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2話 デストロイ要塞①とココ村観光


大陸の北西部に死の大地と呼ばれる大草原がある。


何故、死の大地と呼ばれるのか。

永くに渡り、魔族と人族との戦場になっている草原は約1000年間、多くの死者を出した。


戦場にそびえ立つ魔族の砦。今まで数えきれない位、防衛を繰り返してきた砦はかつてない程、大幅に改築された。


上空から見ると巨大なひし形になっており、各角には

155mmの大砲が三門。計12門の大砲が戦場に向いている。

また、壁は15メートルの高さで厚い鉄板で補強されている為、破壊がほぼ不可能だ。

その上、壁には無数の窓があり、そこから連続して銃火器の弾が途切れずに飛んでくる。


砦の前方には有刺鉄線が張り巡らされ、兵の進軍を妨げていた。


これが、外から見たデストロイ要塞の情報である。



「魔族共め、厄介なもの創りおって!」

戦場に建設された、ローゼン帝国の仮設司令部で、本作戦の指揮を任された、帝国陸軍第一軍司令長官、バルバトス大将は持っていたグラスを床に叩きつけた。

が、投げた瞬間に、やべっ割ったら後で片付けるの大変だと後悔したが、奇跡的に割れずに済んだ。


ちょっとホッとしたバルバトスだったが、戦況は芳しく無い。開戦して半日で、5000人の兵が帰らぬ人となった。

未来ある若者が戦場に散った。遺族に合わせる顔は無い。こんな無謀な戦争で死なせた事が苦しい。

何故、こんな無謀な戦争を皇帝陛下は、休戦協定を破ってまで強行したのかはバルバトスには理解出来なかった。




◇デストロイ要塞


「ガッハッハッー、帝国なんぞ、姫様の造ったこのデストロイ要塞の前では猫に小判ってヤツだ!」

要塞の司令室で帝国軍が敗走して行く姿を見て間違ったことわざを使ってる男は魔族軍デストロイ要塞司令、ドワルデス・カブレラ将軍であった。


3ヶ月前に、突然訪問された、今は亡き魔王ラファエルの一人娘、ミカエル。その姫の能力によって改築された要塞はかつてないほどの強固な造りだ。

ひし形の要塞は、正面角が「本塁」右が「一塁」左が「三塁」そして司令室がある「二塁」だ。

最初、何故この様な形にしたのかは理解出来なかったが、今は理解出来る。どの方角から敵が来ても各塁から兵や弾薬が要塞内部を走るトロッコによって迅速に移動出来る。常に最大火力で対応出来る。


このデストロイ要塞は、この異世界からしたら近代的と言えるだろう。航空戦力の皆無な世界なら攻略は不可能に近い。

この世界では軍事先進国である帝国軍でも、破壊する事叶わず、ただ兵力を失うだけだ。


「帝国軍指揮官宛にこの手紙を届けろ!」

ドワルデスは手紙を側近の士官に渡した。


「早くこんな戦争終わらして国に帰りたいな。なぁ?」


「はい!ですが、将軍の休暇より先に申請した自分が先であります!」


「なんだと!貴様、将軍である俺より先に国に帰るつもりか!」


「はい!当然です。前から申請してましたし。実家はもうすぐ稲の収穫で人手が足らないんで、だから自分が先であります!」


「ふざけるな!俺だって娘達に会いたいんだ!前に帰還した時、このおっさん誰?とか言われて傷ついたんだ!」


「いやいや、前に帰還された時、淫魔(サキュパス)BARにいる所を兵達が見てますよ!」


「な、何故それを!」


「奥様に黙っていて欲しければ、休暇の順番は守りましょう。それに稲作農業はミカエル様が立ち上げた国家プロジェクトです。まさか将軍の帰還のせいで収穫が遅れたなんてミカエル様に知れたら……」


「わかった!わかったから!嫁はともかくミカエル様には絶対に黙っていてくれ!」


魔族軍の規律は割と緩いらしいが、魔族軍にとってミカエルの存在は恐怖の対象らしい。




◇帝国軍司令部


「閣下!魔族軍側からの書状に御座います!」

伝令役の士官が、作戦司令室に急ぎ入って来た。


「書状だと?差出人は……ドワルデスからか、読め!」


書状を士官に渡し、内容を読ませる。


「帝国軍の諸君、我がデストロイ要塞は無敵である。お前ら如きに攻略は無理無理、さっさとおうちに帰れバーカバーカ。……です!」



「ふ、ふざけやがってー!」

バルバトスは近くの柱を思い切り蹴飛ばした。

が、直撃出来ずに小指を角にぶつけた。

「っのあ!」

やり場のない怒りと痛みに冷静さを失ったバルバトスは参謀達に命令を出す。


「夜襲だ!夜襲で突撃をかけろ!火を付けて来い!」


「了解しました!直ちに突撃隊を編成します!」



ドワルデスの降伏を促す書状はかえって帝国に火を付けただけであった。


帝国軍第一軍司令部は慌ただしく、動き出した。


「至急、大本営に伝令!」

バルバトスは司令部に響きわたる声で叫ぶ。

「直ちに280mm榴弾砲を本国から取寄せろ!」


280mm榴弾砲は本来、攻城兵器ではない。

海岸に設置し、対艦用に開発された大砲である。

その威力は抜群だが、砲台の設置と運用に難あり、今回の配備は見送らていたが、最早、そうも言ってられない状況である事は明確だった。


「ドワルデスめ、帝国陸軍の意地を見せてやる!」


魔族軍と帝国軍の戦争は激化して行く。




◇ココ村


「え?延期?」

ガッツーリから式典が数日延期される事になったと報告を受けた。

「ええ、なんでも国王が緊急四カ国会談に向かわれ、帰還が数日かかるので、式典は延期に。それまでエイル様御一行はココ村で待機される様、伝令が来た次第であります」


ふむ。延期はちょっと嬉しいかも。だが気になるのは、帝国の挙兵による緊急四カ国会談だ。

せブールとファミリア、あと、中立国である亜人国が、どんな判断をするのだろう?

なんて下唇を尖らせ考えてたら、ミカに頭をチョップされた。

「てっ!」

「あんたの無い頭で考えても状況は変わらないわ」


「そりゃそうだけど……」

叩かれた所が痛い。

「せっかく、滞在が伸びたんだから、今日は一日観光しましょう?」



「と、言うわけで滞在が伸びました。とりあえず自由行動だけど、お小遣いは一人10000ジルね。夕飯までには旅館に戻る様に。リオは食べ過ぎ注意ね、セリスしっかり見張っといてね。では解散!」

なんか引率の先生みたいになってるな。


解散の合図と共にリオは残像を残す位のスピードで屋台に直行した。

「おじちゃん、甘栗くれなのです」

「お嬢ちゃん可愛いね〜おまけしてあげよう」

「ごくろうなのです」

甘栗を受け取ると隣りの屋台へ

「おばちゃん、焼きバードのネギま、くれなのです」

「はいはい、お使いかい?」

「さっさとよこすなのです」

受け取るとまた隣りへ

「リョー饅頭よこせなのです」

どんどん言葉使いが悪くなってるが、屋台コンプリートする気か?セリス頼んだ!


マリンとティファはどうやら二人で観光しに行ったようだ。


ミカさんは……何やら特産品の食材などを見ていた。

我が家の台所は任せます。


「さてと、俺はどうするかな」

特に目的はないけどブラブラ歩いてみると、団子屋があったので、ちょっと入ってみる。

「お団子くださいな」

「いらっしゃい!お一人様かい?」

「ええ、一人です」

「そしたら、外のベンチでも良いかい?あんたべっぴんさんだから客引きになるよ」

「はぁ」


外のベンチで団子を食べながら、お茶をすすってると謎の老人に声をかけられた。


「お嬢さん、ちょっと隣りよろしいかね?」

「いいですよ」

老人が隣りに座ると

「お嬢さんは観光かね?」

「いえ、ちょっと立ち寄っただけですよ」

「そーか、そーか、この村はね、あの勇者リョーマ様が温泉を掘り当て……」

「それは聞いた」

「そっかそっか……では三人の勇者と剣聖について語ってもよろしいかな?」


あっ、これ長いやつだ。

「結構です」

「まぁまぁそう言わずに聞いて下され」

強制イベントか!



世界には剣聖と呼ばれる者が三人いる。

剣聖は全て、過去の勇者の末裔か縁者である。

一人は帝国に一人は亜人国に一人は自由過ぎてよくわからない。

に、居るとされているらしい。

初代とされる勇者はクロウ。まるで舞う様に美しい剣技の使い手だった。馬が得意でこの世界の騎兵の祖となった。現在の剣聖はシズカ。帝国にいるようだ。


二代目の勇者はサブロウ。二刀剣術の使い手でどんな硬い物でも斬ったとさえ言われる剛の剣。大軍を率いる才にも長けていたとか。現在の剣聖はウメ。亜人国にいるようだ。


三代目の勇者はリョーマ。一刀流の使い手で神速の剣。鞘から刀が出た時、敵は既に斬られていると言われた。銃火器にも精通していて、その技術は帝国が引き継いだらしい。現在の剣聖はツバキ。自由人なので所在は不明。


そして三人の剣聖はそれぞれアチナより授かった結界石を持っていて、邪神の封印を守ってるらしい。


「というのが、三人の勇者と剣聖の話じゃ」

「は、はぁ」

正直、あまりためになる気はしない話だ。とりあえずこの場から逃げたいです。


「聞いてくれてありがとうの。お礼にこれをやろう」

じいさんは懐から小さな鈴を出して俺に渡した。

「鈴?こんなん貰っても------?」


隣りに居たはずのじいさんは消えていた。

「え?あれ?じいさん?」


きっと超高速でトイレにでも行ったのだろう。とりあえず、そう思う事にした。


「土産でも見に行くかな」


土産屋で木刀を手に取ろうとしたら


「あっ、居た」

タタタッとミカが駆け寄って来た。


「チッ」

見つかったか。またしても木刀を買いそびれた。


「てめぇ今舌打ちしたろ?」

あっ怖い。


「し、してないしてない」


「ふーん。まぁいいわ、買い物に付き合え」

拒否権はないみたいですね。


「わかったよ。で、何買うの?」

「地酒に決まってんだろうが!」

決まってんのそれ。



地酒も無事に買い旅館に戻る途中、マリンとティファが変な店の前で絡まれていた。


「そこの青髪のお姉ちゃん、うちで働かない?」

「え?うちッスか?」

「お姉ちゃんならきっとナンバーワンになれますよ!」

「ちょっ、ちょっとマリンさん、この店は、その、裸で踊るお店ですよぅ!」

「裸踊りならうちは得意っス」

「おっ、いいね!天職ですね!じゃぁほら!」

「ダメです!」

なんて押し問答を繰り広げていた。


「マリン、帰るよー」

俺はマリン達に声をかけた。

「あっ!ご主人様っス、一緒に裸踊りするっス」

「しねーよ!」


「おや、なかなか皆美人揃いだね」

「夢幻」

「おい!殺すなよ!」

「わかってるわよ!軽めにしてあるわ」


店の前にいた男は失禁して倒れた。

どんな夢を見させられたのだろうか。


少し歩くと人だかりが出来ていた。

その中心にセリスとリオがいた。嫌な予感しかしない。

どうやら射的の屋台のようだ。


「セリスーあれ欲しいなのです」

「よし!任せろ!」

パコン!

コルクの弾が景品に命中する。

「「おおー!」」

周りのギャラリーが拍手喝采を贈る。

店主は青ざめている。一体どれだけ命中させたの?

「セリスーあれもーなのです」

「よーし!」

「もう勘弁してくれ!」

店主が土下座してセリスに懇願しているが……


「セリス!リオ!帰るよ」

「うむ!わかった!リオまた明日にしよう」

「頼むからもう来ないでくれ!」

店主の悲痛な叫びが辺りに響いた。



俺は思った。こいつらから目を離してはいけないらしい。








次回もデストロイ要塞とココ村編の予定です

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