第1話 勇者召喚!
第1話 勇者召喚!
――薄暗い部屋の中
部屋の中央に描かれた魔法陣…
『…古より語り継がれし、伝説の――』
その前に立ち、召喚の呪文を唱える一人の少女
『われの呼びかけに答えよ!』
少女が、呪文を唱えおわるのと同時に、魔方陣から白煙が舞い上がる。
そして、黒い軍装に身を包んだ男が魔法陣の中央にその姿をあらわした。
「……ここは?」
永遠とも言える長い眠りから覚めた醒めた俺はあたりを見回す。
レンガ造りの薄暗い部屋だった。まったく、身に覚えがない。
一体、どうなってんだ?
「召喚に応じてくれまして、ありがとうございます『勇者さま』!」
声のほうへ顔を向けると、そこには白銀の美しい髪を肩のあたりまで伸ばした
青い瞳の少女が話しかけていた。
「勇者だと?」
「はい、王国は忌まわしき魔王達により苦しめられているのです。そのため、勇者さまを召喚しました」
勇者と呼ばれ俺は首を傾げた。
むしろ俺は、勇者とは正反対の存在であるのだが?
「……ところで、あなたは?」
「すみません、私はローランド王国第3王女のアリシア・スチュアートです。勇者さまのお名前は?」
正直に言ったほうがいいのかな?
さっきから、希望の光が見えたぞ!みたいな視線が痛い。
まあ、黙っていることで、あとで面倒なことになるより、ささっと言っちまったほうがいいよな
俺は、正直に自分が勇者ではないことをアリシアに話すことにした。
「俺は、ヴァルト・シュナイダー……アルメリア王国を治める魔王だった」
魔王といった瞬間、部屋は物音ひとつない静寂に支配されることになった。