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十七年前の真実 〜佐久間警部の記憶〜  作者: 佐久間元三
プロローグ
2/15

JR常磐線 特急ひたち二十九号

 二十一時 上野発 JR常磐線特急ひたち二十九号は、八番線ホームから上野駅を発って、順調に走り始めていた。


 このJR常磐線特急ひたち二十九号は、上野駅を発って、土浦駅・水戸駅・勝田駅の順で停車し、最終のいわきには二十三時二十分頃に到着する。


「お待たせ。いわきまでまだかなり時間が掛かりそうだよ。これでも飲んで、ひと眠りしても大丈夫だよ。向こうについたら、起こしてあげるから」


 男はそう微笑んで、男に小さな小瓶を差し出した。


 男の好きな肴も付けて。


「お前もいつの間にか、気が利くようになったじゃないか。どれ、いわきまでチビチビやるとするか。お前もどうだ?」


「僕はいいよ。向こうについたら、やる事が沢山あるし、確実に事を運ぶために作戦をイメージしておきたいんだ」


「そうか。まっ、お前に任せるさ」


「・・・トイレに行ってくるよ。ついでに肴も美味しそうなものがあれば、追加で買ってくるよ。乗車券の確認来たら、二人分提示しておいて」


 そう告げると、男は切符を手渡し、トイレに消えた。


(あいつめ、何を企んでいるか知らんがいわきで大金を掴んだら、用無しだ。そろそろ本当のことを教えてから、バラすか?)


 しかし、この男が生きていわき駅に到着することはなかった。


 最終駅のいわき駅に到着し、駅員が最終確認をしている時に、まだ眠っている乗客に気が付いて声を掛けた。


「お客さま、終着ですよ。この電車は、回送に切替えて、車庫に入ります。起きてください。お客さま?」


 駅員が、声を掛けながら、身体に触れた時、人形のように床に崩れたのだった。


「だっ、誰か!誰か来てくれ!」


「どうした?不審物でも?ーーーー!」


 思わず、駅員同士で顔を見合わせ、その場で固まってしまった。


 一目でわかるのだ。


 崩れ落ちた乗客が、すでに事切れていることに。


 駅員の一人が叫んだ。


「てっ、鉄道本部と警察に至急連絡を!」



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