恐怖のアンモニアダガー
第6話
「ヨウスイ!この季節が来たわ!」
「朝っぱらからうるせえ!も少し静かにしろ!」
昨日は酒場で、上品なお味のカニの唐揚げと故郷の味たるキュウリ漬けでビールを飲んだら、現在少し二日酔い。
「てか何の季節だよ。」
「知らないの?この9の月は街の周りに凶暴化したミノタウロスがいっぱいくるの。あいつら見た目は野獣だけど、肉はすんごいおいしいの!」
ほーん。じゃあ行ってみるか。
「あなた、剣買い換えたの?」
「ああ。前のは溶けちまったから、新しいの買ったんだ。しかも今回は秘策もある。」
「へえ。じゃあ期待してる。もうすぐ着くよ。」
街から5分の平原には、10匹くらい二足歩行の牛がいる。
「ブモオオオ!」
おお、お怒りだ。というより、いつから牛は二足歩行になった。
「首を落とせば止まって血抜きもできてお得なの!じゃあお先!憑依、水精霊<ウンディーネ>!」
言うやいなや、走って首をはねる。おお、バーサーカー。・・・ん?ほぼ全員がこちらを見ていらっしゃる。まさか・・・
「ブモオオオ!」
仲間を殺された恨み、返してやる!と言わんばかりの咆吼。そしてこっちへ走ってきた!
A☆NO☆YA☆RO☆U☆!!
とニコ動ごっこをする間も無く、走って逃げる。あいつらHAEEEE!
「ああくっそ!HCl!」
腕を斬り、地面にぶちまける。
「モっ!?」
先頭が塩酸に引っかかり、足が少し溶ける。そして、牛たちも危険を察知したが、急には止まれず・・・
10秒後、全員引っかかった。足の蹄が少し変わるだけで動きがのろくなった。これは好機!
懐から小さめのダガーを出して、投げる!これこそ、昨日酒場に居た先輩冒険者に習った「投剣」だ!
眉間に刺さり、短く苦悶の声を上げると、倒れた。
「まだまだぁ!」
あらかじめ先っちょにアンモニアを塗ったダガーは全てのミノタウロスにヒットしまくり、全員を冥府へ送った。
「ふっ、これこそ†アンモニアダガー†・・・」
「なんかダサいね。片付いた?」
「ええ、おかげさまで。お前がよこした奴らだがな。」
「失礼な!」
「いや、お前だろ。・・・まあいいや。今日はお前に俺の祖国の料理を食わせてやる。」
「え、ほんと!」
チョロすぎだろ。