った人物の危険物探知ができる。黒頭の体から、銀製の刃物の気配がした。その時から、こいつは油断ならねぇ奴と思っていた。炙り出してやる。
「ああ!これは、護身用です!だって俺の友達って、智美さん含めて皆んな綺麗だから、いつか俺、男達の妬みを買って、襲われるんじゃないかって思ったから、持ち運んでるんです。」
拍子抜けする返答だ。
「ぷっ!そんな理由で、まぁお前ひょろひょろしてるもんな!武器ねーと勝てないわな?」俺は金色の瞳を細めて笑う。面白い。
「どうせひょろひょろだよ!いいんだこれは、俺の個性で、メリットだってあるんです!」
「メリットってなんだ?」何となしに聞いてみる。
「狭い隙間に腕が入るので、物とか隙間に落とした時、取りやすいです!体も隙間に入るのでかくれんぼには、持って来いです。」
「プッ...全部隙間関係じゃねぇか、いいんじゃねぇか?その個性、ぷっあははは」笑いのツボに嵌まった。面白すぎだろ!俺は笑い過ぎて金色の瞳が涙目になってしまった。
まだ、簡単に信用した訳じゃないが、そこら辺の人間共よりは、話しやすい。
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