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十七年前の真実 〜佐久間警部の記憶〜  作者: 佐久間元三
推理の検証
12/15

空白の十六分

 土浦駅で佐久間たちは、途中下車して下山元刑事殺害について、検証を開始。


「まずは、現場まで最短時間で行く方法だ。徒歩か、タクシー、自家用車、バイク。色々あるね」


「警部、あれを見てください。この時間、タクシー乗り場は混雑しています」


「ということは、タクシーはバツか」


「徒歩だとどうだろう?」


 佐久間は、地図を広げて考えてみた。


 現場は、土浦駅から南西に七百メートル程度であろうか?


「徒歩だと、まず往復だけで十六分は過ぎてしまうね。徒歩もバツだな」


「消去法で考えるとバイクですね。土浦駅のすぐ近くに、駅は西駐車場が見えます。あそこまでなら、ここから数分です」


「では、歩いて時間を計測してみよう」


「佐久間たちは、早歩きで駅西駐車場に行き、時間を計測した」


「二分二十六秒です。出庫まで約三分。次にバイクでの検証ですね。ちょうど良いところに、都合が良い連中が」


 山川は、駐車場に集合している族車に声を掛けた。


「お疲れさん!」


「なんだ、お前は?って、おっ、お疲れさまです」


 山川が提示した警察手帳に、皆が後ずさり

する中、佐久間が優しく話掛ける。


「頼む。捜査に協力してくれないか?」


「どういうことです?」


 佐久間たちは、事情を説明してバイクを借りた。


「まさかこの歳で族車に乗るとはね?」


「刑事さん、コケないでくださいね。そのフレーム高いんすから!」


「わかったよ。戻ったら、みんなにメシご馳走させて貰うよ!」


 佐久間と山川は、族車に跨り、河川敷き堤防まで移動計測をした。


「時間は?」


「一分です」


「すると、移動だけで往復で八分か。つまりあと八分あるな。会話をするというよりも近づいて一瞬で下山元刑事を刺殺したのかもしれない」


「しかし、物理的に殺害が可能であることは立証出来そうです」


 佐久間たちは、駅西駐車場に戻った。


「中々、族車も良いバイクだな。愛着を感じるよ。これで何か食べなさい」


「いいんですか?みんな金欠だから腹一杯食べさせて頂きます」


「いいんだ。事故だけは起こすなよ。ほどほどにな。念のため、捜査協力のついでに知っていたら聴きたいんだが、七月六日のこの時間帯、君たちはこの辺りにいたかい?」


「七月六日?ですか?・・・誰かいたか?」


 一人の少年が手を挙げた。


「その時間なら、俺、表でタバコ吸ってたと思いますけど・・・」


「未成年でのタバコはダメだぞ?・・・今日は目をつむるがね」


「・・・すみません」


 佐久間は、新田俊介と川合朋子の写真を見せた。


「この若者たちなんだが、見かけたかな?」


 すると、思いがけない回答が。


「ああ、この人!知ってます!凄い勢いで駅方面から走ってきて、バイクでかっ飛ばして行きましたよ。十分も経たないうちに、これまた凄いスピードで帰ってきて、靴を別の物に履き替えてリュックにしまい、颯爽と駅方面に走って消えて行きました。あまりにも時間がない様子でした。はっきり覚えてますよ!」


「女性はいたかい?」


「男の方だけです」


 山川は、興奮して財布を取り出した。


「これは、俺のおごりだ!吐くまで食ってくれ。お前たち!本当にありがとう!お前たちの協力で一人の人生が救われる。ありがとう」


「刑事さん・・・」


 山川は、嬉し泣きした。


 同胞の敵がわかったからだ。


 佐久間は、優しく山川の肩を抱寄せた。


「山さん、捜査本部に一度戻ろう。じっくり、新田俊介の外堀を埋めて行くんだ。新田俊介と下山元刑事の関係がまだ不明である以上、証拠を突きつけるには、まだ早い」


「・・・はい」


「お前さんたち、見どころあるぞ!警察官になりたい時は、警視庁に来い!」


「はい、ありがとうございます!」


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