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エイプリルフールらしいわかりやすくていいですよ、花笑ちゃん。でもあなたは本当に騒ぎたいだけですよね、佐々木さん。

「ユーヤさんユーヤさん!」「ユーヤ、ユーヤよ!!」

 おっと、来たね。来るんじゃないかと思ってたんだよお祭り姉妹。

 歳の差ざっと数世紀あるけど。

 こういうイベントは逃すまいよ。


「はいはい何ですかお二人さん」

「実はですねユーヤさん、実は花笑ちゃんは実は今日お誕生日で、実は今日から20歳なので実はお酒も飲み放題なのです! というわけでさあ、お酒を!!」

「嘘おっしゃいな現役女子高生」

 しかもあなたは去年入学したばかりではあーりませんか。


「わっちもわっちも。今日はお酒飲み放題じゃ」

「なにがどうしてそうなりますか」

 全く理由がないじゃないですか……てか、佐々木さん、何も嘘ついてないね。

 無茶は言ってるけどね。

 乗っかってるだけだよね。


「ぶー……いいじゃないですかあ、別にぃ、ちょっとくらいぃ」

 花笑ちゃんはむくれている。

「まあ、20歳まで待てとは言わないけどね……何だかんだ、たいていの人は飲んじゃってるわけだしね」

「あれ、ユーヤさんにしては何だか緩いですね」

 花笑ちゃんは驚いたように目を丸くする。僕は軽く肩をすくめた。

「僕は飲まないけどね。究極的に言えば自己責任だけど、飲まない方がいいと思うけれど、少なくとも高校を卒業するまでは飲まない方がいいんじゃないかと思うけどね」


 僕が飲まないのは、僕のこだわりみたいなものだからね。

 周りの人たちが浮かれて飲まなくてもいいお酒を飲んで騒いでいる中で、断固として一滴も飲まない自分。

 かっこよくない?

 空気読まない、と言われると返す言葉もないけれど、そんな空気は読まなくてもいいと思う。

 その程度で壊れるほどの人間関係はなかったからね。

 まあそもそも人間関係が構築できていなかったんだけどもね。


「むーん……わかりました。ではまたの機会にします」

 あ、諦めてはいないのか。

 なし崩しにエイプリルフールどこか行っちゃったねえ。


「ユーヤ、酒が飲みたい」

「佐々木さんはほんとに徹頭徹尾エイプリルフール関係ありませんね」

 佐々木さんの御神酒の管理はまつげさんだから、まつげさんに頼むべきですよ。

「いやしかし、まつげはキビシいから全然許してくれんのじゃ」

「僕が言ってもダメなものはダメですよ」

「ちぇーけちーユーヤの守銭奴ー」

 意味分かって言ってませんね。


 ぶーたれたあと、佐々木さんは花笑ちゃんと一緒に僕へ恨めしげな視線を三秒向けてから(そんな視線を向けられるいわれはない)、くるりと回れ右してとぼとぼと、


「あ、そうじゃユーヤ、えいぷりるふーるって、何じゃ?」

「あなた本当に何も関係なく騒いでるんですね!?」

 どうして騒いでいるのかくらいはわかっておきましょうよ!


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