西園寺彩世視点①
何時もお読み下さりありがとうございます(>人<;)
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今回挿絵、カラーで付けました。宜しくお願い致します。
起きたら、黒頭が居ない事に少しビックリする。赤褐色の髪の寝癖を手で押さえつけ、
金色の瞳をサイドテーブルに向けるとポストイットが貼られてあった。
あやせさんへ
護衛有難うございました。
動ける様になったので買い出しと、
晴さんにキッチンを使う許可をもらってきます。 麗
そう書いてあった。あーそう言えば、寝る前言ってたなー。あいつ、1人で晴の所に行ったのか?危なっかしい奴。しかし、料理なんて律儀な奴だ。あいつにできんのか?
俺は昨夜の事に思い巡らした。
昨夜は加賀や晴に血を吸われすぎて貧血になって懲りたと思っていた。
俺たちヴァンパイアの事を怖がると思ってたのに、意外と強い奴だな。見かけによらず。
ひょろッひょろッのくせに
「ぷっ」今朝のやり取りを思い出して、金色の瞳を細め、声に出して笑う。
昨夜、晴が珍しく男である麗に吸血していたのは、驚きだった。あいつのポリシーに反する筈だった。
普段から腹が減っていたとしても、頑なに男の血だけは飲まない晴一であるだけに、麗の血を飲んだ事に彩世は驚きを隠せなかった。
当然ではあるが、あんなに血を搾取された麗は気を失っていた。渋々、腕に抱えて麗を運ぶ途中、血液のいい香りが彩世の鼻腔をくすぐった。
首筋からドクドクと頸動脈が脈打っているのが見えて彩世は目が離せなかった。なるほど晴一が思わず飲んでしまうのも分かる気がする。
これは、さっき栗頭の「女神の血」を飲んで無かったら、俺もうっかり吸ってしまい...いや、そんな筈は無い。男だぞ?そんな筈は俺に限って絶対にない。
麗の部屋は、四つの明かりの内の一つ、ベッド脇の明かりが薄ら付いていた。
寝る準備をしていたのだろう。
俺は容易に想像し、黒頭をベッドに下ろす。するとゴロンッと横になった麗の肌が薄明かりに照らされて、白い顔や首筋が見えてしまう。その魅惑的な姿に彩世は思わず魅入ってしまっていた。
本当に女みたいな男だ。身体も軽すぎる。彩世は麗の直ぐそばに腰掛けて、麗の顔を除き込む。麗の顔付近に両手を突くとギシッと重みに耐えてベッドが軋む。同性の筈なのにその行為は酷く背徳的な感じに思えてくる。黒頭が女みたいだからか?
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白い首筋には吸血された跡が残っていた。彩世の金色の瞳は、吸い込まれる様に、その首筋に釘付けになっていた。
黒頭の白い首筋、細くて、折れそうだ。噛み跡を見ると麗の首筋はドクドクと頸動脈が音を立てている。
無意識に指先で柔らかい首筋の噛み跡をなぞるが、目が離せない。柔らかいそれに牙を立てたい衝動に駆られるが必死に理性と戦った。
俺のヴァンパイア能力の1つである唾液で跡を消そうと無意識に顔を近づける... ...。
麗の首筋に赤褐色の髪がふわりと筆の先の様に掛かり、
すんでの所でハッと我に返り、麗の白い首筋から口を放した。
俺は一体何をしようとしていたんだ!?男にしてやる義理はない。こいつの自己治癒能力に任せよう。無意識に、男の首筋に近づくなんて。どうかしている。その晩、彩世は理性を保ち無心になって目を閉じた。
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