2話 ガチャですね
「では、まず君にスキルを与えようかな」
来た!剣術かな?魔法かな?どちらでも良いがチート能力に期待が高まる。
どこからともなく、巨大な福引きのガラポンが登場した。嫌な予感しかしない。
「…………」
「さぁ!勢いよく回してごらん!」
めっちゃ笑顔で俺を見て言った。え?何なの?
スキルって選んだりとか出来ない感じか?
運まかせですか。ハズレたら不遇な人生確定か?
「一応聞きますけど特賞は?」
ややテンション下がり気味ですが、聞いてみた。
「確か、剣聖とか不死身だったかな」
剣聖欲しい。なんか強そうだ。不死身はなんか駄目でしょう、不死身は。
「確率は?」
「3%の所、今回は特別に2倍にしといたよ」
6%かぁ、厳しい設定だな。ぼったくりの課金ガチャですね。
だが当ててみせる!
「よし!回す!」
「うおりゃああああああああぁぁぁ」
ガラガラガラガラガラガラ
コロン……
「えーと、ものまねスキルだね、ぷっ」
「……ものまね?」
「うん、ものまね」
ガックリだ……異世界来て得たスキルがものまねって
一体ものまねで何をしろと!芸人にでもなれと?
「ものまねスキルもマニアックだけど強いと思うよ多分。うん」
「マニアック言うな」
一体何をものまねすれば強いというのか。
「ついでに女神の加護も付けるから、元気出したまえ」
「はぁ……」
加護は標準装備でしょう。
「加護を与えるにあたり君に名前を授ける。これからはエイルと名乗りたまえ!」
「ん?」
身体が一瞬輝いた
すると背中に銀色の翼が現れた。
「おおお?」
髪の色も銀髪になっている。胸の大きさは変わらない。安定の貧乳だ。
「なんか力がみなぎってる気が……」
「使徒モードはステータスが全て150%のブーストだよ。感謝したまえ。なるべく人前では使徒モードにならない方が良いかな。目立ち過ぎるだろうから」
「あと、銀翼は攻撃にも防御にも使えるから便利だよ」
「ふむふむ」
俺は翼を広げたり閉じたりしてみた。
「それと、欲しい武器あれば、この中から適当に持って行きたまえ、どれも伝説級以上だよ」
いつの間にか置かれていたダンボール箱の中に無造作に剣や槍等がズラリ。
「あっ刀だ!この小振りな日本刀が使いやすそうだな」
小太刀か、長脇差っていうやつだ。
「それは確か雷電丸だったかな。その昔、雷神の雷を切ったとかで雷属性が付与されている神刀だよ。それより、こっちのマサムネの方が斬れるよ」
かなり長い刀だ。一応試しに抜刀を試みたが、手が短いので鞘から出せなかった……
ちびっ子かよ!
「やっぱりさっきのデンデン丸でいいや」
「雷電丸ね」
「あと、当面の生活に困らないようお金とかは、この鞄に入れておいたので、無駄使いしないようにね」
「オカンみたいな事言うな」
「母親のつもりだよ、これでも。エイルは大切な一人娘だよ」
本気かどうかわからないが、有難く思った。
でも……中身男です。
「ありがとう、じゃあ行って来ます」
「よろしくね」
いつの間にか出現した巨大な扉。
「さぁ!その扉の向こうは剣と魔法のファンタジー系な世界が君を待っている!行け!我が使徒エイルよ!」
ビシッと何故か扉を指す。
「ふっ、決まった……」
「痛いね」
という訳で、今は異世界の空を飛んでいる訳で。
しかし、異世界の大地は、思っていた以上に広くて何もない。日本だと田舎でも家が多少は建っているが、この世界だと平原と森ばかりで、町まで行かないと建物すら見当たらないって感じだ。
とりあえず早く町に入りたい。
まず、服や生活用品等を買い揃えないと野営すら出来ないので急務だ。
しかも、今着てる服なんて白いワンピースにサンダルである。寝る前にコンビニに慌てて来た客かって感じだし、ノーパンノーブラだ。
ポロリするサイズではないけどね。
何だか落ち着かないのだよね。スースーするし。
あと長い髪はウザイのでバッサリと雷電丸で切っておいた。
髪が短ければ、性別を偽る事も可能かもしれないからだ。
容姿は元々良かった上に、女神の使徒の補正なのか
完璧なまでの美貌にパワーアップしている為、変に目立ちたくもない。
「ステータスの確認をしておくか」
ピコン
目の前にディスプレイの様なものが現れる。
「異世界あるあるだな」
「どれどれ」
名前:エイル 種族:天族 年齢18 性別? 職業:神の使い
Lv1
体力:2000/2000(2000/3000)
力 :2000(3000)
防御:2000(3000)
敏速:2000(3000)
魔力:1000(1500)
ブースト発動中
技能:ものまね コンビニ店員 天属性 女神の加護
(全属性耐性)
魔法:ヘブンクロス(敵に弩級範囲攻撃)
装備:雷電丸(道具使用で100万ボルト)攻撃+200
布の服(防御+1)
サンダル(敏速-2)
ステがほぼオール2000って正直、基準がわからないので、どうなんだろうか。
技能のコンビニ店員が意味不明だが、女神の加護はチートだな。
使える魔法は1つだが、威力は試して使い方間違えないようにしておこう。
そんな事考えていたら、突然背中に衝撃が走った。
「がはっ」
衝撃で弾き飛ばされた感じだ。一体何が起きた?
そのまま大地に叩き落とされ、バウンドしてから
転がり回った。
「痛たた……」
高度20メートル位から落下して、怪我しないとか丈夫な身体だな!
分かった事は何かに攻撃を受けたということだろう
体勢を立て直し、上空を見上げる。
巨大なドラゴンが羽ばたいていた。
ステータスとかは調整必要かもですねー




