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3話 シュリさんと.......ですね



シュリが帝国兵から解放され、俺の所へ戻ると、俺の手を取り、足早に街中を歩く。

「向こうに、美味しい食事処があるんだよ 」


俺達は手を繋ぎながら、歩いていると、やがて何やら良い匂いのする、店の前に到着した。


「串焼き屋さん?」


「うん。そうなんだよ。串焼きなんだよ」


店内に入ると、まだ夕方前だと言うのに、たくさんの客で賑わっていた。


「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

頭に角の生えた店員の女の子が、声をかけてくる。

なんか、こう言う接客はファミレスを思い出す。異世界の接客って、結構雑な所が多い。

まぁ、ギルドの飲み屋くらいしか行ってないけど。


「2人と1匹なんだよぉ」

シュリが店員に伝えると、店員がシュリを見て驚く。


「シュリ様、ご来店ありがとうございます!個室が宜しいでしょうか?」


「うん。個室が良いんだよぉ。ミカエル様の大切なお客様なんだよ」


「か、かしこましました!こちらへどうぞ!」


俺とシュリは緊張した店員に案内され、店舗2階の個室へと入った。別に個室じゃなくても良かったけど、下の階だとまた、帝国兵とかに絡まれそうだからかな?


個室は座敷になっていて、日本的な居酒屋を思い出す造りだ。畳ではないけど、掘りごたつ席に座布団だ。

良かった。ただの座布団だと座り方に困る所だった。

あぐらで座らなくて済む。女になってめんどくさい部分でもある。


メニューを見ると、鳥肉、豚肉、牛肉に加え、串カツまである。ほう……良いではないか!

異世界感無いが、懐かしいメニューに心踊る。

「あっ、たこ焼きある」


「ここの食べ物は全部美味しんだよぉ」


「じゃあ、お任せするよ」


注文はとりあえず、シュリに任せた。


少しして、料理もテーブルに並び、乾杯をした。


「ライトニングには、これね」


猫には何食べさて良いのか分からないので、たこ焼きを与えてみた。


「…………」


何だ。この丸い食べ物は?これを食せと言うのか……

まぁ良い。主が食せと言うのなら食べてみるとしよう。


ライトニングはたこ焼きを口いっぱいにほうばった。


「!……ぎゃャャャャャャャャャャャー!」


熱ぅぅぅっ!そして辛っっ!死ぬ!

主め!どうやら我を殺す気の様だ!許すまじ!


「ライトニングが悶絶する程、美味いのかぁ」


「あれは辛いのが入ったアタリなんだよ。1個だけど凄い辛いのがあるんだよ」


「ロシアンたこ焼きか……ごめんねライトニング」



それから2人で飲みがら、ミカさんの子供の頃の話をされたりした。

親衛隊はシズカさん以外は皆、学校の同級生で構成されたチームなんだそうだ。

学生時代のミカさんのモテっぷりは凄まじく、悪い虫が寄らない様に結成されたのだそうだ。

以来、卒業後もミカさんの身の回りの世話と護衛をしているらしい。


「それでね、ミカエル様がねー……」



延々とミカさんの学園生活を話され、かれこれ2時間が経った。何でしょうかこれは。ガールズトークと言うやつですか?非常に退屈なのです。

あーだめだ。女子会とかには混ざれないタイプだ俺。

中々の苦痛を味わっているが……

気になるのは、このシュリさん。

さっきから手を握って来るし。なんか指を絡めたりとかしてくるし。これって普通なの?

よく、仲の良い女の子が手を繋いでたりするのは、あるけれど、話し中に指絡めたりするのか?しないよね?

それに、先程からシュリが『魅了』を使って来ている。

『魅了耐性』があるから大丈夫だけど、ひょっとして誘惑して来ている?淫魔怖いわー。


「エイルちゃんていい匂いするよね〜」


「え?そうですか?お風呂上がりとかじゃないよ」

クンクンと脇の匂いとか嗅いでみたけど、無臭だ。

何で自分の匂い嗅ぐ時って脇を嗅いでしまうのだろうか。まぁいいか。


「……まだ男を知らない匂いなんだよぉ」


「えっ?」


男を知らないだと?知ってますとも!23年間も男をしておりましたが何か?


「フフ……シュリが色々教えてあげる」


酒に酔っているのか、目がトロンとしたシュリが向かい側から隣りへと近付いて来る。


「ねぇ?どうするのぉ?」


シュリが耳元で囁くと、生暖かい吐息が耳の中に入り込んで来る。ゾクゾクっス!ヤバい、マリン的な表現だ。


「ひぃっ!あ、あの〜シュリさん?酔ってらっしゃいませんか?」


「酔ってなんかないんだよぉ♡」


グイグイと近付いて来て、俺の頬に擦り寄って来る。

「スベスベなんだよぉ♡」


はい。肌のきめ細かさには自信あります。神の造形ですから!って場合では無いのだ。

そうだ!ライトニングは?飼い主が襲われてるんだから助け……って寝てるー!しかもあお向けで!かわいい!いや、それどころじゃない。

こうなったら力ずくで吹っ飛ばすか?いや、女の子に乱暴は出来ない。ならば……


「シュリさん、困ります……」

俺は涙ぐみ震えながら訴える。

見たか!小学生の時の演劇で村人Bを演じた演技力を!


「無理矢理ってのも好きなんだよぉ♡」


逆効果か!クソ!可愛い顔して恐ろしいな!淫魔ってホント怖いわ!

ヤラれる!久しぶりの身の危険を感じる。




すると、下の階が騒がしくなり、ドタドタとと言うより、ドダダダダダっと高速で何かが、下の階から上がって来る音がする。その音が個室の前に来て、勢いよく引き戸をバンと開けた。


「ミカさん!」


「ミカエル様〜バッドタイミングなんだよ〜」


「シュ〜リ〜!エイルに何しているのかしら?帰りが遅いから心配して来て見れば、どういう事?エイルも!」


何故か2人正座させられて、お説教タイムに突入。

なんか浮気バレたみたいな光景だけど?


「いやぁ、エイルちゃんが可愛いからいけないんだよ」


あっコイツ俺のせいにした!


「うん。エイルが可愛いのは知ってる。だからって手を出していい理由にならないわよシュリ!エイルは私専用なの!」


相変わらず、ミカさんの自己評価は自信満々ですね!

昔から自分が可愛いのは当然。と言うスタンスはブレない。それに私専用って!もうちょい別の言い方無いの?


「ごめんなんだよ。でも、ちょっとくらい汚してもバレないって思ったんだよ」


汚すって表現はどういう事ですかな?俺は玩具じゃないぞ!


「はぁ、シュリ。人の物を勝手に使ったら駄目よ!エイルは駄目!絶対貸さない!」


物?


「……はい。要らなくなったら教えてなんだよ」


懲りてねー!

2人の淫魔の会話は酷い。貸すとか貸さないとか、物とか……。性に対する考え方が理解出来ないんだよ!

あ、また伝染った。


「エイルは後で覚悟なさい」


「あっはい……」



会計を済ませ店を出ると、店の周りにはミカさんを一目見ようと帝国兵さん達が群がっていた。

先程騒がしくなっていたのは、ミカさんが急遽来店して、下の階の客がどよめいたようだ。

うーん。さすが有名人ですね。魔王だからね。





魔城デスパレスに戻ると、マリンとティファがミカさんの部屋で正座させられていて、ジスに説教されていた。

何やらかしたんでしょうか?


「ご主人様おかえりっス」


「え?何?どうしたの2人とも?」


「どうしたもこうしたも無いわ!このバカ2人で宝物庫に侵入して中の宝を盗もうとしていたのよ!」


「違うっス!ちょっと借りるつもりだったっス!」


「違わない!この盗っ人が!」

まぁ怖い。しかし、目を離すとこれだ。うちのメンバーは行く先々で迷惑をかけている気がするのは気のせいか?


「私は一応、止めたんですぅ……」


「ハッ!じゃあ何?お前が首からぶら下げてる魔導具は!」


「ち、ちょっと付けて見ただけなんですぅ」


苦しい言い訳だなティファ。


「ミカエル様!コイツら殺しても良いですか?」


ジスがナイフをティファの首元に当てながら、鬼の形相でミカさんを見る。


「……今回は許すわ。まだ利用価値もあるし。ただ、死ぬ気でエイルを守りなさい!肉盾のつもりでね!もし、エイルに何かあったら殺す!」


「合点承知之助っス!」

「わ、分かりましたぁ……」


多分マリンは反省してないな。それは間違いない。


「さてと、俺は風呂入って寝るかなー、ミカさん風呂どこ?」


「エイルは私とこの階にある、浴場よ。マリンとかは一般用の浴場だから下の階ね。ジス、マリン達を連れて行きなさい」


「かしこまりました。王室専用浴場にはシズカを待機させておきます」


「うん。分かったわ、ありがとう」


どうやらマリン達とは別らしい。ミカさんと2人きりか……。別にマリン達と入りたいとかではないよ!

たまには1人で入りたいだけだ。





風呂も済ませ、ミカさんの部屋に戻ると、テーブルには冷えたエール酒と軽い食事が用意されていた。

なんて気の利くメイドさん達なんだろうか。

しかし、風呂上がりにエール酒とは、ミカさんも、おっさんみたいだな!


「今、おっさんみたいだとか思ったでしょ?」


「え?心読んだ?」


「君の考える事は分かるの!」


「あらまぁ……」


「とりあえず……乾杯。ようこそデスニーランドへ!」


エール酒の入ったグラスを重ね、乾杯をした。

魔国デスニーランド。ミカさんが生まれ育った国だ。

ミカさんは俺よりも15年早くこの世界に転生した。15年の歳月は、一体どの様な感じだったんだろう。

ミカさん……結城美佳は、俺を探しにこの世界に来た。

魔族として転生して、過ごした日々は結城美佳をミカエル・デストラーデに変えた。どんな思いで15年過ごしたのか、俺には分からないが、応えて上げないといけないし、応えたい。ミカさんの為に生きる。それしか出来ないと言うより、それしか頭の悪い俺にはわからない。


「ミカさん……今更だけど、15年も待たせてごめん……」


「っっ!て、いきなり何よぅ!……ぅっ!ふ、不意うちとかっ……うぅっ!」




泣かせてしまった……



でも悲しくて泣いたんじゃないからいいよね?



その夜は子供みたいに泣きじゃくるミカさんを抱いて眠りに着いた。





因みにお説教は免れた。



次回はリュウタロウsideです。

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