Fe+HCl→・・・
第5話
アイリと仲間になった翌日、俺たちはクエストに出る事にした。
「あなたのレベルは4だったよね?」
「ああ。」
昨日の戦闘で大量の経験値を得た俺のレベルは4になった。ステータスも少し上がったのか、昨日は重かった片手剣が少し軽い。
「そのレベルなら、これかしら。『ハガネアリ討伐』。」
「ハガネアリ?」
「その名の通り、体が鋼のように硬いのよ。顎の力もかなり強い。・・・私はむしろ望むところだけど・・・」
「すまん、最後の方よく聞こえなかった。もう一度言ってくれる?」
「な、何でもないっ!」
なぜ怒っているのかは知らないが、そのクエストに行ってみるか。
「ギシャーー!」
「うおっ、何こいつ!」
「コレこそハガネアリ。」
なんだろう。地球のアリを大きく、強くした感じだな。
「こうやって倒すのよ。・・・憑依、炎精霊<サラマンダー>。」
刀身に炎を纏った剣はハガネアリへ直行。その胴を真っ二つに。
「わーお。だったら、俺も・・・」
片手剣を振りおろすと
カインッ
思いっきり弾かれた。こいつ、マジ硬え。
「チックショ、金属虫め。だったらHCl、塩酸だ!」
体を塩酸に変える。片手剣が溶けている気もするが、気にしない。アリの頭に左手を当てると、
「いやああ!溶けてる!溶けてる!内臓感はんぱねえ!」
ジュウジュウ音を立てて溶ける。30秒で絶命した。
「これなら、いける!」
迫り来る2匹に向かって両手を出すと、すごい勢いで溶けていく。
「ははは!こんなヤツ、こんなヤツ!」
アイリ曰く、この時俺は狂気を秘めた笑顔でハガネアリを屠ったらしい。これが後に、ハガネアリスレイヤーのヨウスイと呼ばれる所以となるのだった。
これから不定期投稿となると思いますが、よろしくお願いします。