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訪問者

  慈しむような口づけが額に落ちて、そこからじんわりと熱が広がっていく。

愛の言葉もまだ知らぬ幼子だが、それが何を意味するのか……なんとなくわかった気がした。


「…………」


"愛は……ひとを幸せにするもの……"


 惜しみない祝福の言葉と拍手が鳴りやまぬなか、檀上へ上がったガーラントへ眠るアオイを手渡したキュリオ。やがて王に名を呼ばれたアレスとカイがぎこちなく王の前に参上し、深く頭を下げる。


「<魔導師>アレス、<剣士>カイ。ふたりにはアオイの教育係兼、世話係を命じる。有事の際は全力でアオイを守れ」


「ハッ!! この命に代えても御守り致します!!」


「おうっ!! 任せとけ!!」


 礼儀をわきまえたアレスの言葉使いと、相変わらず無礼講なカイの対照的な発言に肝を冷やした者もいれば、大笑いする者もいた。


「……ったく、カイのやつ……!」


 額を押さえてガクッと肩を落としたカイの師ブラストだが、その目尻に光る涙が"嬉し涙"であることを誰もが理解している。そんな愛弟子の成長の余韻に浸っている彼へ、いつ声をかけるべきかと後方で若い門番が様子を伺っていた。


「……?」


そんな彼の様子に気づいたひとりの女官が声をひそめ問いかける。


「……急ぎの用かしら?」


「ハッ、女官殿。……実はキュリオ様へ謁見をと来客がありまして……」


「そんなお約束聞いておりませんわ。……一国の王へお目通りが叶うなどと軽々しく思われても困りますし、わたくしが参ります」


 綺麗に整えた眉をひそめながら人の列を縫って歩こうとした女官へ声がかかる。


「すまん、盗み聞きするつもりはなかったんだが……俺の知った顔か?」


「あ、ブラスト教官……はい、とてもよく……」


 どこか歯切れの悪い門番に首を傾げるふたり。彼は周りを気にしながらも、さらに声を落としてその名を口にする。


「――……」


「……わかった。俺が行く」


 冷静に言葉を返したブラストと、(はらわた)が煮え繰り返ったように一層嫌な顔をする女官の温度差。門番の彼が初めにブラストを選んだのも、こうした理由からかもしれない。


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