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直答を許してくれますか?


 慌てて赤穂事件の公式第一声の「かかる遺恨」の記述をしてしまった。



 本件、つまり「赤穂事件」については、時間をかけて連載してしまう予定で、ある意味自分を追い込むための、スタートでもある。



 だが、これからは自作の解説や裏設定なども含めて、順々に書き記したい。




『直答』を許してくれますか?


 直答。ふりがなを当てると『じきとう』。

 文字通り、直接答えることだ。


 

 直答の用語は「手紙」などを介さない返事の意味が一番の用法だが、ここで語る「直答」は、身分の違いがありすぎる人種の面談、会話の場合、介添えを必要としない有難い御沙汰を意味している。大河の主流である戦国時代や、一部では最近まで生存していた作法だと言える。

 

 例えば、実例の云々ではなく、わかり易く説明すると織田信長とある農民が会話する。信長がお嫌いなら、そこそこの大名や武士と農民に置き換えて欲しい。



 さて会話の本体、

「今年の米の出来具合はどうなっておる?」

「豊作だと思われます」


 細かい文言や言葉尻は〝わかり易くする〟ためご勘弁を。


 だけど、この会話。×なのだ。


「今年の米の~」と信長か尋ねる。

 すると、森乱成利(森蘭丸)が、例えば、


「信長公にあらせられては、慈悲深くも今年の米の作柄についてご懸念のご様子であるが、如何であるか?」


 そう尋ねる。

 この事例では別に農民と信長との距離が一キロも離れているわけではない。外国人でもない。


 『身分が違うのだ』


 だから、畏れ多いから直接の会話、つまり直答をしては不許可イケナイ。大河でイケナイのは、別にエッチな事だけではない。


 『だから直答をゆるす』


 こんな発言が必要になる。そうでないと、この事例だと、


 信長「質問」・森乱「仲介」・農民「拝聴」。

 農民「返答」・森乱「仲介」・信長「了解」。


 しかも大略では同じ会話を複数回繰り返す、リアルだけど虚しい会話を視聴者は延々と我慢しなければならない。「身分」が違うから必要な手順、作法だと事前知識がなければ、アホ同士の会話だ。


 本年の大河の「直虎」では、この「直答」が巧みに配置されている。もしかしたら、タマタマなのかもしれないけど。



 つまり、直虎がベラベラ喋っても、今川義元はほとんどは即答していない。返答もしていない。

 それは義元が、足利一門であり、また治部大輔と田舎大名としては破格な家柄であり、井伊家は遠江の数ある土豪の一家であるため。しかも直虎は女子。


「直答を許していない」ための作法だと(勝手に)解釈できるのだ。

 春風亭翔太の演技力を期待しなかったことが最大理由だろうが、〝いい偶然〟だった。


 もう一度「直答」を確認したい。


 現在は絶滅危惧種状態だが、私の子供の頃は勧善懲悪のチャンバラを含めて時代劇は、レギュラー番組。毎日の娯楽だった。


 なので思い出してみたら、

「直答をゆるす」の直接話法ではなく、

「苦しゅうない。おもてを挙げよ」


 このセリフで代用していたようだ。

 時代考証家や脚本家などのライターノートを全て目通ししたわけではないけど、立ち位置としては「面を挙げよ」が直答の許可の役割を果たしていたのは間違いない。喋る、会話するために「面を挙げ」ていたのだから。



 でも「直答」は死語だ。動物や下駄などの小道具、あるいは言葉も絶滅や流行り廃りがある。


 死語って言葉は、時代劇本体だけではなく、直答と言う正しいけど、なんだかイヤな作法にも襲いかかって食い尽くしてしまったようだ。


 それが正しいのか、どうかは読者のご判断にお任せしたい。


 そんな私は「お許しなし」に読者氏に直答している、トンでもない身分違いだとツッコまれてしまうかもしれないのだけど。





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