第一巻
__ プロローグ __
スパイというのは瞬発力、反射神経、判断力、何もかもを極め、そして実践できる人のことを指す。中にはその能力がないが、ハッキング、又は実践している人の補助などを担う人もいる。そんな彼らにも恋愛ぐらいはある。美女と野獣みたいな恋も当然あるが、今回は、その「スパイ」に関した話をするとしよう。
「青島さーん!」
大きな声が学校の廊下を響かせた。
コンビニもなければ人も全然いない町の唯一の高等学校。そんな町に一人暮らし。
青島白愛。それが彼女の証である。そんな彼女に掛けられたのは普通なら疲れるが、そんなことも吹き飛ばすぐらい大きい声だだった。
「古宇利くんったら何?」
そんな声も失せるぐらい冷たい声。
やはり年頃の女の子は都会も田舎も変わらずこんなものかと。
「いや、今日も早いね!っと思って」
古宇利零太。彼は毎朝会う白愛に声掛けをするようにしていた。
「いつものことじゃん」
少し微笑みながらも彼女は言った。
「まぁ、そーだね」
二人とも微笑みながら会話した。
そして、教室に歩いていく。
歩くと言っても、二階建ての校舎の1階部分の端に教室があり、そこに机と椅子が何個か並べてあるだけである。零太は後ろの方の右端に座る。白愛は一番前の左端に座った。そして彼女は音楽プレイヤーで音楽を聞き始める。毎朝の日課なのか、いつも席に着くと気がつけば白愛は音楽を聞いていた。そしていつも零太は、朝から校舎の比率と合わないぐらい大きいグラウンドで走り込みをしていた。そう、零太は陸上部。部員数八名の部活で、朝から走り込みをしているのは零太しかいない。他の部活も朝っぱから朝練はしていない。そんな毎日を二人は送っていた。あの日までは…
__ 第一章 __
涙さえも道になると信じて…
小さい空間。その中にあらゆる機械という機械が並べられている。
XEONを積んでいる最強サーバーに処理速度に特化したパソコン、同時に多数のソフトを起動するためか、コア数の多い最新のCORE I9を使っているものまで、多数多彩である。
そんな機械に囲まれ、誰かと通話している人影があった。
「…H、そこの前に一人警備がいます。」
彼女のヘッドセットの先は無線機に繋がれていた。
「ありがとうR。この先に扉があるけど、鍵は大丈夫?」
すぐさまRは指を走らせた。そしてモニターに表示された結果をHに返す。
「鍵は開いています。大丈夫です。その扉の奥に行くと例の目的の物があります。」
「わかった。ありがとう。」
「このぐらい当然です!」
Hは呼吸を整え、警備員にきずかれないように近づき…次の瞬間、警備員は床に倒れた。
何をしたか。手刀で首筋を叩き、気絶させる技をしただけである。これは柔道の三代技の一つであり、大会では危険性のあまり手刀による技の使用を禁止している。その他にもみぞおちに心臓の方に衝撃を与えるなどの技がある。
そしてHは周りの確認をして、扉を音無く開け中に入った。
__
「はぁーーーー……」
大きなため息が教室に響く。
「どーしたの?古宇利くん。」
青島が心配する。
「いや、昨日徹夜しちゃって…」
「ちょっとした研究を…」
「古宇利くんって研究とか好きなんだ!」
「まぁ、何か気になることがあるとわかるまで気になるから」
「私も同じだなー…
私も気になることがあって調べること良くある…
でもわからずじまいの時もあるけど…」
「?」
「ううん。何でもない。」
そう言っている間に先生が来る。
晴れ晴れとした朝日は運動場に生えている木を照らし、夏の暑さを告げていた。
夏 ―――
それは人それぞれあこがれが集う時期。
ある人は夏祭りを、ある人は田舎を、ある人は海を
ある人は「恋人」を…
ある小さな島に一つの小さな町。電車が本土と一本の線路でつながっている唯一の交通網。船は主に漁に利用されている。車は町にしか通っていないアスファルト舗装の道を通ることができる。この通り、町は意外に都会なのだがそれ以外の所はど田舎。電線は通ってはいるのだが、発電所はこの島だけで現地球のほとんどの発電方法が揃っている。この島の電機は島にある太陽光発電だけで余るぐらいあるのだが、火力、水力、原子力、地熱… なぜか。それはこの島がすべての発電方法に適しているからだ。作られた電機は本土に売られ、そのお金でこの島の生計を立てている。
そんな島にある16個の駅の一つの駅に一人の少年が立っている。
古宇利零太。16歳。彼のいる駅は少し小さな村の唯一の駅だった。海が見える海岸に単線の線路。一つの小さなホームに4両の電車が止まっている。意外にも改札口はIC対応だった。電車は海辺にのびる線路をゆっくりと進んでいった。
――――――
改札から見えてきたのは、都会でもなく田舎でもない町。少し大きめの建築物が並んでいる島の中心街。中心っていうくらいだから、島の中心にある。改札を出た零太は駅前にある噴水のそばで待っていた。しばらくすると一人の少女が改札から出てくる。茶髪のすらっとした髪に、整った顔立ち。その彼女が零太のそばに寄ってくる。
「おはよう零太!」
少女が話しかけてきた。
「おはよう夏奈。そんでもって久しぶり」
夏奈が微笑みながら答える。
「久しぶり!一年ぶりくらい?」
「一年ぐらいかな。長かったなー」
夏奈が少し怒った顔になる。
「ほんと大変だったんだよ! もうー…」
常陸夏奈。16歳。俺の幼馴染で、一年間あることを調べに外国に行っていた。
「で、結果はどうだった!?」
結果が気になって仕方がない俺を夏奈が引き気味に答える。
「慌てない慌てない」
「ここじゃあれだから、どっかのお店に行こ!」
「そーだな… 一応極秘だし。」
といって来たのは近くにあったカフェ屋さん。どっかのラビットなんたらと似ていると夏奈が言いながら店に入っていく。
「ご注文は何になさいますか?」
ウェイトレスが注文をうかがってくる。さすが第二の大阪といわれる本土と近いだけあるなと思いながらも注文をする。
「んじゃ、私はトーストセットで」
「朝ごはん食べてないのか?」
「時差で食欲なかったから…」
「なるほど。んじゃ俺はうさ…。オレンジジュース頼もうかな。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
ウェイトレスは厨房へ帰っていった。そして俺は夏奈に視線を合わせさっきの結果の話をしはじめた。
「で、結局どうだったんだ?」
「ほんとせっかちだねー… えーと、取り合ず情報は手に入れたよ」
「本当か? それでどうなったんだ?」
「んーと、魔法の動力はその…補充の方法は前回言ったよね?」
夏奈の顔が赤らめていくのがわかる。そして俺の顔も赤らめていくのが自分でもわかる。
「あ、うん…」
俺たち二人は魔法を使える。なぜかは俺にもわからない。しかし、使えるのは使えるが、魔力というものが必要らしく、それを使い切ると魔力を再補充するまで魔法を使うことができなくなる。その魔力の補充の仕方が… 絆で結ばれた異性とキスすることで再補充することができるという。それを夏奈から聞いた時は少しためらったが、ある時魔力を使い切ったことがあり、魔力補充のために夏奈との絆を信じ、思い切ってやってみたのだった。
「で、今回仕入れた情報は魔力を共有できる魔法と、記憶の共有、現在位置の共有、心の共有を仕入れてみた。」
「え、そんなに!?」
「だから頑張ったって言ったじゃん」
笑いあう俺と夏奈。
「これで私がいなくても大丈夫でしょ?」
「そーだな! で、方法はどーするんだ?」
「えーっと…」
がさがさと鞄の中を探す夏奈。
「あったあった」
そこから取り出したのは使った感あふれるレポート用紙。パラパラとレポート用紙をめくる。
「共有の魔法の注意点とりあえず話すね?」
夏奈が真剣な顔つきになる。
「お願い」
「まず、共有するのだから、魔力をちょっとずつだけど使うってこと。じゃないとお互い共有はできないらしいよ。それで、これもお互い絆が大事らしい。そもそもの問題なんだけど… あとは、慣れが必要。」
一気に言われて頭が追い付いていないが、特に難しくもなさそうだ。
「わかった。魔力は引き続き一年持たないのか?」
「それはやってみないとわからない。私と零太の魔力合わせて半分に割れば半年は持つんじゃないかな?」
半年… 半年に一回は夏奈とキスを…
「なんかやましいこと考えた?」
ジロ目で見てくる夏奈。感の鋭いこと…
「考えてないよ」
内心自分を叱りながらも、顔には出さず夏奈と接した。
「それで、魔法のかけ方なんだけど…」
考え込む夏奈。
「どうかした?」
「わ、私の… その…」
「は、はじめてを…もらってください!」
「…」
「…?」
「え?は、はじめて?」
頭の中が真っ白になった。
「えーーーーーーーーーーーー!!!!!?????」
――― あとがき ―――
すいませんでしたーーーー!!
第一巻から色気ありありですね…
まだ学生の僕が、童貞からくる欲を抑えきれませんでした…
こほんこほん。では気を取り直して、みなさんおはこんばんにちはです!
チャンネル登録者が千人超えて調子に乗っているNanoです。
youtubeでの企画で今回、初めて長編小説を書いたのでまだ変な部分や間違いがあると思いますが、ご了承ください。
僕は書いているとき、ほかの小説やアニメが頭から離れなくて、ついには自分の小説にまで影響を及ぼすという最悪の流れです…
予定ではこのペースでいけば、二十巻もシャレにならないかと…
なので、一~二ヵ月に一巻という遅めのペースで更新したいと思います。(絶対出すとは言ってない)
あとがきも何書いたらいいかわからない…
次回までに改善しておきます(笑)
イラストも誰か描いてくれないかな…(ボソッ)
では、ご朗読ありがとうございました!