1話 異世界転生ですね
―――空を飛んでいた。
世界を見渡しながら、パタパタと背中に生えた銀色の翼を広げ、俺は街を探していた。
世界といっても、地球ではない。かと言って宇宙の別の惑星て訳でも無い。
異世界…… 最近よくアニメやラノベ?である様な、西洋ファンタジー的な世界に
俺、咲野大河(生前の名前)は居た。
時は少しさかのぼり
2019年5月1日日本
その日、元号が平成から令和に変わり、新たな時代を
迎えた日、俺はバイトのため、深夜のコンビニで働いていた。
就活に失敗し、大学卒業してフリーター(23)
コンビニ夜勤をしながら、特にやりたい事も夢も無く
毎日を繰り返して、生きていた。
だが……今日はちょっと違ったらしい。
深夜2時を回り、納品作業も大体片付いた所で事件は起きた。
入店ブザーが鳴り、店舗入口を見ると、野球帽を被った
中年?の男性客。因みに帽子は〇鉄バファローズだ。
珍しい帽子だな!逆にセンスを感じる。
「いらっしゃっせー」
多分聞こえるだろう位の適当なあいさつをして、売り場のメンテナンスを続ける。
男性客は、売り場をキョロキョロしながら、入口に近いレジの前に立っていた。
すると、調理場で洗い物をしていた、別の従業員がレジに向かう。
結城美佳(18)大学生だ。いや女子大生だ。
「いらっしゃませ」と言った瞬間に彼女は青ざめた。
その男性客は、手に大きなプラスドライバーを握りしめながら、「…………出せ」
「金を出せー!」
店内に男性客、改め強盗の声が響く。
慌てて俺は、レジに向かって走り出した!
これはアカンやつだろ!強盗だ!
とりあえず俺は結城さんに代わり、対応する事にした
本来、マニュアルによると、人命第一なので、犯人を
刺激せずに、レジ現金を渡すのが決まりだ。
緊張するが、こんな時こそ、落ち着かなければ!
俺はマニュアル通りに、レジを開け、現金を適当に
取り出し、渡そうとしたのだが…………
犯人の顔を目視すると、思わず笑ってしまった
「ぶほっっ!」
いかにも強盗って言わんばかりのスタイル
ストッキングを被っていて、しかも少し上につり上がっていて、これでは笑えと言ってる様なものだ。
その瞬間、強盗(笑)は持っていたドライバーを
俺の心臓に突き刺した……
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「知らない天井だ……」
いや、天井が無い。空だ、真っ青な空を見ていた。
「ん、どうやら、お目覚めかな?」
知らない女性が、こちらを覗き込む様に言った。
白金色の長い髪、瞳は金色、信じられない程に美しく、眼を奪われる。
その姿は、まさに天使。いや女神か。
「あれ?確か刺されて……?」
病院ではないらしい。状況がまるで理解出来ずに辺りを見渡しても、真っ白い空間には、女神っぽい人と自分だけのようだ。
「ひょっとして、死にましたか?俺?」
「うん。死んだよ」
女神っぽい人はクスリと笑い、あっさり死を告げた。
あぁ、やっぱり死んだのか、あまり苦しんだ記憶が無いので、実感湧かないのだが。
「ここは天国ですか?」
「ここは天界。だけど、君達の言う天国とはちょこっと違うよ。君の居た世界とは、全く違う世界。まぁ異世界ってやつだよ。そして君は転生して、ボクの眷属である守護天使に生まれ変わったんだよ!」
ぽい人が、オーバーリアクションで両手を広げた。
「えーーーっ!」
で、とりあえず現世ではないのは、分かったが……
「それで、あなたは?」
「紹介がまだだったね。ボクはこの世界の管理者……女神アチナだよー!宜しくね結城美佳さん」
「…………」
「人違いですね」
結城美佳は同僚であったが、何故彼女の名前が出て来るんだろうか?
「あのーすみません、俺は咲野です、咲野大河です!」
「ん?どうやら、器と魂が違う様だねぇ、どこで間違えたのかな?」
器って?体の事か?まさかとは思うが、よく自分の身体を
確認すると、無いものが有り、有るべきもが無くなっている。要するに、身体が女だ。鏡がないのではあるが、身体的特徴からすると、恐らく、多分、絶対に、結城美佳の身体だ。
小柄、貧乳、色白の肌、長い黒髪は何故か白がかった金色に、なってるが。
「まぁ、問題ない様だね」
「良くねーよ!大問題だよ!色々あれだよ!何とかならないのかよ!」
「うーん、無理かな」
無理なんだ……
こうして、俺の第二の人生?は貧乳天使スタートで幕を上げた。のか?
少しして、女神が声をかけて来た。
「落ち込んでる所悪いけど君には使命があるからさーそろそろ出立して頂きたいかなー」
「え?どっか行くんですか?」
「君は、神の使徒として、これから人界に赴き、仕事をしてもらいたいんだよ」
仕事って、これって就職したってことかな?
てか、使徒の仕事ってあまり良いイメージないけど……
「えーと、一体なにをすればよいのでしょうか?まさか汎用人型決戦兵器と戦うとかないよね?」
「それは多分……無いよ。うん」
多分かよ。
「では説明させてもらうよ
まず、我々の仕事は世界の調律。つまり、バランスを保つ事。
人族、亜人族、魔族、竜族が存在する世界のバランス。それを守るために管理者である神が存在する。良いかい?」
「はぁ」
人以外いるのね。ゲームかよ。
「それで、君には下界に降りて、世界の調査をしてほしいんだな。ボクは色々忙しいからさ」
「調査?」
「今の世界の状況は、魔王が勇者に倒される前に死んでしまってね、召喚された勇者の使い道が無くなり、各国は魔族との戦争準備で武力強化したのに、戦争終結でさー、想定外の事態なわけなんだよ」
「それで様子を見て来いと?」
魔王がいないなら平和なのね。とりあえずは。
「そゆこと☆」
「はぁ、一応やってみますけど、あまり期待しないで下さいね」
とは言ったものの、内心は異世界にワクワクしてたりする。ラノベとかでよく読んだしね。
こうして、異世界生活が始まったのだった……
のんびり書いて行きますので、よろしくお願いします




