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十七年前の真実 〜佐久間警部の記憶〜  作者: 佐久間元三
アリバイ
7/15

新田商事へ

 〜翌日、警視庁捜査本部〜


「警部、下山元刑事の司法解剖結果が出ました。死因はサバイバルナイフかそれに類似した刃物による刺殺です。心臓二十センチまで傷が到達。また、刃物にはトリカブトの毒も塗られていたことから、必殺の計画を立てていたものと考えられます」


「死亡推定時刻は?」


「七月六日の二十一時三十分から同日二十二時三十分の間との情報です」


「二つの殺人事件が、土浦から水戸の間で起きている訳か」


「警部、偶然でしょうか?」


「偶然かもしれないし、同一犯もしくはグループによる殺人かもしれない。また、今後同様の殺人が起きないとも限らないな」


 佐久間が、本部長に相談する。


「本部長、下山元刑事の捜査はもちろんですが、まず、福島県警察から要請が来ている新田敏朗とまだ連絡がつかない息子の新田俊介について、洗いたいと思います。下山元刑事の方は、各班で事件発生周辺の聞き込み作業と過去に被害者が担当した事件について、何か特異な点がなかったか再調査をお願いします」


「・・・わかった。各自、佐久間警部の指示に従い行動を開始。なお、犯人は警察関係者に復讐したことから危険性を考慮し、単独捜査は禁止。必ず複数で行動すること!」


「はっ、承知しました!」


 捜査本部を後にした、佐久間たちは東京都江東区にある新田敏朗の事務所を訪ねた。


 事務所は社長不在の中、通常営業をしていた。


「いらっしゃいませ」


「本日は、どういう・・・?」


 社員は、警察手帳に反応した。


「警察の方が何か?」


「警視庁捜査一課の佐久間です。社長さんの新田敏朗さんが亡くなったことはご存知でないですか?」


 商社内全体が、ざわめく。


「初耳です。ニュースでも見てません」


「少し、情報操作しております。まだマスコミにも箝口令を依頼中です。社長さんは、いつまでここに?」


 社員同士が確認し、カレンダーを見ながら答えた。


「確か、七月六日の午後六時頃までは当社にいました」


「そのまま普通に帰宅されましたか?」


「息子さんから、電話が入りました。何を話したかまでは、わかりませんが嬉しそうに電話を切って、慌てて帰宅したのを覚えています」


「息子さんの連絡先はわかりますか?我々が電話をしても繋がらないので」


 一人の社員が笑った。


「何がおかしい?」


 山川に睨まれた社員は、オドオドした表情で説明を始めた。


「坊ちゃんは、用心深い方なので、知らない番号には絶対に出られません」


「それでは、どうすれば連絡つきますか?」


「ここの電話をお使い下さい。直ぐに出られるか、少ししたら掛かってきますから」


「それでは、電話して下さい。出たら、代わって頂けますか?警察とは言わないようにお願いします」


「・・・わかりました」


 社員の一人が、新田俊介に電話を入れ、やっと本人に繋がった。


「もしもし、新田俊介さんですか?」


「・・・どちら様ですか?」


「警視庁捜査一課の佐久間と申します」


「・・・警察の方が何か?父に何かありましたでしょうか?」


「何故そう思われます?」


「・・・父の会社から警察の方が私に連絡するということは、父が何かしたに違いありません。叩けば埃が出る人間と思ってますから」


「先日、あなたの父は殺されました」


「ーーーーーー!」


 しばらく、沈黙か続いた。


「どこに伺えば、詳しい話を聞けるんでしょうか?」


「あなたは、今どちらに?」


「千葉県の野田市にある大学です。今から会社に伺いますが、運河駅からですから、そちらには九十分程お待ち頂けますか?」


「わかりました。会社の前に喫茶店がありました。そこで、お待ちしたいと思います」


「・・・では、後ほど」


 電話が切れた。


「なかなか、賢そうな学生だ。どんな息子さんなんですか?」


「東京理科大に通われてます。賢いです。この新田商事だって、社長より息子の俊介さんの方が把握されていますよ」


 山川は、感心した。


「ほう。若いのに大したもんだ?」


「山さん、では喫茶店で待とうか?皆さん、お暇しますが、まだ口外はくれぐれもしないように。守秘義務が発生しています。よろしくお願いします」


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