俺の血は純水だ。
第2話
地面に直撃した俺の体(水)は1分ほどで復活。あれだけの衝撃をくらって、体が散り散りになるだけですんだのは、この『水溶液人間』の体のありがたい所だ。・・・電気や相当強い炎にはかなり弱いのだろうけど。
ここは落下地点から近い、小高い丘の上。少し行った所に街がある。今の俺の持ち物はっと・・・
・学生鞄
・学生証
・財布(残金3000円、プリペイドカード等数枚入り)
・スマホ(圏外)
・教科書、ノート(現国、数学、地理、物理、英語、そしてそれらのノート)
・充電器
これだけ。・・・いや、もうちょっとここで使えるモン持って来いよ!と、心の中でセルフつっこみ。まあ、あの頃の俺はこんな状況になるとは思って無かったもんなあ。しかもよく考えれば服も鎧とかじゃなくて学生服(夏服)じゃん。防御力も皆無だわ!
もういい、街行こう。
最寄りの街「ナナホンギ」。俺が知っている場所より1本多い気もするが、考えないことにする。この街には冒険者ギルドがあるらしい。せっかくだし、登録していこう。きっとここで長いこと過ごしそうだし。
「いらっしゃいませー!」
受付のお姉さんが元気な声で挨拶してくれる。癒やされる。
「あのー、登録したいんですけど・・・」
「何か本人と証明できる物はお持ちですか?」
身分証明書的な物か・・・ 学生証でいいのか?
「これで。」
「えーと・・、川袋3丁目?どこでしょう?」
お姉さんごめんなさい。そこ日本です。
「ひ、東の方です!」
「あら、そうですか。では、冒険者ステータスカード発行いたします。少し血液が必要ですので、この針で刺させてもらいます。」
そうなのか。ならば仕方ない。指先を出す。
「じゃあ、ちょっとチクッとしますよ。・・・あら?」
お姉さんは少し戸惑った様子だ。
「あの、もう一度、いいですか?」
また、チクッとされた。
「おかしい、なぜ水しか取れないの?」
それ、俺が水溶液人間だからです。
「では、作りますね。」
機械みたいな物がウィンウィン言っている。水でもいけたらしい。
「はい、できましたよ。ミズシマ ヨウスイさんですね。これから、冒険者として頑張ってくださいね!」
笑顔と一緒にカードをプレゼントされる。俺はその笑顔にメロメロだぜ・・・。改めて、カードを見る。書かれている内容はこうだ。
・名前/水島 溶水/ミズシマ ヨウスイ
・職業/冒険者/水溶液人間
・レベル/1
・スキル/水溶液の体 熟練度Lv99
水溶液変化 熟練度Lv99
こうして、俺は完全に水溶液人間として認められたのであった。