第1話 つまんない
あの日から私はずっと願っているんだ。
嘘でもいいから、君に「ずっと」って。
まだ暑さが残る9月。君から別れを告げられてから3ヶ月。
楽しいはずだった夏は、君の一言でくるっと180度回転して、悲しい寂しい夏になってしまった。
もうなにをどう頑張っていいのかわからなくてただ家で塞ぎ込んでた夏休みも終わる。
少し前までは大好きで、復縁する気満々だったけど、そんなポジティブなことを思っている暇もなかった。
私たちはとっくにもう別れているのだ。ぐだぐだ腐っていても仕方がない。
妙に晴れている二学期初登校日。
なかなか危険な時間に起きたが、何だかんだ待ち合わせには間に合いそう。
「なこ!おはよう!」
ほんといつもなんとなく一緒にいて心地いい友達は本当に夏美だけだと思う。
今日もいつも通り1番に私におはようと大声で言って肩を組んでくる。
朝から大声を出す意味もわからないのでそれなりの声量で返すと、むすっとした顔で夏美がこっちを見てくる。
「で!先輩とはどうなのよ?順調?」
一瞬の間ができた。
傷にまた傷を作るつもりなのかとも思ったが、伝えていなかったのだから仕方がない。
んー、まあまあ。と答えた。
あんなに応援してくれた夏美に別れてしまった、というのは気が引けた。
「そうなんだ〜、、、」
夏美はそう言った後、前を向いて大股で歩いた。
夏美のさらさらの髪が風になびいて綺麗だ。
顔も可愛いし私より大分おしとやかで誰からもモテそうなのに、一向に彼氏ができる感じがしない。
まあ私に気を使ってくれてるのかもしれないんだけど。
私の高校は私立のくせに古い校舎で変な匂い。
さて、お金はどこに使っているんだろう、とよくクラスメイトが話しているのを聞く。
教室は以前よりとても賑やかだった。
久しぶり、そんな声ばかり聞こえるけど、わたしは構わず自分の机に座って外を見ていた。
あー学校来ても、全く楽しくないや。
こんなことしてるくらいなら、今すぐ君に会いに行きたいな。
そう思う朝だった。